虹の彼方に(風味)
和基さまの作品シリーズ名「Over the rainbow」が素敵なのでタイトルを拝借しちゃいました。
ただただ上を向きたくなったから
眩しさに目を細めて首を伸ばしてみた
今ここにある空は子どものころ見ていた空と
ちっとも変わっていない
飛び抜けて青くもなかったけれど
しっかり大きくてたっぷり広かったから
私なんかでも優しく包んでくれそうな気がした
遠くにうっすらそびえたつ大きな煙突に登ったら
もっと空に近づけるんじゃないか
目を閉じて想い描くのは煙突に登った私
たなびく煙りに手を伸ばすと
ふわりと雲に繋がっていたから
ジャンプして這い上がる
雲の上には虹のアーチのてっぺんが
七色にときめいてツルンと覗いている
太陽の光りに照らされてキラキラになった雲は
ポンポンはずんでいる
もう一度ジャンプすれば虹のてっぺんに私は立っている
空から青がたくさん落ちてきてぶつかってしまいそう
小鳥がもっともっと上を目指して
小さな羽根をぱたぱた動かし
墜ちそうになりながら持ち上げながら
やがて高く高く飛んでゆく
どんどん小さくなってゆく
何度も足踏みしたっていいんだ
もう怖くなんかない
あなたも飛べたのだから
私だって飛べる
あなたも乗り越えたのだから
私だって乗り越えられる
私が上を向く勇気を失くさなければ
きっといつだって越えてゆけるんだ
虹の彼方に
目を開けるとすっとレモンの香りがして
私はギュッと弾け出す