翻弄
パンケーキを食べる愛。夜十はそんな愛を見ている。
「夜十も食べる?」
「は?」
「はい!どうぞ!」
無意識に愛は、はい、あーんしていた。
「ばっ!?」
「へ?……?!」
「バカか!んなもん自分で食える!」
「ご、ごめん!」
夜十は自分でパンケーキを食べた。
「美味しいよね。」
「甘いな。」
なんて話していると急に扉が吹っ飛んだ。
「?!」
「敵だ!」
夜十が愛を姫抱きして逃げる。愛はそんな夜十の顔を見てドキマギした。しばらくしてようやく安全な場所へとたどり着く。夜十の2番目のアジトらしい。
「はぁはぁ。」
「夜十、大丈夫?」
「問題ない。」
「そう?」
夜十の汗を愛はハンカチで拭った。
「いい。シャワーを浴びるから待ってろ。」
「うん。」
夜十がシャワーを浴びる。浴び終わって戻ってきた。上半身はカッターシャツを着ているがボタンを閉めていない。
「夜十。」
「?!」
愛は夜十の髪に触れる。
「まだ濡れてる。」
「これぐらいすぐに乾く。」
「乾かしてあげるよ。」
そう言って愛は夜十の髪をタオルで乾かしていた。
「ドライヤーがあればなぁ。」
なんて愛は愚痴る。
「こっちにはそんなものはない。」
「よし、でき……」
ふと気がつくと夜十の顔が近い。
「ご、ごめん!」
「?」
夜十は何故謝られているかわからなかった。愛はドキマギして夜十から距離を取ろうとする。そんな愛の手を夜十が握った。
「?!」
「どこにいくんだ?」
「ど、どこにもいかないよ!?」
「なら、離れるな。」
「う、うん。」
改めて夜十を見る顔は整っているし身体は引き締まっていた。思わずドキリッと心臓が跳ねる。
「?どうした?人の顔をジロジロみて。」
「な、なんでもない!!」
愛は顔を逸らした。が、逸らした顔を掴まれる。再び夜十に視線を戻された。
「こっち見ろ。」
「?!な、なんで?」
「何を考えている?」
「へ?」
「逃げる算段でも考えてたのか?」
「違っ、違うよ!」
「……それとも、さっきの事を引きずって……?」
「さっき?」
「……いや、なんでもない。」
「!!」
愛は赤面して怒る。
「ばか!もう忘れてってば!えっち!!」
「ふふ、わかった。わかった。」
「!」
夜十が笑った。その顔は普段の冷血漢ではなく、優しい青年の顔だった。
「今日はもう寝るぞ。疲れた。」
そう言って夜十は愛の手を引く。ベッドに2人は寝そべった。夜十は愛の手をネクタイで自分に括り付ける。必然的に距離が近くなった。愛はドキマギとして夜十と目を合わさないように別の方を向こうとする。
「こっち向け。」
「きゃ?!」
無理やり目を合わせさせられる。
「そんなに俺が怖いのか?」
「へ?」
「?」
「あ、その、別に、その……」
「怖いなら怖いと言え。」
「だ、大丈夫。」
「なら、何故目を逸らす?」
「別にいいでしょ!私の勝手じゃない!」
「ほう?言うことを聞かないなら罰を与えるしかないな?」
「?!」
愛は昨日の事を思い出す。しかし、それとは別に羞恥心で震えていた。
「そんなに俺が怖いか?」
「怖く、ない……。」
「嘘つきだな。じゃあ罰だ。」
「?!」
夜十は愛を凍らせようとする。
「違うの!嘘じゃない!!」
「……何が違う?」
「……夜十。好き。」
「……好きだと言えば見逃して貰えるとでも?」
「………」
「はぁ、めんどくさい女だ。」
そう言って夜十は上を向いて寝始めた。
「え?ええ?!なん、で?!」
「興がさめた。それだけだ。」
そう言って夜十は眠る。愛はそんな彼に翻弄されるのだった。




