第5話 思わぬ贈り物
俺とサシャは、なんだか狐に包まれたような気分で帰路についていた
冒険者ギルドであったハゲ―――本名ゴドリー・チープは、昼とはまるで別人だった
昼間とは違う、落ち着いた態度で親切に冒険者登録を手伝い……
依頼の受け方や、報酬の受け取り方などを丁寧に俺に教え……
あまつさえ、サシャに酒代と昼間の迷惑料と言って金を支払ったのである
要約すると、めッちゃいい人だった!!
「……なぁ、サシャ……人って酒が入るとあんなに変わるもんなのか?」
「結構変わりますよ?まぁ、あそこまで変わる人は珍しいですけど」
とサシャは苦笑を浮かべる
「そうか……そういえば、何歳から酒って飲めるんだ?」
「明確には決ってませんけど、大体15歳くらいからですね。成人するのが同じですから、大人になったからって事ですね」
「そうなのか……」
「ユキマサさんは何歳なんですか?」
「……17だけど……」
「それなら成人してますね。帰ったら飲みますか?」
「遠慮します」
そんな風にサシャと話しながらサシャの店に戻ると、店の前には2つの箱が置いてあった
1つは手のひらサイズの赤い箱、もう1つは人が1人丸々入りそうな大きさの青い箱である
……なんだこれ?
「これ、サシャが取り寄せたのか?」
「いえ、私は何も知りませんよ?」
「じゃあ、普通に贈り物か?」
「みたいですね。あ、手紙がありますね」
青い箱の上にあった手紙を手に取る
「えっと―――『汝を招待した我からのプレゼントだ。どちらか1つ選んでな。1人で両方選ぶと爆発するから、気をつけて』―――ってなんですかこれは?」
サシャは2つの箱を見て首を傾げる
……とりあえず、誰宛と誰が送ってきたのかは分かったな
間違えなくあの石像が送ってきやがった
何のためにとかどうしてだとか疑問は尽きないが、とりあえず危険はないだろ―――――多分
「まぁ、ここに置かれてるなら俺らのものにして良いんじゃないか?」
「うーん……」
「悩んだってしたがないって。それよりどちらか1つ選んでくれ」
「……そうですね。じゃあ、私は小さい方で」
「了解。じゃあ、俺は大きい方だな。じゃあ、1・2・3で同時に開けるぞ」
「はい」
「1・2・さ―――」
「って、ちょっと待った!!」
「?どうしたんだ?」
「どうしたもこうしたも無いですよ!!両方選んだら爆発するんですよ!?それなのに両方選ぶとか、バカですか!?」
ん?なんか俺おかしい事したか?
「手紙には、『1人で』って書いてあった。対して俺らは2人だ。つまりは条件は満たしてないから、爆発はしないはずだけど?」
「けど―――」
「いいからいいから。じゃ、開けるぞ。1・2・3!!」
「ああもう、どうにでもなれ!!」
結果として、箱は爆発はしなかった
しかし、箱の中に入ってたモノが問題だった
サシャの箱の中には、金貨が大量に詰まっていて、俺の方には――――
――――――――銀髪の少女が入っていた