絶望
「やっぱり夜十なんだ……。」
愛は改めて夜十を前にして震える。
「俺が怖いか?」
「当たり前でしょ?!なんで夜十に私が人質にされなきゃいけないのよ!!」
「お前が俺に関わるからだろ?めんどくさい。」
「手当てしてあげたんだから感謝しなさいよ!!」
「誰が感謝なんか……」
「帰らせて!」
「黙れ。お前はこれから人質として使うんだ。それとも、死にたいのか?」
そう言って手から能力を発現させる。夜十の能力は氷である。夜十の手から冷気があがった。
「………」
「やっと黙ったな。」
そう、ただの一般人でもわかる。彼が今使おうとした能力はその場にいる人間を一瞬にして凍らせるものだ。そんなもので凍らされたらただではすまない。愛は考える。どうすればこの事態を解決できるかを。そして導きだした答えは簡単だった。思いついたのはストックホルム症候群だった。
「夜十!」
愛はいきなり夜十をソファへ押し倒す。
「?!」
夜十は抵抗する暇もなくソファに押し倒される。
「夜十、私、貴方が好きなの!」
「?!」
こうなれば色仕掛けで彼を黙らせるしかない。そう愛は思ってしまったのだ。自分に好意を持っている相手を簡単に殺す事はしないだろうと思ったからだ。
「……ほう?」
夜十はその言葉にニタリと笑った。そして、愛の顎を指でクイッと持ち上げる。
「じゃあ、証明してみろ。」
「え?」
「俺を好きだと言うなら証明してみろ。」
そう言って夜十は目を閉じた。
「?!?!」
愛はその意味を理解する。そして、愛もまた、目を閉じて彼に近づいた……。




