食事
夜十に近づく。愛は頬にキスする。それが彼女の限界だった。
「何青ざめてんだよ。」
「青ざめてなんか……」
「青ざめてんじゃねーか。」
愛の顔は夜十の言うとおり青ざめていた。
「やっぱり嘘なんだな?」
「違う!本当だから!」
「……」
「本当、だよ?」
愛は涙目になりながら必死に訴えた。ここで違うなんて言ったら殺されるかもしれない。そう思うと余計に怖かった。愛が震えていると夜十は愛の頭に手を持ってくる。愛は凍らせられると思って抵抗しようとする。
「待って!やめ……」
「落ち着けよ。」
その手は愛の頭を撫でる。愛は目をパチクリとさせて驚いた。
「そう簡単には殺さねーから。」
「……夜十。」
もしかして夜十なりに気を使ってくれたのだろうか?夜十はいいやつなのかも?と、愛が思った時。
「でも、逆らったら殺す。」
「……うん。」
やはり夜十は凶悪犯である。従わなければ殺される。夜十はその場から去ろうとする。
「……どこへ?」
「あぁ?俺が何処に行こうと俺の勝手だろ?」
「あ、うん。」
「……めし。」
「ご飯?」
「そーだよ。」
ぶっきらぼうだが答えてくれた。今すぐに殺そうと言う訳ではないらしい。キッチンでは夜十がカップ麺を手にしていた。それを愛はじぃーと見ている。
「あ?んだよ?お前も欲しいのか?」
「料理しないの?」
「んなもんするかバカ。」
「じゃあ、私がするよ!」
「は?」
「栄養偏るよ?」
「んなもん……まあいい。やってみろ。」
そう言って夜十はキッチンへと愛を導く。冷蔵庫には大した物は入っていなかった。
「これとこれとか買ってきてくれる?」
「あぁ?んで俺が……」
「料理しろっていったのは貴方でしょ?」
「……わかったよ。」
そう言って素直に食材を変装して買いに行ってくれた。しばらくして夜十が帰ってくる。
「よし、逃げてねーな。」
「……あ。」
そうだ。今の間に逃げれた。愛はしまったと後悔するが遅い。夜十が買いに行ってくれた食材で大人しく料理することにした。
「できた!」
できた料理を夜十に持っていく。
「できたよー。」
「おう。」
「肉じゃがだよ。」
肉じゃがをテーブルに置く。
「美味そうじゃねーか。」
「さ、食べて食べて!」
夜十は遠慮なく食べる。
「うん、……うまい。」
その顔はさっきまでのイカつい顔と違って少し優しい顔つきになっていた。愛も一緒に食べる。
「うん!上手くできた!」
「逃げてたら殺そうと思ってたのにな。」
「!」
そうだ。逃げれる機会をうしなっていた。それにしても拘束もしないで買い物に行ったのはどうしてだろう?
「夜十、私の事、拘束しないでいいの?」
「あ?んなめんどくさいことするかよ。逃げてたら追いかけて殺せばいいだろ?」
「あ、はは。そっか……。」
笑えない。思いっきり笑えない。
「にしてもうまいな。これ。」
「よかった!これからも作るよ!」
「……そっか。」
今の夜十はぶっきらぼうだが、どこか優しく感じた。そして、夜が深ける。夜十は睡眠を取ろうとしていた。
「おい。」
「?!」
夜十は愛を無理やりベッドルームへと連れていく。
「な、何?!」
そしてベッドへと愛を投げ込んだ。
「?!?!」
夜十は付けていたネクタイを取るとそれで愛の腕と自分の腕を括り付ける。
「夜十?これは?」
「お前が逃げないようにだ。お前が言ったんだろ?拘束しないのかって。」
「言ったけど、こんな……。」
「いいから寝ろ。」
夜十は隣で寝始める。
「寝ろって言われても……。」
恐怖のあまり愛はその夜は眠れなかった。




