クリスマスシーズン☃ 3
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
さて皆さん、今マリスはとっても怒っています。
理由は知ってるよね?そう、お兄ちゃんです。
あの後、トボトボとお家に帰ったの。
お父さんに怒られるな~、仕方ないな~って。
そしてお家に帰ったら、お兄ちゃんが仁王立ちしていたの。
そして言うの………
「どこに行ってたんだ?心配したんだぞ。何で付いて来ないんだ。」
ねぇ……… おかしくない?
何で付いて行かなきゃいけないの?
心配って、私ポツー--ンと、置き去りにされたのよ。
どこに行っていたって、どこでもいいじゃない!!
私邪魔扱いにされて、置き去りされたのよ。プチーーーン………
マリスは怒っています。
とっても、とっても、とっても、怒っています。
「ア~~……… マリス、いい加減許してやれ。」
「イヤ……… 」
「マリスちゃん。」
「………………」
「「え、えっと……… 」」
お父さんとお母さんが何を言おうと、マリスは今怒っているのです。
「こりゃダメだ……… 完璧に怒っているな。」
「そうねー…… こうなると放置するしかないのよね。」
「とにかく諦めろ。今は何を言っても無理だ。」
私にお兄ちゃんはいないのです。
知りません。マリスはとっても忙しいの。
「お父さん、昨日マリスが言ったお話覚えてる?」
私はお父さんに、おっちゃんから言われたお話を振る。
マリスにお兄ちゃんなんていないもん!
「オオ……… アレなぁ…… どうする?マリスの考えを教えてくれ。」
チラチラとお兄ちゃんを見ながら、私に聞くお父さん。
お母さんがお兄ちゃんを慰めている。フン!
「せっかくだから、エコ魔石を使った物が良いと思うの。お父さん達拡販したいんでしょ?いろんな可能性魅せつけたいいと思うの♪」
こぶしを突き上げ力説する。考える品は1・2・3位、と特別賞3つ。
特別賞は同じ物で良くて、だから4品考えればいいの♪
ウフウフ……… と私が笑っていると、お父さんとお母さんが顔を引き攣らせている。
「完全無視だよ。こえ~……… 」
「かなり怒り心頭だわ。先が長そうだわ……… 」
マリスはとっても怒っているの。
頭ごなしに怒るお兄ちゃんなんて嫌い。
ジュリアス・ピッコリコが、死にそうな顔でフラフラと、街中を歩いている姿が目撃された。
いつもの様に、商売繫盛で頑張ったの。
お母さんの横を陣取って、今日はお金の精算に勤しみました。
「ハイ、合わせて350ランです。お釣りは50ランです。ありがとうございました。また来てね~♪」
こっちに、10ランケース♪100ランケース♪
「ハイ、いらっしゃいませー♪こちらの商品とこの商人合わせて、1080ランです。ハイ、1200ランですね。100ラン、チップ!ワァ~、ありがとう♪あ、お釣り20ランです。ありがとうございました~。お母さんチップ貰った~♪」
「よかったわね。マリス」
今日も元気に商売繫盛♪
そしてお父さんとおっちゃんの所へ行く。
最近マリスは、とっても忙しいの。
フンフンフン♪
「マリス……… いい加減ジュリアスを許してやれ。」
「イヤ……… 」
お父さんが言うけれど、マリスなんも悪くない。
置いてきぼりしたの、お兄ちゃんだもん。
「お父さん、子供の世界は大変となのよ。単純ではないの。わかった?」
「例えばどんな風にだ?」
お父さんは、子供の世界の大変さが理解できないみたい。
「子供の世界は、身体の大きさ、価値感の違いは、大人に比べて大きいの。お兄ちゃんが、なぜ来なかったと言ったけど、身体が大きい人達の集団に向かって行ける?私怖いわよ。」
「……… なるほど」
「私達はまだ小さいし力も弱い。だから怪我しない様に、そんな所に一人で行く訳ないじゃない。それに大人みたいに、考えてくれないもの。私達の扱いが雑なの。」
私達チビのうっぷんを力説して言うと、お父さんも納得した。
「確かに、ジュリアスが悪いな。邪魔と言われていく訳がない。身体の大きさも力の違いも確かにある。だが連れ去った彼女達はいいのか?」
お父さんが不思議そうに私に言った。
「だってイルミネーション効果で、影響を受けた人達だもの。私の恋する乙女の夢を、ふんだんに盛り込んだのよ。むしろ共感してくれてありがとうじゃないの?」
「そう言われてみればそうだな。巻き込まれ事故ってヤツか?」
「それはマリスも思ったの。だからおにいちゃんだけ悪いの。裏切者なの。」
「そっか~……… ジュリアス、お前やっちまったな。」
お父さんが何かボソッと言ったけど、よく聞こえないわ。
さて始まりました。テスト走行第2弾!
手直しした所は、ボード板の裏に溝を掘り、前と後ろは反り返る感じにしました。
これにより雪道を割く様に進み、板にへばりつく雪の心配もなくなりました。
そして噴出口をなくし、ボード全体に粒状のエコ魔石の塗装に変更。
エコ魔石は、風と火の混合タイプに変更しました。
これで火傷するほどの熱さもないし、ボードの凍結防止になるでしょう。
キックボードの前のそりが上下に動く様にして、埋まらなくなりました。
後ろの反りには杭が出るブレーキを作り、安全運転できます。
更に、折り畳み運搬出来るようになりました。
これは前世のワタシ、がんばった。必死に思い出したの!
ファンスキーは、足を固定するマジックテープを金具に変更。
これで操作がよりスムーズになると思います。
スケートの様な走行で、更に魔石で素敵な走りを見せてくれるでしょう!
移動はどちらも重心移動で動かすから、慣れたら楽だと思うの。
「これはなかなか大変ですけど、なれたら楽しいです。」
「魔力操作と重心移動、どっちも鍛錬になりますね。」
実際、兵士の兄ちゃん達も、初めは試行錯誤していたの。
でもコツを掴んだ後は早いです。
前世でよく見たアクロバティックな、カッコいい走りを見せてくれた♪
「これはとても楽しいですね。」
「うん楽しい。ただ難点は、エコ魔石が機能してるかしてないか判らない事だな。」
なるほど~…… それはあるかも………
「なかなか難しいな。それ以外はオッケーでいいか?」
「エコ魔石は塗装タイプですから、劣化の判断が難しいと思いますよ。交換対応してませんし。」
ラックビルさんが言う様に、塗装のし直しで魔石を充電する感じになるみたい。
ここも本人が出来るように改良の余地ありか。
「本人が毎回、走行前確認してくれじゃ、ダメだよな?」
お父さんが試しに言うと、皆が頷きダメと言う。
私は裏を見て魔力を少し流して見ると、薄っすらとボードの色が変わる。
今度は強めに流す。ハッキリと塗装した所が赤色へ変化した。
「お父さん、表に柄を色付けして魔石を塗るの。ザラッとして滑り止めになるよ。そして色の変化で魔力のサインになるわ。ボードもカッコいいデザインにして、手袋付にしたら、火傷防止にするのはどうかな?」
用心大事。大した熱さじゃなくても、わからないもん。
それに前世のデザインは、めっちゃ派手でカッコよかった。
中二病炸裂させたボードを作るのはどうだろう。
ついでにそれに合わせた服も欲しい。
ニマ~~~~♪私閃いたの。ここにモデルがいるの。
商品説明にデモンストレーションは必要よね♪
ちょうどクリスマスパーティーで、コンテスト結果発表するもの。
盛り上げる為にも催しで、ジャジャン♪とデモンストレーションするのはどうかな♪
「ウフウフ…… フフフ……… 」
頭の妄想に没頭する私に、まわりの様子に気づかない。
「アァ~…… こうなったら実行は確実だな。」
「何を思いついたのやら……… 」
「意外とムチャ振り炸裂させますからね……… 」
「あの……… 一瞬俺達見られたんですけど」
「俺達関係ないですよね?」
不安そうな兵士の兄ちゃん達。
大丈夫、コンテストでデモンストレーションしないの。
一瞬考えたけど、お兄ちゃんのプレゼントだもの。
やるなら渡した後にするの。
だから、やるなら違う時にやりたいな♪
私はお母さんを巻き込み、服のデザインをしているの。
スキーウェアに似せたデザインにしたい。
インパクト重視で派手な色彩と防寒。
ズボンまでは無理だけど、上を変えたい!
「お口ぐらいまで上げたいの。中は暖かい物で裏生地につけたい。」
そして手袋だ。腕の所が閉まるタイプを作るのだ。
ここ出て来るマジックテープ。
実はこの世界、カエルの唾液が代わりになるの。
ちょうどモチとり粉みたいにベタベタして、透明なものなのよ。
これを布に塗るとアラ不思議♪マジックテープもどきが出来上がるの!
誰が考えたのか分からないけれど、よくやった!なの。
隣の部屋では、お父さんとお兄ちゃんが話している。
多分来年のお話をしているのだろうな。
”お兄ちゃん、学園行くのかなぁ?”
行かないと言っているけど、行く事になると思うの。
そう思うとやっぱり寂しい………
このままプンプンして、いってらっしゃいはイヤだと思った。
次の日の朝。インカゴールデンのお山を見に行く。
今日は定休日だから、自由時間が多い。
メイヤーちゃんとも遊ぶ予定。どこに飾るか考えないといけない。
「フウ……… 今日もお山は真っ白ね。」
この山を見ると、前世の世界が近づいてくる気がする。
いろいろなモノで溢れていた世界、懐かしくて、寂しい。
まるで一人この世界に取り残されているような気分になる。
空からチラチラと白雪が落ちて来る。
顔に落ちる冷たい雪は、ヒヤッとして消えてゆく。
「何をしているの?マリス……… 」
後ろを振り向くと、お兄ちゃんがいた。
とても困った様な不安げな顔で、私を見ていた。
「寒いだろう、マリス。今日は雪が降り積もるかもしれない、帰ろう。」
そう言って手を差し伸べる。私はその手をジッと見ていた。
そんな私を不安げ見るお兄ちゃん。
「マリス、この前はごめんよ。始めに謝るべきだった。許してくれないか?」
「お兄ちゃんは、何が悪かったのかわかってる?」
「ああ…… 置いてきぼりにして、迎えに行かなかった。来るもんだと思っていたから……… 」
「私、邪魔って言われたんだよ。」
「ごめんよ。それを俺は聞こえなかったんだ。」
「………………」
私は俯いた……… そんな私を抱きしめてお兄ちゃんは謝った。
「ごめん、始めに怒らず、理由を聞けばよかったんだ。ホントごめんよ、マリス。俺はマリスが大事だ。このままの状態は辛いよ。許してくれないか、お願いだ。」
そう言って私の顔を見つめた。
お兄ちゃんの瞳は不安げに揺れていた。
「お兄ちゃん、学園行くの?」
「そうだな。行く事になりそうだ。」
「それじゃあ、3年間会えないね。」
「イヤ、長期休みは戻るつもりだよ。」
「でも年に1回だよね……… 」
「……… なるべく帰る様にするつもりだ。マリスに会いたいからね。」
そう言ってまたソッと抱きしめた。
お兄ちゃんと離れ離れになるの………
寂しいな……… 嫌だな………
「今度はちゃんとお話し聞いてね。」
「絶対そうするよ。ありがとうマリス。許してくれて……… 」
「まだ許すって言ってない……… 」
「どうしたら許してくれるの?」
お兄ちゃんが頭を優しく撫でながら聞いて来る。
「抱っこして……… 」
「うん?」
「お家に帰りたいから、抱っこして。」
私はそっぽを向いたブスくれた顔で、お兄ちゃんに言った。
そんな私の鼻を摘まみ、ほほ笑むお兄ちゃん。
「仰せの通りに、我が愛しき姫よ。」
そう言って、騎士の礼をして見せた。
まったく口が上手いの。くさいセリフが似合うの。
私は両手を差し出し、「ンッ!」と抱っこを催促。
軽く抱き上げられ家路へ帰る。
私は後ろを振り向き心の中で、インカゴールデンにさよならをした。
抱き上げられ身体は、とっても暖かかった。
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)