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ジュリアス・ピッコリコはいつも妹に振り回される 2

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。

 




 そしてついにマリスは、あり得ない程の覚醒者の叡智を魅せつけた。

 7歳の冬、ちょうどクリスマスシーズンだった。



 毎年マリスは良く商店街に向かっては、クリスマスの飾りを見ていた。

 クリスマスの歌を歌って、とても楽しそうなんだけれど………


「あればかりは、仕方がないんだよなぁ。」


 マリスがクリスマスツリーを眺めながら、どこか遠くを見つめている。

 そんなマリスの姿を、なぜか大人達は申し訳なさそうにしている。

 俺は親父に、どうしてなのか聞いた。

 そして大人達の態度も………


「俺達はまだまだ全然手が届いてないんだよ。クリスマスの光景に………」


 そう言って、申し訳なさ気な顔をする。


「それにクリスマスには、いろんな記憶(モノ)が詰まってんだろう。だからマリスもあぁなる。ジュリアス、お前クリスマスソング歌ったか?」


 もちろんという風に頷くけれど、提示された歌は知らないモノだった。

 僕はその歌詞を見せられて、マリスの横顔を見つめいろいろと思った。

 たくさんあるクリスマスソングには、たくさんのラブソングがある。


 ”もしかして…… 彼女にもそんな人がいたのだろうか?”


 そう思うと、どうしようもない憤りと嫉妬心に支配される。

 もう君のいる場所は()()なんだ。

 君の隣にいるのは、俺なんだと叫びたくなる。

 今日もマリスは、商店街のクリスマスツリーを見に行った。

 俺はその後姿を黙って見送っている。

 俺はクリスマスが大嫌いだ……


 時々横でクリスマスソングを歌う、マリス。

 その日の歌は恋に破れた歌だった。

 だから一段とイライラする俺。


「マリス、その歌好きなの?」


「ウン、なんか切ない歌だよね。」


 そう言ってニコニコと笑うマリス。

 そしてその後、また違う歌を歌い出す。


 俺に腕を組んだり、抱き着きながら、笑顔で歌い歩くマリス。

 何となくその歌の相手が、俺の様な気分になり楽しくなった。

 その歌詞に出て来る………


 ”キラキラに輝くシャイング………”


 確かにこの世界のクリスマスは、キラキラに輝いてなんていない。

 だからだろうか、俺は街並みを歩くマリスをみつける度に……


「マリス、何をしているの?」


 口癖のように、コチラへ戻すように声をかけるんだ。

 昔の様にイライラする事は、もうなくなった。

 クリスマスの景色は、望郷の景色なのだろう。


 そしてついに、そのキラキラに輝く眩いばかりの光の世界が目に映る。

 皆が渇望し願っていた光景であり、風景だった。


 ”アア……… これがマリスが恋しがったクリスマスの風景。”


 他の人々も涙を受ける者達もいた。

 覚醒者達が恋しがった光景が、今目の前に現れたのだから……


「マリス、遂にやったな♪」


 親父が隣で笑いながら言った。母さんも楽しそうに笑っている。

 ラディウスさんも、とても幸せそうに笑っていた。


「私は以前、ここにいた覚醒者と話した事があるんですよ。」


 とても懐かしそうに、クリスマスイルミネーションを眺めながら言った。


「クリスマスは、光り輝く宝石の様な世界なんだと、地上に星が瞬いている様なそんな光景であり、風景の一コマなんだと言っていました。」


 目の前にたくさんの光が煌びやかに瞬いている。

 クリスマスツリーもまるで世界樹のように、とてもとても楽し気に瞬いていた。


「歌い手を見て下さい。夢見た世界が目に映る喜びは、一体どれ程でしょう。」


 覚醒者に惹かれる様に異能と異才が寄り集まり、この町は出来上がった。

 覚醒者の願いや望みを叶える為に、集まった者達とも言える。

 それが長年なかなか叶わなかった、クリスマスイルミネーション。

 クリスマスツリーを眺め、街並みを眺め、寂し気に歌うマリスの姿に、街の者達もいろいろと思った。

 今までマリスほど小さい幼子の覚醒者は、この町にいなかったのだ。

 それにどの覚醒者達も、クリスマスには皆思い入れがあるようで……


「遂に遂に叶える事が出来ました。これが満点の星空のきらめき何ですね。」


 ラディウスさんは、涙を流しながら喜んでいた。


 それからもマリスは、いろいろと何かしている。

 マリスはあちこちと出かけ、気がつけば俺はマリスと一日関わっていない日さえあった。

 それなのにマリスは全く気にせず、親父や母さんと話し楽しそうにしている。

 そんな時マリスと出かけ、なぜかマリスと引き離されてしまう。

 久しぶり二人で出かけられたのに………

 俺の怒りは頂点へ達した。

 その後何があったかは話したくない。

 ただ広場で待ったけどマリスが来ず、家に戻り探したけどマリスは家にいなかった。

 それからだいぶ遅くにマリスは帰宅した。

 いつもと変わらない様子で、親父をキョロキョロと探していた。

 全く俺を気にする様子もなかったんだ。



 その後俺は、マリスに完全無視の刑に処せられた。

 そう…… マリスは全く悪くない。

 俺はマリスの態度に、戸惑い怯えた。

 気持ちばかりが焦り、何をしたらいいのかわからない。


「お前どうすんだ。俺達ではどうする事も出来な程、怒り心頭だぞ。()()()()と言っていたぞ。」


 親父がそう言って発破かけるけど、俺は戸惑い途方に暮れる。


「私にお兄ちゃんなんて()()()()()()()。っていってるけれど、このままでいいの?」


 母さんからも言われるけど、俺はマリスに嫌われるのが怖くて怯えた。

 マリスと顔を合わせたのはいつだろう。

 俺はもうマリスと一生、このまま話せなくなるのか?

 前の様に、触れ合い暖め合う事がもう出来ないの?


 最近俺はフラフラと、街並みを歩くのが日課になっていた。

 あてもなくイルミネーションの輝きを背に歩いている。

 歩きながら、いろんな事を考えるんだ。

 最近親父から、学園に言った方がいいと言われる様になった。

 俺はいく意味がない事を何度も説明したが……

 このままマリスと話せまま、離れ離れになるつもりか?

 学園に行った方がマリスも喜びそうだとふと考えると、どうしようもにない寂しさが身体を苛む。

 すると、いつもの様に流れて来る、クリスマスソングが、耳につく。


 ”いつまでも手を繋いで…… きらめき……… 初めて君を失う事を怖いと……… ”


 ”人を愛するという事に…… メリークリスマス♪”


 俺は一体何をしてる?!俺は自分の弱さに驚いた。

 クヨクヨするより、マリスを見つけて謝らなければ!

 俺はなんでこんなにも怯えているんだ?

 このままだと、ホントにそうなってしまう。

 歌詞に流れた言葉に、気付かされた俺は家へと戻った。



 家に帰るとマリスは、母さんと楽しそうに話をしている。

 そして親父は俺を呼んだ。たぶん学園の事だろう。

 直ぐに謝りたい気持ちを我慢し、先にコチラを片付ける。

 隣の部屋でマリスの賑やかな声が聞こえた。

 それだけで、今の俺には癒しだった。


「ジュリアス、学園には行って貰う事になる。今の時点ではお前が次期王だ。」


 俺の今の立ち位置と状況が、俺の願いの邪魔をする。

 悔しくて、哀しくて、どうしようもなく煩わしい。


「散々今まで私を邪魔者扱いして、今更じゃないですか。私は王などになるつもりは、これっぽっちもありませんよ。叔父上。」


「おい!突然王子風になるなよ!!」


「うるせーよ!誰がなるか!!そんなもん喜んでやるヤツがすればいい。だから俺は学園にいかない。意思表示だ。ちょうどいいじゃねぇか!」


「お前は極端なんだよ。とにかく行け!今のままじゃマジで、お前王太子だぞ。いいのかよ!」


 実は父上つまり王だな、には好いた人がいる。

 お互いそれなりに想い合っている様なんだが………


「そんなになんですか?でも私が戻ったからと、どうにかなるモノでもない。」


 マリスのイミテーションアクセサリー、出来上がったよな?


「お前はホントに…… とにかくだ。どうにかしてやれ。そして子供を作らせろ!男の子をだ。ちくしょう…… マリスの奴、産み分けとか知ってるかな?クソ………必要だからと考えただけで、腹が立つな~、クソッたれ!!」


 親父の言った言葉に、俺は手に持っていたコップを握りつぶした。


「お前の妹思いも相当だな。ホント天使の様に可愛いのに妊娠の話だなんて、何十年先だよ。」


 親父は今のマリスを思い浮かべ、機嫌がよくなった。

 俺は相変わらず不機嫌なままだ。

 子の産み分けだなんて、前世のマリスが知っているかなんて?!

 俺は頭グツグツと煮えたぎった様に、なかなか怒りが治まらない。

 もちろん悋気もだ。誰かがマリスを抱いたと思うと……


「お前いい加減に治まれ、それより仲直りが先だろうが……」


 呆れたように言う親父の言葉に、一気にクールダウンより先の…… 氷点下。


「お前の魔力のせいで、部屋が寒いわ?!とにかく学園に行く。決定!わかったな!!」


 そう言って部屋を追い出される、俺。

 隣の部屋を見ると、母さん一人でのんびりとしていた。

 マリスはもう寝たと言う。


 ”ホント一人寝がつらいよ、マリス。”


 マリスが抱き枕を作ったがために、今年の冬から一人寝になった。

 一人で寝る布団の冷たさが、今ほど身に沁みる事はなかった。


 次の日の朝、家の中にマリスはもういなかった。

 たぶんインカゴールデンにご挨拶しているだろう。

 そう当たりつける、マリスを探しに家を出る。

 真っ白お山を眺めながら、『コンドルは飛んで行く』を鼻歌うマリス。

 どんなにクリスマスシーズンでも、インカゴールデンにはこの曲なんだね。

 俺は勇気を振り絞って、マリスに声をかける。

 いつもの様に声をかけたけれど、俺の声は弱さが現れていた。

 マリスが俺をジッと見る。ダダそれだけ………

 俺はもう一度声をかける。

 マリスとずっと一緒にいたいから、自分の気持ちを言った。

 マリスから反応が返って来て、いろいろあったけど……

 両手を差し出す姿が、抱きしめた身体の暖かさが嬉しかった。

 マリスにはバレなかったけど、俺は涙が流れた。

 俺は心からホッとしたんだ。


 ホント失うなんて事出来るはずがないよ。





読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

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