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19/22

クリスマス☃

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。

 

【ジョーダンside】




 気付けば、まったりとした空間だ。

 至るところで寛いでいる大人達。

 ちょうどいい間隔に配置されたイスが、和やかな時間に添えていた。


「よく考えてやがる。イスに置かれたクッションとひざ掛け。」


「テーブルもそうね。子供の絵と、コサージュがとっても可愛いわ。」


 まさに大人の、それも子を持つ親のデート演出だった。


「ココにジュリアス君達がいなかったら、イチャイチャしたわね。」


 ユーリアがそう言って、指を差した先には……

 まだ子供のいないカップルが巾着袋を見つめて、ニコニコを微笑み合っている。


「なんかああいうのを見ると、懐かしいな。」


「そうね。マリスを産む前の私達だわ。」


 そう言ってほのぼのとした空気が流れていた。


「でもマリスはどうなのかしら?」


「なにがだ?」


「ウ~ン…… マリスにとってジュリアス君は……」


「兄ちゃんだな……」


「「………………」」


 どうするつもりだ、ジュリアス。

 俺は自分で言って、この後の展開に頭を悩ませた。


「ジュリアス君におまかせという事でいいわよね?」


 俺を見て確認するユーリア、俺は素直にうなずく。

 変にしゃしゃり出て、拗らせるのは良くないからな。

 辺りもほのぼのとした雰囲気で、のんびりとしている。

 そろそろ家に帰る頃合いだな。


「親父……」


 ジュリアスがタイミング良く声をかける。

 コイツにはマリスに関して、いろいろと言いたい事があるが……

 今日は我慢しないとな…… 俺も場の空気は読む。


「おう、ジュリアスありがとう。最高な気分だよ。お前の抱負もわかった。待ってるよ。」


 俺がそう言うと、ジュリアスはニヤリとほほ笑んだ。

 そのニヤリにいろいろと思う所があるが、我慢だ。

 今日はとにかく我慢だ、ジョーダン。


「ところで地上での望みって何だ?」


 俺がそんな事を言うと、「帰る事」と言われた。

 つまり、リコの町へ帰る事……

 なるほど…… こりゃまた厄介だな。

 俺は憐みを含んだ目を見せたが…… ニヤリと笑いやがる。

 つまり叶える自信がある表れだった。


「それより親父、メッセージカード貰っただろう?」


 ジュリアスに言われて、俺はそうだと思い出した。




 ****************




 カラ~~ン  コロ~~ン  …♪


 カラ~~ン  コロ~~ン  ……♪


 教会の鐘の音が聞こえる。

 イブの夜が終わり、本格的な冬の到来、引きこもりの時期だ。


「マリスちゃん、おはようございます。」


 メイヤーちゃんの声をかけられた。

 他にもポツポツと起きて上がる子供達。


「おはよう、メイヤーちゃん。」


 私もあくびをしながら、ごあいさつ。

 ホントぐっすりと眠ったの。

 夢を見た記憶はありません。


「教会の朝は冷たいよね。」


「うん、ヒヤ~~とするね。」


 朝の澄んだ空気は、心地いいが寒さには負ける。

 今日から本格的な冬の寒さが到来する。



 冷たい雪解け水で、お顔を洗うマリス達。


「ざむい~~~!、づめだい~~~!!」


 禊みたいな扱いだから仕方がないけれど………


「ヒュエ~~~~~~!!」


 たくさんの子供達は、アワワワ……といいながら、手を突っ込むのだ。


 ”コレが終われば、暖かい蒸しタオル。”


 ”コレが終われば、暖かい蒸しタオル。”


 そう思いながら気合を入れて、手を突っ込み……


「ウギャアアアア!づめだい~~~!!」


 それがクリスマスの日のいつもの風景。


「何で雪解け水なの?」


「昨日降った雪は、神様と共に降りた立った雪だから特別なのよ。」


「あの雪は神像の手に集まったモノなの。」


 なるほど…… でも冷たいの。


「私達も子供の頃、何故温めないのかと思ったわ。」


「でも毎年毎年……クリスマスの朝から神像の手に積もった雪を頂く時、確かに白さが違うのよ。」


「それに気づくとやっぱり特別な雪なのよ。だからがんばるのよ!」


「それに耐えれば強い子よ。無病息災!」


 そうなのです。この雪で身を清めると、無病息災………

 もちろんそれでも病気になるけどね。悪化しないという事らしい。

 ホカホカの蒸しタオルで、ホオ~~~とため息をつく私達。

 この瞬間がとっても幸せなのだ。


 ”何とも言えない気持ち良さ………♪”


 かじかんだ指に、ホカホカの蒸しタオルの暖かさが気持ちいい。

 そしてシスター達が、魔法で頭を暖めてくれるのだ。


 ”冬の朝のドライヤー、気持ちいい……。エコ魔石で作ろう。”


 ホコホコしながら、マリスは考えるのだった。


 食堂へ向かうと暖かいパンプキンシチューと、焼き立てパン。

 そしてホカホカのベリージュースが添えられている。


「さあ皆おあがりなさい。おかわりもありますからね。」


 皆で食べる朝食は、毎年とっても賑やかで楽しい。

 甘酸っぱいベリージュースを、フーフーして飲むマリス。


「やっぱり教会のベリージュースは美味しいの♪」


「うん、お家のベリージュースと違うよね♪」


 教会のホットベリージュースは、甘酸っぱいと濃厚さ、そしてほんのりまろやかな甘みがあるのだ。


「ボク、教会のベリージュース好き。」


「私も好きよ。身体あったまるもん。」


 お友達も皆笑顔で飲んでいる。

 そんな子供達を嬉し気な顔で見ている、神父様とシスター達。

 それ以外の料理もとても美味しく、身体が暖まる。

 トロリとしたホカホカのシチューに、焼き立てパンを付けて食べる。

 そのまま焼き立てパンを、ムシャムシャ食べる子もいる。


「焼き立てパンにバター、幸せの味なの♪」


 マリスはバターの溶ける味にご満悦だった。


「皆さん、食べながら聞いてね。昨日はいろいろとお疲れ様でした。」


 シスターマリアンヌが、ニコニコ笑顔で話す。


「昨日の夜はホントにとっても素敵なものでした。大人達は皆とても喜び感動していました。私からもありがとう。お家でもお話があるでしょう。皆様に幸せあらんことを祈りますわ。」


 とっても嬉しそうに楽しそうに話す、シスターマリアンヌ。

 その様子からメッセージキャンドルナイトが、成功した事を確信する。

 子供達はそれが分かった瞬間、


「「「「「ヤッタ~~~!!」」」」」


 大喜び♪自分達の目で見れなかったけれど、お兄ちゃんおねえちゃん達に聞こう。

 子供達は満面の微笑みを浮かべた。


 その後シスター達から、自分達の手形の巾着袋を貰った。

 中には美味しい飴玉とカードが一枚。


 リコの町はとこもかしこも幸せで、満ち溢れているのだった。




 ****************


【ジュリアスside】



 家族みんなでマリスを迎えに教会へ向かう。

 昨夜降り積もった雪に、足を埋めながらザックザックと前へ進む。


「そういえばさ、カイがファンスキーしたいって言ってたよ。」


 俺は親父に伝えた。たぶん今年の冬はそんな奴らが増えるだろう。


「ああ、だぶんそうだろうな。お前のは特別製だぞ。」


 親父はニヤリと笑い俺に言った。

 なんでもマリスのこだわり使用らしい。


「アレは別に魔石がなくても楽しめるぞ。あれば更に加速がついて、すげー事になる。」


 つまり………


「魔石ナシなら、手に入り易いのか?」


「そういうこった。その分おもしろ型もある様だ。」


 親父は気になる事を言って、母さんと話し始めた。


「その帽子はマリス用か?」


「そうよ♪ついでにメイヤーちゃんにもつくったの。」


 母さんの手には、耳のついたフワフワの帽子。


「可愛いでしょ♪コレがスヌードと一体型なのよ。あの子達もこの冬、外遊びが増えそうでしょ。」


 黄色のウサギ耳がマリス、ピンクの猫耳がメイヤーちゃん。

 母さんは付けた所は想像しているのか、とっても楽しそうな顔をしていた。


 教会へ行くと、たくさんの人たちで賑わう。


 カラ~~ン…… コロ~~ン……


 カラ~~ン…… コロ~~ン……


 いつもは12時の鐘が、11時……

 そろそろ教会から地上の天使達が現れる時間だ。

 最近のリコの町はいい天気が続いている。

 今日も快晴の蒼い空が、めずらしく見えている。


「今日は神様もご機嫌なようで、顔を出してるな。」


「ホントね。いつもなら寒い冬の雲に覆われているのにね。」


 そんな話があちらこちら聞こえてくる。

 本格的な冬の到来にはめずらしく快晴の青空。

 教会からは子供達が、続々と出入口から出てきた。

 手には手形の巾着袋を持っている。


 ”どうやらしっかり渡してくれたようだな。”


 飴玉はジュリが作った特別製。

 小さい子供には、お友達の指人形。


「ただいま~~~♪」


 マリスが満面の笑みを湛えてやって来る。

 そしてそのまま母さんに抱き着いた。


「お母さん、メッセージカード読んだの。マリスとっても幸せよ。お父さんもありがとう。」


 そう言って親父にも抱き着いている。

 親父もにやけ切った顔で、マリスを抱きしめ返していた。

 そして……


「お兄ちゃん、ありがとう。とっても素敵なプレゼントなの。」


 俺達世代が考えた事は、親から子へのメッセージカードを渡す事。

 常日頃言えない事を伝える、メッセージカード。

 俺達世代はメッセンジャーとなる事だった。


 "アナタの未来に幸あらん事を願い、いつも貴女を見守っている。”


 他の家族もメッセージを受け取り、子供の喜ぶ声が聞こえる。

 それは孤児院の子達も同じこと、シスターや神父、町の人達からのメッセージが届いているだろう。


「さあ、家へ帰ろう。のんびりと今日は過ごそう。」


「あら!私はファンスキーとキックボードに乗った所を見てみたいわ。」


 そう言ってマリスの頭にウサギ帽子をかぶせる。

 スヌードと一体型の為、すごく暖かそうだ。

 黄色のうさ耳がご愛嬌。


「ヌクヌクなの〜♪」


「マリスちゃん可愛い♪」


 ちょうどいいところに、メイヤーちゃん。

 母さんは、メイヤーちゃんにもピンクの猫耳帽子をかぶせた。


「メイヤーちゃんも可愛いの♪」


「すっごく暖かいね。」


 二人ともニコニコ笑顔で笑い合っていた。

 ほのぼのとした幸せな空間、どこもかしこも幸せそう。

 そんな中、カイが走ってやってくる。


「今インカゴールデンが、凄い事になってるぞ。」



 そこに見えるのは、眩いばかりの黄金の塊。

 太陽の輝きと同じ眩い光で輝いている。


「インカゴールデン、稀に視る貴石じゃないか!!」


 なぜそうなるのか?

 いくら太陽の光が照らそうと、いつもは普通のお山なのだ。

 たけど一生に一度見れるか見れないかの確率で、お山が起こす奇蹟。

 太陽の黄金石(インカゴールデン)


「お山が金ピカに、輝いてる、眩しいの!」


 マリスは大興奮!もちろん他の子供達も同じだった。

 年配の人達は手を合わせ、祈りを捧げている。


「神様も昨夜は楽しんだのだろう。粋な計らいをするもんだ。」


 親父は清々しい笑顔で言うと……

 周りの人達も確かになぁと笑い納得をする。


 この奇跡の出来事は、後世へ伝わるだろう。

 貴石の山インカゴールデン、子供達の起こした奇蹟として………



「メイヤーちゃん、この飴玉ジュリ姉のだって。」


「普通の飴玉じゃないね。」


「「「ウギャアアアア!!」」」


 やっぱり普通の飴玉じゃないの……


 今日のリコの町もとても賑やかな一日になりそうだ。





読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)


後日の番外編をちょこちょこ投稿します。

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