第2話 異世界の始まり
「ん……ここは?」
俺は、顔を水で濡らした布で拭かれる感触で目が覚めた
「よかった~目が覚めたんですね!?ずっと起きないので心配しましたよ!!」
声がした方を見ると、俺と同じ位の年の少女がいた
茶髪で肩までのショートカットでシャギーが入っており、瞳の色も茶色でパチッリとした目をしていて、大人しそうな少女だ
「えっと……どうして俺は、ここにいるんだ?」
「あれ?覚えてないんですか?」
と少女は首を傾げる
「今朝、私が掃除をするために外にでると、あなたが私の宿の前で倒れていたんですよ。だから、急いで中に運んでこうして看病してたんです。なかなか目が覚めないから心配しましたよ!!」
どうやら俺は、この人の宿の前にぶっ倒れていたのを運んできて貰ったらしい
けれど、俺が意識を失った所には宿なんて無かったはずだが……
この人にしたってそうだ
こんな人はいなかったはずだ
……なんだか、いやな予感がするな……
「つかぬ事を聞くが、ここがどこだか教えてくれ。ここは一体どこなんだ?」
俺はこの時、俺の知る名前が出る事を切実に願っていた
しかし現実とは、呆れるほど無情にできてるらしい
「ここですか?ここは、魔導国アステリアですよ?」
魔導国?
アステリア?
俺の知る限り、日本中どころか世界中探しても無いな……
……ん?
そういえば、あの妙にフランクだった石像はなんて言ってやがった?
『勇敢なる者よ。我と力比べをしようぞ。勝った暁には異世界へと招こうぞ』
……俺、勝ったよな?
とゆうことは……ここは異世界なのか?
「もしもし~どうかしましたか~?」
だとすると、全ての辻褄が合うな
「もしもし~大丈夫ですか~?」
仮に、そうだとすると……俺はこれからどうすれば良いんだ?
「もしもし~?」
この、何もかも知らない世界でどうやって生きていけば……
「もしもし!!」
「うぉっ!?」
か、顔が……ち、近い!!
気づくと少女は両手を腰に当て、顔を思いっきり近づけていた
「本当に大丈夫なんですか?」
「あぁ、だいじょ――――」
そうだ、この人に色々聞けば良いじゃなイカ!!
少なくとも、俺よりはこの世界のことを知ってるはずだ!!
「いや、やっぱり少し聞きたい事がある」
元の世界に戻る方法だろうか?
いや、聞いても分らないだろうし、変な人扱いされるだけだろう
まずは、この世界で生きることだ
「今、無一文で困ってるんだ!!だから、働ける所を教えてくれないか?」
「別に良いですよ。けど……」
「けど?」
「一つだけ、条件があります」
「なんでも言ってくれ!!」
俺に出来る事なら何でもする!!
「そんなたいした事じゃないですよ?」
と少女は微笑む
「あなたの名前、教えてくれませんか?」
俺の名前?
そんなんで良いのか?
「俺の名前は、無道幸政だ」
「……ムドウユキマサ……良い名前ですね……」
そう言ってから、少女はにっこりと笑う
「私の名前は、サシャ・スカイナイトです。よろしくお願いしますね、ユキマサさん」
誤字脱字等ありましたら、教えてください