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4/22

クリスマスシーズン☃ 4

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。

 




 あの後、仲良くお家に帰った私達を見て、ホッとしたお父さんとお母さん。

 今日お父さんは、ジンニスさん達とテスト走行に行く。

 ついでにお母さんも、作った上着の機能性を確認するみたい♪

 そして私は、メイヤーちゃんと遊ぶ予定だったんだけど……


「メイヤーちゃ~ん、あそぼ~♪」


 なかなか来ないメイヤーちゃん、だから迎えに行ったの。

 するとメイヤーちゃんは、お風邪をひいていた。


「ごめんなさいね。もう鼻水ズルズルなのにあの子ったら……」


 ため息をつき外に出ようとするメイヤーちゃんを、呆れ顔で捕まえている。

 おばちゃん大変そう……

 メイヤーちゃんが、「あそぶ~!!」と騒いでいる。

 その声は鼻声で、なかなか辛そうなズルズルという音付き。


「メイヤーちゃん、ゆっくり寝て元気になるの!」


「わがっだぁ~~!!」


 おばちゃんは私達のやり取りを見て、面白そうに笑った。




 という事で、いきなりヒマになりました。

 だから賞品の品を考えたいと思うの。

 一体どんなモノが良いのだろう。お店で役立つもの。

 そしてエコ魔石の拡販です!……フンス♪


 そこで商売と考えると、思い浮かぶのは電卓。

 そろばんはあるの。前の誰かが作ったんだと思うの。

 だけどそろばん、カッコよくパチパチ出来ない。

 練習あるのみだけど、かじかむ冬場は指先がツラい。

 手袋しても、グーが基本の姿勢なの。

 それは電卓でも同じ事だけど………


「ポチポチ辺りを暖かくできないかな?オンオフつければいいよね。」


 前世では計算だけの機能だけど、そこに付与魔法とかで指先に優しく出来ないモノか?

 胸に仕舞えばホッカイロ♪商売人の魂、電卓。

 いかがでしょうか?

 そんな事を考えながらお家に帰っていると、遠くから私を呼ぶ声が聞こえる。


「ん?」


 キョロキョロ………


「マリス、こっちだよ。」


 商店街の向こう側から、お兄ちゃんが手を振っている。

 爽やかな笑顔で呼び、周りの皆の注目の的。

 相変わらずのキラキライケメン、ジュリアス・ピッコリコ。

 クリスマスイルミネーションで、更に威力を増している。


「キラキラだね。お兄ちゃん……」


 私が眩しそうに言うと、


「そうだな。()()があるおかげで、俺達のダンスパーティーが見れるな。」


 私の意図とは違う意味で返事を返す、お兄ちゃん。

 今年はお兄ちゃん最後のダンスパーティー。

 パーティーには参加できないけれど、見る事はできるの。


 クリスマスイブになると中央広場には、たくさんの遊びと催しでとっても楽しいの。

 サーカスや移動遊園地、そしてふれあい動物園♪

 食べ物や飲み物も、屋台で買い食い出来るの♪

 大人達は屋台をして、子供達の楽しみと学びを提供してるのよ。

 子供達にとって一番の楽しみは、クリスマスコイン。

 クリスマスイブ限定、子供だけのお金のお小遣いよ。

 そのお金を使って、思いっきり遊ぶの。


 そして16時~から、お兄ちゃん世代のダンスパーティーが始まる。

 今までお兄ちゃん達世代のダンスは見られなかったの。

 お外が段々薄暗くなるから、それとご飯を食べる為に………

 19時までに9歳までの子供は教会に行きお泊りをする。

 神様が一番地上に近づく日。

 私達の願いと可能性を見て貰う日。


 今年はイルミネーションの効果で、家に帰らずにそのまま教会へ行く、という流れになったの。

 だから始めて、お兄ちゃん達のダンスを見るけれど………


「どんなダンスがあるの?お兄ちゃん。」


 今まで見れなかったんだもの。

 練習場も町会場だったり、商会の倉庫だったりする。

 だから今まで気後れして見に行けなかったの。

 でも今年は、子供達も参加という大義名分ある♪


「説明するのは難しいな。練習場所はダンスによって違う。」


「フ~ン。なんで?」


「曲の雰囲気やリズムが違うから、それと一人で踊るか二人か団体。」


「へ~、いっぱい種類があるんだね。」


「と言っても全部躍る訳じゃないからね。マリスも一緒踊ってみる?」


「ちなみにお兄ちゃんは、いつもどんなダンスを選んでいるの?」


「だいたいオタ芸が多いな。」


「エッ?!」


「うん?オタ芸だよ、マリス。団体でやるんだけど、基本動作は簡単なモノで、声を皆で出し合って楽しいよ。激しい動きと単純な動きのバランスが凄いんだ。それに団体行動の一体感と達成感が、凄く気持ちがよくてね。これは他のダンスでは味わえないよ♪」


「へ~…… そうなんだ。」


 お兄ちゃんがオタ芸……… へ~………

 オタ芸ってマジで……… 、お兄ちゃんがオタ芸………

 なんでか、とっても哀しい気持ちになって来る。なぜだ……


「どうした?歩くのが疲れたの?」


 お兄ちゃんが心配そうに聞いて来た。

 オタ芸…… 記憶にないけれど、何故かとっても引っかかる。


「大丈夫なの。始めそこから見に行くの?」


「いいや♪せっかくだし、いろいろ見てみたいだろう?」


 楽しそうな笑顔を見せるお兄ちゃん。


 ”来年の今頃は、一人でダンスを見に行くのか……… ”


 ちょっとしんみりするけれど、


「うん、いろいろ見て回るの楽しみなの。」


 お兄ちゃんの腕に抱きついて笑った。

 今は二人で楽しんで、来年は来年で楽しめばいい。

 来年になってみたら、案外楽しい事が待っているかもしれない。

 うん、今を楽しもう♪どんなダンスがあるんだろう♪


「楽しそうだな。マリスが笑うと俺も嬉しいよ。」


 そう言うと、私の頬にキスをするお兄ちゃん。


「お兄ちゃん。頬が冷たい……… 」


 お兄ちゃんのせいで頬がヒヤ~とするよ。


「そう?なら暖めて上げよう。」


 そう言って頬を両手で包む、ほんのり暖かくなった。

 でもお兄ちゃんが前を通せんぼしている。


「どうした?」


 お兄ちゃんはニヤリと笑った。

 ワザと通せんぼしています。


「お兄ちゃんダンスは?」


 私がお兄ちゃんを睨んでいると、抱き上げる、お兄ちゃん。


「お姫様のご用命通りに致しましょう。」


 キザなセリフを言いながら、私を立て抱きにしてスタスタとダンス練習場へ向かった。

 確かに「ダンスは?」と言った。

「寒い。」とも言ったかもしれないけれど………

 抱っことは、言ってないよね?

 何でこうなるかなと考える、マリスだった。




 練習場に着くといろんな人が、思い思いのダンスを踊っていた。

 何だかワクワクするの。私も何か躍りたい♪

 キョロキョロと、どんなダンスがあるのかなとワクワク。


 だけど私は知らなければよかったと、思う事に遭遇する。



「お兄ちゃん、アレ何?」


 指差した先には一人の男性が踊っていた。


「ムーンウォークだね。」


 ダダの擦り足にしか見えないの………


「お兄ちゃん、あの人達が踊っているのは?」


 その男性の隣に、お友達らしき人が3人ほどいたの。


「ああ、あの動きは面白いね。ロボットダンスって言うだよ。」


 だだのカクカクダンスにしか思えないの。

 マイケ〇ジャクソンが泣くぞ!

 他にも怪し気な感じなモノがいくつもあって、皆とても楽しそうに踊っていたの。


 ”コレ、一体どうしたらいいのかな?!”


 私は顔を引きつらせ、呆然する。

 遠い目で空を眺めて、「ごめん。」と、とりあえず謝った。

 私には、かなり無理があるの………


「マリス、どうしたんだ?」


 お兄ちゃんが、私を心配そうに見ている。

 お兄ちゃん……… ハッ!!

 そう私には、お兄ちゃんがいる!!

 お兄ちゃんのジョブは魔法騎士、運動神経抜群!!

 大丈夫よ、マリス、アナタならやれるわ。

 だって私には、お兄ちゃんがいるんですもの。

 お兄ちゃんに()()()ダンスを伝えれば、後は大丈夫なはずよ!!


 やってやるの!多分これは私に()()()()()使()()なのよ!!


「あ、あのね……… あの踊りマリス、違うんじゃないかなぁと思うの。」


 お兄ちゃんはキョトンとしている。

 そりゃそうだろう。始めて見た者が違うってなんのこっちゃだよ。

 だけど説明できないもの、ココは強引ング・マイウェイ。

 別名スルースキルとも言う。発動するの!


「と・に・か・くお兄ちゃん、見て欲しいの!!」


 フスン!と気合を入れてお兄ちゃんに言えば、気圧された様にお兄ちゃんは返事をした。

 しっかりと見る体勢になったお兄ちゃん。

 それを確認し、私は気合を入れる。今世初めてのダンス!


 ”マリスいきます!初ロボットダンス♪”



 **** 30分後



 ウッウッ……… マリスは、もうダメなの。


「例えば、こんな感じの…… ウェーブじゃないかな~、なんって?」


「ごめん。もう一回いいかな?」


「う、うん。じゃあ行くよ。こんな感じ?」


 こ、こうよね。順番に部分を動かして…… 波みたいに表現するのよ。

 が、頑張るのよ、マリス!!指先まで伸ばす! 


「……………… ?」


 反応がないから、何度も繰り返す。

 そのまま見続ける、兄ちゃん。


 ”どう?少しは上手くできたと思うのよ。”


 チラッと見ると、お兄ちゃんは眉間のシワを作っていた。

 ……… つ、次よ。 


「そ、それじゃあ~、スライドウォークいきま〜す!」


 私は手を挙げて、気合を入れる。


「ああ……… 」


 お兄ちゃんは腕を組み、真剣な表情で見ていた。

 えっと、確か重心移動……… 頭の高さ変えないで、いーどう?


 何度も何度も繰り返し………?!


「ふ、ふくらはぎが…… つった!」


 私は涙目で呻く…… グスグス。

 でも負けてはダメよ!!私はキッと上を向く。


「も、もう一度するね!」


 平行よ!とにかく頭動かさないの!

 必死につま先立ちに成りながら、体重移動を繰り返す。

 私は涙目で、相当頑張っているの。

 でもなかなか伝わらない。ウウウ……… 


「………ごめん。何が違うのか、よくわからないんだ。」


 お兄ちゃんは、すっごく申し訳なさそうに私に言った。


「うん……… いいの。ごめんね、お兄ちゃん。」


 太ももとふくらはぎ痛い……… 伝えるのムリなの。

 ムーンウォークなんて、もっと無理だわ。


「俺もわからなくてごめんね。いろいろと疲れただろう。今日はもうお家へ帰ろう。」


「うん、お兄ちゃん。」


 や、やっぱりこの使命は大変なの。

 運動音痴な私が悪い…… 毎日練習よ、うん。


 慰めるお兄ちゃんと、ちょっと涙目なマリス。

 滲むクリスマスイルミネーションを見ながら帰って行った。




読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

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