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エントリーNo3、ジジイとダーツで遊ぼう

「次の神、どうぞ!」


 鉄道大好きテツノリーさんが失格になり、次の神が現れる。


 白いテーブル。大きな扉。パイプ椅子が二つ(一つは破損)。天井も無いのに上から変な紐。それだけしか無い白い空間に入ってきたのは、かなり年季の入った老人の姿の神だった。今のはメラゾーマでは無い、メラだとか言う人に似てる。

 そんな威厳のあるかっこいい爺様がこんな事を言う訳だ。


「ロリエルフでハーレム。そんなのは好きかね?」


 嫌いじゃない。むしろ大好きだ。だが何でそんな単語がいきなり出てくるのか。


「性癖を見抜かれて驚いているようだね?この程度造作も無い事だ」


 ふふふっとか笑って髭を扱いてる爺。こいつも心とか読めるのか?ならさっさと諦めればいいのに。


「私は『情報』に関する管理を担当している神でラパンと言う。お前のお気に入り小説とブックマークからそれらを判断するのは容易な事だった……」

「スーさん!俺の端末のHDD壊してくれたって言ったよね!」


 ぐるりと後ろを向いてニヤニヤしてる金髪男を問い詰める。


「スーさんって俺の事?」


 自分を指さしてきょとんとしている金髪男。なんか知らんがそう呼ばれるのは予想外だったっぽい。


「適当に呼んでいいって言ってたろ。スーパー創造神とか名乗ったんだから、そっから取った。そんなことよりなんでブックマークとか知られてんだよ!」


 金髪男は口を三日月状に開いてニタリと笑う。


「フォーマットする前に全部チェックしちゃった☆」

「すんなよ!」

「密林の購入履歴も見ちゃった♪」

「ふざけんな!」

「あんまり調子乗って罵声ばっか浴びせてくると、今からでもご家族に見せたくなるよ?」

「すみませんでした!」


 生殺与奪を握られてるっていうか、死んでるのに尊厳がこいつの胸先一つってのは凄い悔しい。


「トール君、エルフに縁あるよね~」


 縁があると言われても、現物に会った事もないわけで。ハードディスクの中の嫁を指して縁があるとか言っていいものなのか。


「だってさ、君を轢いたトラックだってエルフだったんだよwww」

「そっちのエルフかよ!」


 もうやだ。耳の長いエルフが良いです。できればロバの様に長いヤツ。

 その心の叫びがそのまま口から出ていたらしく、そうその耳の長い連中が居る世界に送ってやりましょう!とラパン爺が叫んだ。


 正直、ちょっと心惹かれる。

 なにせ死んじゃってるわけだし。転生させてくれるっていうのなら浪漫で選ぶなら剣と魔法の世界。便利さで選ぶなら現代。変な設定の世界とかまっぴらごめんだ。


「それってごく普通のファンタジー世界?」

「ええもちろん。動物が喋ったりもするほんわかした世界になってます。あなたに渡せるチート能力は殺伐としたものは何種類か候補を用意しましたので、これで選んで下さい」


 ラパン爺が一旦扉の向こう側に戻り、ゴロゴロと音をさせて持ってきたのは、キャスター付きのダーツの的だった。それもちゃんとしたダーツゲームのではなく、テレビなんかで芸能人が景品とか罰ゲームを決めたりするのに使うような、回転するヤツ。


「パッジェッロ!パッジェッロ!」


 後ろでさっそくスーさんが叫んでる。その番組終わったんじゃないのか。神々の世界ではまだ続いてんのか。

 そしてラパン爺が有無を言わせず回転させた的には、いくつかの文字が書いてあるっぽい。アゴをしゃくってさぁ投げろと指図してくるのだが……。うん、俺は見てしまった。

 運んでいる最中に、見えてたんだよね。回す前の的に書いてある言葉。


【潰されてもペラペラになるだけで死なない能力】

【爆発してもアフロになるだけで死なない能力】

【地面が無い事に気が付くまでは落下しない能力】

【人参畑を豊作にする程度の能力】


 渡されたダーツをラパン爺に投げる。命中。


「痛ってぇ!」

「スーさんお代わり!」

「はいよ!」


 もう一本投げる。額に刺さった。


「何すんの!」

「何すんのはこっちのセリフだよ!明らかに漫画の世界だろ。それもカートゥーンの。ファンタジーだけどそう言うのじゃないんだよ!」


 スーさんが面白がってドンドン渡してくるからドンドン投げる。剣山みたいになって来たけどまだイテテとかですんでる。すげえぜ!さすが超越者!


「何が不満なのっ!」

「人参畑とか意味わかんねえよ!」

「耳の長いヤツらにモテモテになりたいんだろっ?」


 ウサギか。


「却下!」


 前回からぶら下がりっぱなしの紐を引っ張ってボッシュートする。


「ちょっとま、痛い痛いイタタタ!」


 しかし執念深いのか、床に空いた穴に手を掛けて這いあがって来てる。ダーツ刺さったままだから超痛そう。放物線を描くように投げたダーツがその手の甲に刺さる。ドンドン投げるぜ?


「言葉を喋る動物たちと不条理なコメディを繰り広げる毎日!それがファンタジーでなくて何なのだ!」


 まぁ、そういうのもファンタジーだけどさ。剣と魔法の世界だと思うよね、転生先がファンタジーっていったらさ。

スーさんも、俺が走る鳥を追い掛けてはぺしゃんこになったり爆発したりする毎日には興味を覚えなかったらしく、穴に指先が掛かっているだけのラパン爺に失格を言い渡す。


「ほらほら、失格になったらさっさと退場しなさいよ。

それに君、チートの選定自体が失格だよ。死なない能力とか。それじゃ面白くないだろう?」

「ちょっと待って下さい!前にテレビ見て大爆笑してたじゃないですか!」

「テレビ番組の面白さとトール君の面白さを一緒にしたら失礼だよ。彼はお約束の積み重ねとかじゃない真似のできない芸だった」


 後ろでニヤニヤしてるスーパー創造神がつまらなそうにダメだしする。


 んー。もしかして、この管理神って連中の目的は、俺に選ばれる事ではないのじゃないか?

 俺が玩具なのは確定として、誰の玩具か。管理神の上司に当たるらしいスーパー創造神を楽しませるのが目的か。

 って、事は。俺はどういう世界に転生しようとも、地球での死に様以上のミラクルプレイを期待されている?絶対に平和な日常とか送れないような人生にされるって事じゃねぇか。


 転生なんかするもんか!


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