クリスマスシーズン☃ 4
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
あの後、仲良くお家に帰った私達を見て、ホッとしたお父さんとお母さん。
今日お父さんは、ジンニスさん達とテスト走行に行く。
ついでにお母さんも、作った上着の機能性を確認するみたい♪
そして私は、メイヤーちゃんと遊ぶ予定だったんだけど……
「メイヤーちゃ~ん、あそぼ~♪」
なかなか来ないメイヤーちゃん、だから迎えに行ったの。
するとメイヤーちゃんは、お風邪をひいていた。
「ごめんなさいね。もう鼻水ズルズルなのにあの子ったら……」
ため息をつき外に出ようとするメイヤーちゃんを、呆れ顔で捕まえている。
おばちゃん大変そう……
メイヤーちゃんが、「あそぶ~!!」と騒いでいる。
その声は鼻声で、なかなか辛そうなズルズルという音付き。
「メイヤーちゃん、ゆっくり寝て元気になるの!」
「わがっだぁ~~!!」
おばちゃんは私達のやり取りを見て、面白そうに笑った。
という事で、いきなりヒマになりました。
だから賞品の品を考えたいと思うの。
一体どんなモノが良いのだろう。お店で役立つもの。
そしてエコ魔石の拡販です!……フンス♪
そこで商売と考えると、思い浮かぶのは電卓。
そろばんはあるの。前の誰かが作ったんだと思うの。
だけどそろばん、カッコよくパチパチ出来ない。
練習あるのみだけど、かじかむ冬場は指先がツラい。
手袋しても、グーが基本の姿勢なの。
それは電卓でも同じ事だけど………
「ポチポチ辺りを暖かくできないかな?オンオフつければいいよね。」
前世では計算だけの機能だけど、そこに付与魔法とかで指先に優しく出来ないモノか?
胸に仕舞えばホッカイロ♪商売人の魂、電卓。
いかがでしょうか?
そんな事を考えながらお家に帰っていると、遠くから私を呼ぶ声が聞こえる。
「ん?」
キョロキョロ………
「マリス、こっちだよ。」
商店街の向こう側から、お兄ちゃんが手を振っている。
爽やかな笑顔で呼び、周りの皆の注目の的。
相変わらずのキラキライケメン、ジュリアス・ピッコリコ。
クリスマスイルミネーションで、更に威力を増している。
「キラキラだね。お兄ちゃん……」
私が眩しそうに言うと、
「そうだな。これがあるおかげで、俺達のダンスパーティーが見れるな。」
私の意図とは違う意味で返事を返す、お兄ちゃん。
今年はお兄ちゃん最後のダンスパーティー。
パーティーには参加できないけれど、見る事はできるの。
クリスマスイブになると中央広場には、たくさんの遊びと催しでとっても楽しいの。
サーカスや移動遊園地、そしてふれあい動物園♪
食べ物や飲み物も、屋台で買い食い出来るの♪
大人達は屋台をして、子供達の楽しみと学びを提供してるのよ。
子供達にとって一番の楽しみは、クリスマスコイン。
クリスマスイブ限定、子供だけのお金のお小遣いよ。
そのお金を使って、思いっきり遊ぶの。
そして16時~から、お兄ちゃん世代のダンスパーティーが始まる。
今までお兄ちゃん達世代のダンスは見られなかったの。
お外が段々薄暗くなるから、それとご飯を食べる為に………
19時までに9歳までの子供は教会に行きお泊りをする。
神様が一番地上に近づく日。
私達の願いと可能性を見て貰う日。
今年はイルミネーションの効果で、家に帰らずにそのまま教会へ行く、という流れになったの。
だから始めて、お兄ちゃん達のダンスを見るけれど………
「どんなダンスがあるの?お兄ちゃん。」
今まで見れなかったんだもの。
練習場も町会場だったり、商会の倉庫だったりする。
だから今まで気後れして見に行けなかったの。
でも今年は、子供達も参加という大義名分ある♪
「説明するのは難しいな。練習場所はダンスによって違う。」
「フ~ン。なんで?」
「曲の雰囲気やリズムが違うから、それと一人で踊るか二人か団体。」
「へ~、いっぱい種類があるんだね。」
「と言っても全部躍る訳じゃないからね。マリスも一緒踊ってみる?」
「ちなみにお兄ちゃんは、いつもどんなダンスを選んでいるの?」
「だいたいオタ芸が多いな。」
「エッ?!」
「うん?オタ芸だよ、マリス。団体でやるんだけど、基本動作は簡単なモノで、声を皆で出し合って楽しいよ。激しい動きと単純な動きのバランスが凄いんだ。それに団体行動の一体感と達成感が、凄く気持ちがよくてね。これは他のダンスでは味わえないよ♪」
「へ~…… そうなんだ。」
お兄ちゃんがオタ芸……… へ~………
オタ芸ってマジで……… 、お兄ちゃんがオタ芸………
なんでか、とっても哀しい気持ちになって来る。なぜだ……
「どうした?歩くのが疲れたの?」
お兄ちゃんが心配そうに聞いて来た。
オタ芸…… 記憶にないけれど、何故かとっても引っかかる。
「大丈夫なの。始めそこから見に行くの?」
「いいや♪せっかくだし、いろいろ見てみたいだろう?」
楽しそうな笑顔を見せるお兄ちゃん。
”来年の今頃は、一人でダンスを見に行くのか……… ”
ちょっとしんみりするけれど、
「うん、いろいろ見て回るの楽しみなの。」
お兄ちゃんの腕に抱きついて笑った。
今は二人で楽しんで、来年は来年で楽しめばいい。
来年になってみたら、案外楽しい事が待っているかもしれない。
うん、今を楽しもう♪どんなダンスがあるんだろう♪
「楽しそうだな。マリスが笑うと俺も嬉しいよ。」
そう言うと、私の頬にキスをするお兄ちゃん。
「お兄ちゃん。頬が冷たい……… 」
お兄ちゃんのせいで頬がヒヤ~とするよ。
「そう?なら暖めて上げよう。」
そう言って頬を両手で包む、ほんのり暖かくなった。
でもお兄ちゃんが前を通せんぼしている。
「どうした?」
お兄ちゃんはニヤリと笑った。
ワザと通せんぼしています。
「お兄ちゃんダンスは?」
私がお兄ちゃんを睨んでいると、抱き上げる、お兄ちゃん。
「お姫様のご用命通りに致しましょう。」
キザなセリフを言いながら、私を立て抱きにしてスタスタとダンス練習場へ向かった。
確かに「ダンスは?」と言った。
「寒い。」とも言ったかもしれないけれど………
抱っことは、言ってないよね?
何でこうなるかなと考える、マリスだった。
練習場に着くといろんな人が、思い思いのダンスを踊っていた。
何だかワクワクするの。私も何か躍りたい♪
キョロキョロと、どんなダンスがあるのかなとワクワク。
だけど私は知らなければよかったと、思う事に遭遇する。
「お兄ちゃん、アレ何?」
指差した先には一人の男性が踊っていた。
「ムーンウォークだね。」
ダダの擦り足にしか見えないの………
「お兄ちゃん、あの人達が踊っているのは?」
その男性の隣に、お友達らしき人が3人ほどいたの。
「ああ、あの動きは面白いね。ロボットダンスって言うだよ。」
だだのカクカクダンスにしか思えないの。
マイケ〇ジャクソンが泣くぞ!
他にも怪し気な感じなモノがいくつもあって、皆とても楽しそうに踊っていたの。
”コレ、一体どうしたらいいのかな?!”
私は顔を引きつらせ、呆然する。
遠い目で空を眺めて、「ごめん。」と、とりあえず謝った。
私には、かなり無理があるの………
「マリス、どうしたんだ?」
お兄ちゃんが、私を心配そうに見ている。
お兄ちゃん……… ハッ!!
そう私には、お兄ちゃんがいる!!
お兄ちゃんのジョブは魔法騎士、運動神経抜群!!
大丈夫よ、マリス、アナタならやれるわ。
だって私には、お兄ちゃんがいるんですもの。
お兄ちゃんに正しいダンスを伝えれば、後は大丈夫なはずよ!!
やってやるの!多分これは私に課せられた使命なのよ!!
「あ、あのね……… あの踊りマリス、違うんじゃないかなぁと思うの。」
お兄ちゃんはキョトンとしている。
そりゃそうだろう。始めて見た者が違うってなんのこっちゃだよ。
だけど説明できないもの、ココは強引ング・マイウェイ。
別名スルースキルとも言う。発動するの!
「と・に・か・くお兄ちゃん、見て欲しいの!!」
フスン!と気合を入れてお兄ちゃんに言えば、気圧された様にお兄ちゃんは返事をした。
しっかりと見る体勢になったお兄ちゃん。
それを確認し、私は気合を入れる。今世初めてのダンス!
”マリスいきます!初ロボットダンス♪”
**** 30分後
ウッウッ……… マリスは、もうダメなの。
「例えば、こんな感じの…… ウェーブじゃないかな~、なんって?」
「ごめん。もう一回いいかな?」
「う、うん。じゃあ行くよ。こんな感じ?」
こ、こうよね。順番に部分を動かして…… 波みたいに表現するのよ。
が、頑張るのよ、マリス!!指先まで伸ばす!
「……………… ?」
反応がないから、何度も繰り返す。
そのまま見続ける、兄ちゃん。
”どう?少しは上手くできたと思うのよ。”
チラッと見ると、お兄ちゃんは眉間のシワを作っていた。
……… つ、次よ。
「そ、それじゃあ~、スライドウォークいきま〜す!」
私は手を挙げて、気合を入れる。
「ああ……… 」
お兄ちゃんは腕を組み、真剣な表情で見ていた。
えっと、確か重心移動……… 頭の高さ変えないで、いーどう?
何度も何度も繰り返し………?!
「ふ、ふくらはぎが…… つった!」
私は涙目で呻く…… グスグス。
でも負けてはダメよ!!私はキッと上を向く。
「も、もう一度するね!」
平行よ!とにかく頭動かさないの!
必死につま先立ちに成りながら、体重移動を繰り返す。
私は涙目で、相当頑張っているの。
でもなかなか伝わらない。ウウウ………
「………ごめん。何が違うのか、よくわからないんだ。」
お兄ちゃんは、すっごく申し訳なさそうに私に言った。
「うん……… いいの。ごめんね、お兄ちゃん。」
太ももとふくらはぎ痛い……… 伝えるのムリなの。
ムーンウォークなんて、もっと無理だわ。
「俺もわからなくてごめんね。いろいろと疲れただろう。今日はもうお家へ帰ろう。」
「うん、お兄ちゃん。」
や、やっぱりこの使命は大変なの。
運動音痴な私が悪い…… 毎日練習よ、うん。
慰めるお兄ちゃんと、ちょっと涙目なマリス。
滲むクリスマスイルミネーションを見ながら帰って行った。
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)