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エンディング:それぞれの未来へ

あすか:(スタジオ全体を感慨深げに見渡し、優しい笑顔で語り始める)「…さて、皆様、『食卓の掟!歴史バトルロワイヤル~時空を超えた食品衛生サミット~』、残念ながら、お開きの時間が近づいてまいりました。あっという間でしたが…なんと濃密で、そして、なんと心を揺さぶられる時間だったことでしょう…!」


あすか:「ラウンド1は、それぞれの時代と立場から、『食品衛生』というテーマに対して、鋭く対立する意見が飛び交いましたね。科学の光が差し込む前の食卓の現実、飢饉と戦い民を想う為政者の苦悩、医学の現場で起きていた衝撃的な悲劇、そして、社会の片隅で翻弄された個人の叫び…」


あすか:「続くラウンド2では、『見えない敵』の正体を巡って、科学的な真実と、当時の常識や個人の認識との間に横たわる深い溝が明らかになりました。目に見えないものを信じることの難しさ、原因を特定することの画期性と、それがもたらす新たな課題…。」


あすか:「そして、番組の頂点となったラウンド3!『誰が安全を守るのか?』という問いに対して、科学、政治、現場、個人、それぞれの譲れない主張が激しくぶつかり合いました。あの激論には、私も思わず息を呑みました…!でも、あの熱いぶつかり合いがあったからこそ、見えてきたものがあったように思います。」(対談者たちを見渡す)


あすか:「幕間の休憩を挟み、ラウンド4では、その激論を踏まえ、未来への貴重な教訓が語られました。科学の正しい活用、法と現実のバランス、現場の倫理観、個人の権利と尊厳の尊重…。そして、質問コーナーでは、視聴者の皆様の疑問に答える形で、さらに議論が深まりましたね。『安全』と『安心』の違い…私も深く考えさせられました」


あすか:「正直、最初は『食品衛生』というテーマで、これほどドラマチックな展開になるとは、私も予想していませんでした。しかし、皆さまのお話は、単なる過去の出来事ではなく、現代社会が抱える様々な問題…情報の氾濫、専門家と社会の関係、効率と倫理のジレンマ、そして、私たち一人ひとりの生き方にも繋がる、普遍的な問いを投げかけてくれたように思います」


あすか:(対談者たちに深く頭を下げる)「パストゥールさん、吉宗公、ゼンメルワイス先生、そしてメアリーさん。今日は、時空を超えてこの場にお越しいただき、そして、ご自身の経験と信念に基づいた、真摯で、時に痛みを伴うお話を、惜しみなく聞かせてくださり、本当に、本当にありがとうございました!」


(対談者たちは、穏やかな表情で、あるいは少し照れたように、あすかの言葉に応える。)


あすか:「さあ、名残惜しいですが、最後に、皆さまから現代を生きる私たちへ、未来へのメッセージを、一言ずついただけますでしょうか?まずは、パストゥールさん、お願いします」


パストゥール:(威厳を保ちつつも、未来への期待を込めて)「よろしい。現代の、そして未来を生きる若者たちに告ぐ。科学を恐れるな。しかし、盲信するな。その力を正しく理解し、倫理観をもって賢明に活用したまえ。無知こそが最大の敵だ。常に学び、問い続け、自らの手で、より安全で、より豊かな未来を築き上げよ!未来は、君たちの手の中にあるのだ!」


あすか:「力強いメッセージ、ありがとうございます!では、続いて吉宗公、お願いします」


吉宗:(穏やかながらも、為政者としての重みを感じさせる声で)「うむ。上に立つ者は、常に謙虚であれ。民の声に耳を傾け、その暮らしを思いやることじゃ。そして、民は民として、ただ上からの施しを待つのではなく、自ら考え、声を上げることじゃ。為政者と民、互いを敬い、共に考え、共に歩むことこそ、より良い世を作る唯一の道であると、わしは信じておる」


あすか:「対話と協調の大切さ、心に染みます。ありがとうございます!次は、ゼンメルワイス先生、お願いします」


ゼンメルワイス:(苦悩を知る者ならではの、静かな、しかし強い意志を込めて)「私が伝えたいのは、ただ一つ。真実から目を背けるな。たとえそれが、今の常識や権威と異なっていても、たとえ自分が少数派で、孤立するかもしれなくとも、正しいと信じる道を歩む勇気を持ちたまえ。そして、その真実が、誰かの命を救うと信じるならば、諦めるな!語り続けよ!その声は、いつか必ず、誰かに届くはずだ!」


あすか:「諦めない勇気…先生の生き様そのものですね。ありがとうございます!それでは最後に、メアリーさん、お願いします」


メアリー:(少しはにかみながらも、まっすぐ前を見て)「私のような、普通の人から言えることなんて、大したことじゃないかもしれないけれど…。でも、これだけは伝えたいです。どうか、あなたの隣にいる人の痛みに、ほんの少しだけ、想像力を働かせてみてください。その人がどんな事情を抱えているのか、どんな気持ちでいるのか…。ほんの少しの優しさと、理解しようとする気持ちがあれば、避けられる悲しみは、きっとたくさんあるはずです。優しさが、世界を救うと…私は、信じています」


あすか:(目に涙を浮かべながら)「パストゥールさん、吉宗公、ゼンメルワイス先生、メアリーさん…。本当に、心に響く、素晴らしいメッセージをありがとうございました!」(涙を拭う)


あすか:「さて、英雄たちが、それぞれの時代へ帰る時間がやってまいりました。『食卓の掟!歴史バトルロワイヤル~時空を超えた食品衛生サミット~』、いかがでしたでしょうか?今日の議論が、皆さまの明日の食卓を、そして未来を、ほんの少しでも豊かにするヒントになれば、案内人として、これ以上の喜びはありません」


あすか:「この番組は、過去の出来事をただ振り返るだけでなく、歴史上の人物たちの声を通して、現代を生きる私たちが何を学び、どう行動すべきかを考える、時空を超えた対話の場です。次回はどんな英雄たちが、どんなテーマで激論を交わすのか…それは、また別のお話」


あすか:(いつもの明るい笑顔に戻り、手を振る)「それでは皆様、また時空の狭間で、新たな物語が始まるその日まで…ごきげんよう!さようなら!」


(エンディングテーマ曲が流れ始め、あすかと対談者たちが互いに会釈を交わしたり、視聴者へ手を振ったりする中、スタジオの照明がゆっくりと落ちていく。画面には「歴史バトルロワイヤル」のロゴが再び映し出され、番組は幕を閉じる。)

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