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クリスマスイブ☃ 6

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。


体調を崩して投稿が遅くなり申し訳ございません。

 

 寝泊まりするのは教会。

 今日はお祈りした後、孤児院の方へ移動する。

 お庭に面した部屋を灯りの装飾をする為に……

 孤児院のお友達が、それ以外の装飾と準備をしてくれていた。


「メイヤーちゃんは、何をお祈りしたの?」


 手を繋ぎ移動して、マリスが聞く。


「治癒系の魔法が使えますようにかな。その後は、多少変わったけれど……」


 メイヤーちゃんが私をチラリと見て、ほほ笑んだ。


「毎年毎年マリスちゃんのやらかしで、大変だったもの。お祈りの時、どうかマリスちゃんが早く良くなりますように、どうか治癒系の魔法が使えますようにだもの。だって治せるでしょ。でも今年は大丈夫だった。でもやっぱり用心に越した事はないから、治癒系の魔法を下さい、かな。」


 そんな風にメイヤーちゃんが話していると、それを聞いていた他のお友達がマリスに言う。


「………あのさ。その手の願いは結構多いんよ。」


「うん、マリスちゃんのやらかしで、かなりの子が左右されていると思うよ。」


 皆がマリスに忠告する。………噓?!


「僕は、薬師のジョブ下さい。直ぐ治せるようにだったかな。今年もそのままにしたよ。」


「アタシはポーション屋さん。とにかく即効性のあるモノを作りたいって!」


「私は治癒師かな。とにかくどうにかしたかったから。」


 そんな私達の話を聞いていた、シスターと神父様。


「マリスちゃん、よくよく自分の行動を悔い改めるようにね。皆の優しさとご家族への感謝を忘れてはいけませんよ。」


 すごく申し訳なくて、ホント今までごめんなさい。

 皆がそれだけ心配された事に、お詫びのしようもなかった。

 だから心を込めて、ありがとう、もうしません、ごめんなさいと一人一人に言った。

 つくづく自分の安易な行動を、悔い改める日となった。



 孤児院の部屋へ入ると、お兄ちゃんやおねえちゃん達が準備をしていた。

 テーブルの上には、ワインに合うチーズや果物、パテ付きのクラッカー。

 その隣のテーブルにはホットワイン。

 シナモンやベリーと柑橘系の果物が入っていて、見た目も可愛いモノだった。


 壁には手を繋ぐ絵が堂々と飾られ、回りにも小さな子供達の絵が飾られている。

 下にはマリスとメイヤーちゃんが作った雪だるま型のライト。

 そして点在するテーブルにも、笑顔の絵が描かれたライト。


 庭に出ると、飾りは佳境に入っている様だ。


「お兄ちゃんがいる。」


「カイ兄ちゃんもいた。」


 木の下に置く、抱負の書かれた大きい筒型のライト4本。

 他の子供達が作った、いろんな形のライトが周りを囲む様に置かれている。

 また通路を形成する様に、行燈ライトがポツポツと置かれ、間には雪を使ったライトもあった。


「さあ子供達、自分の手形を木に飾りましょう。」


 ジュリ姉とお姉ちゃん達が奥から現れ、子供達に巾着袋を渡す。

 その中に入れるエコ魔石を、お兄ちゃん達が渡した。

 高い位置はお兄ちゃん達が付けてくれる。

 下の方は私達でも付ける事ができた。

 今日の木はオシャレで、幹に可愛いピンクの花束が飾られている。


 ある程度終われば、シスターから消灯の合図。

 冬の空は星が瞬いて、凛とした空気が頬に痛い。


「お兄ちゃん、また明日ね。」


「ああ、おやすみ、マリス。いい夢を。」


 そう言って頬にキスをおとす。

 冷えた方がほんのり暖かくなり、また冷たくなった。


「カイ兄ちゃん、おやすみなさい。」


「おやすみ、メイヤー。ちゃんと布団着て寝るんだぞ。」


 そう言って、頭を撫でていた。


 ジュリ姉にもお休みを言って抱き締め合い、皆で笑い合う。

 明日の報告がとても楽しみ。

 目の前に拡がる光景は、光輝く幻想の世界。


「僕達作れたね。」


「うん、ちゃんとできたね。」


「お手伝いして貰ったけれど、内緒にも出来たよ。」


 今回の事で、小さな子供達も自信へと繋がっていく。


「またやりたいな♪」


「楽しかったね♪」


「またしようね。お休みなさい。」


 今日の出来事は一生の思い出になるだろう。

 皆で計画したクリスマスメッセージキャンドルナイト。

 どうか喜んでくれますように。

 どうか幸せな気持ちになってくれますように。

 今日は神様も地上へと降り立つという。

 どうか神様も楽しんでくれますように。

 全ての人が幸せを感じてくれますように……


 子供達は、皆の幸せを願った。


 教会へ帰ると、温かなエッグノッグが待っていた。

 ポッテリとした飲み物が、冷えた身体を暖める。

 幸せな夢を見れそう♪

 だから早々に布団へ潜り込む。

 ヒョコと顔を出し……


「お休みメイヤーちゃん。」


「おやすみ、マリスちゃん。」


 明日はまた違った朝になるだろう。

 子供達のクリスマスイブの夜、皆幸せな夢へ……



 ****************


【ジュリアス視点】



 マリスを含めた子供達が就眠へと向かう。

 その光景を見ると、まだマリスは子供なんだと実感する。

 子供達は手を振り、ニコニコ笑顔で教会へ入って行った。


「なあ、ジュリアス。」


 カイが俺を見る。


「今日のあのファンスキー?アレ面白いな。俺も欲しいよ。」


 今朝遊んだファンスキー、カイも楽しんだようだ。


「アレは確かに面白い。親父達が作ったモノらしいが、今回全く関わってないんだ。」


「という事は、親父さんかマリスちゃんに聞くしかないって事か?」


「そういう事だな。」


「フ~~~ン……」


 そう言って、黙り込むカイ。

 あのファンスキーはホントに面白かった。

 親父と二人でコソコソしてるなと思えば、全く……

 今回かなり俺は寂しい思いをしたと思う。

 気付けば、マリスとほぼ別行動。

 いつかは本気で怒らせ、良い所全くなしだ。


「もうすぐ8時ね。半ぐらいに連れて来るそうよ。ギルドマスターが言っていたわ。」


 ジュリは頬を寒さで赤らめている。


「カイロの準備をしたんだろ?」


 余りに寒そうなジュリの様子に、聞いてみれば、


「もちろんよ。私達の分も用意してるわ。使ってちょうだい。」


 逆に使う様に言われた。全くコイツは……

 俺とカイは苦笑して、ジュリにカイロを押し付けた。

 今は普通に会話しているが、以前は厄介な(ヤツ)だった。

 まさかマリスと関わるうちに、こうも変わるとは思わなかった。

 今ではマリスの姉のような立ち位置だ。

 邪魔者扱いした事など、本人すっかり忘れている。


「今年のクリスマスイブは、ホントいろいろと変わったけれど、とっても素敵な想い出になったわ。」


「だよな!見ろよ、この光景。最高だろ♪」


 カイとのんびりと話しているジュリ。

 何処か夢見る様に顔をして、ほほ笑んだ。


「私も結婚して、こんな景色で旦那様とデート。それを子供が準備してくれる。素敵よね。」


「妄想の世界に飛び立ったわ。私もだけど……」


「うん、どっぷり入れ込んだわ。私も……」


「自分の欲求も入れたわよ。ウフフ♪」


 女子達が偉くやる気だなと思えば……


「マリスちゃん、ホントよくやった。私、今回ほど覚醒者の意味が良くわかったわ。」


「私達も良くわかった。でもとても素敵な女の子ね。」


「ジュリアス君も大変ね。頑張って♪」


「楽しい毎日よ。頑張れ♪」


 カイは爆笑中……ホントよく笑うよな。


「今日だけでかなり腹筋鍛えたと思う。ホント面白れぇよな。」


 他人事の様に言っているけど、メイヤーちゃんと関わる限り他人事じゃない。


「お前も頑張れよ。メイヤーちゃんといる限りお前も巻き込まれるんだ。」


 俺はカイの肩をポンポンと叩く。

 そんな俺達を見て、ジュリが言った。


「やっぱりそうなんだ。でも彼女達まだ7歳よ。標的(ターゲット)にするには早すぎない?」


 普通ならそうなんだよな。

 というのも、この世界の事情に関係している。

 この世界では8歳の祝福の儀が終わり、やっと自分の性というモノに意識を向けるのだ。

 それまで性という感覚がなく、ある意味ホントに天使なのだ。

 だからこそ、覚醒者を見分ける重要ポイントになっている。


「覚醒者に関わると、性への自覚が早いというけど、メイヤーちゃんがそうよね。」


 本来この世界の子であるはずのメイヤーちゃん。

 マリスと関わり影響される事で、自分が女である事を自覚している。


「しかし戦闘系が、本能で雌を囲うというのもホントなのね。」


 ヤレヤレと頭を振り、呆れ顔のジュリ達。

 こればっかりは、それこそ本能だから許して欲しい。

 戦闘系はどうしても、雄の気質が強く出る。

 だから早い段階で、自分にとっての雌を決めるのだ。

 これも多分、8歳の祝福の儀が関係している。


「儀式に皆が立ち会うのは、それがそもそもの成り立ちじゃないか。」


 早い段階で決めれば、それだけ争いが少なくすむシステム。

 だからこそ俺とカイは、毎日セッセとマーキングしているのだ。


「そういうジュリだって、最終的にはどうなんだ?連金ほど性に曖昧なジョブはないだろう?」


 ジュリはジョブ寄りより、肉体寄りで性の目覚めに走っていた所がある。

 ただ行動はどう見ても狩人、戦闘系だったのだが………


「ウ~~ン… やっぱり女子なのは確かよ。惹かれるモノは、乙女のキラキラ系だもの。感情だって男に惹かれるわ。ただ狩人気質なのは確かなのよね。」


 頬に手を添えて考え込んでいる、ジュリ。

 俺達みたいに、男の肉体に戦闘系ジョブだと楽だろう。

 だが世界のほとんどがコイツ等みたいに曖昧な感じで、皆が自分の性とジョブに時間をかけて馴染んでいくのだ。


「そういえばジュリアス君、マリスちゃんが100歳までにやりたい事リストとか知ってる?」


 突然ジュリから、マリスに関する変な話が飛び出した。


「知らない。何それ?」


 カイもアレ?って顔してるけど、何か思い当たる事があるんだろうか?

 俺がカイをジッと見ていると、そんな俺の視線に気がつく。

 俺達以外も開始時間まで、のんびり談話が行われている。


「イヤ~、メイヤーもそんな事を話して意気込んでいたから、がんばれと応援したんだよ。」


 と暢気な返事が返って来た。

 それを聞いたジュリが苦味潰した顔をしている。


「これだから脳筋は……… なんで100歳なのか考えなかったの?」


「そう言われてみればそうだな!節目だからかな、としか思わなかった。」


「覚醒者の世界は、100歳が寿命と言われているのよ。ねぇ…… マリスちゃん寿命100歳と思ってないかしら?確かに大人の年齢を聞く事ないから仕方ないけれど……」


 この世界の年齢はだいたい300歳が寿命だった。

 これもその性とジョブに馴染む時間と関係する。

 だいたい100歳までには完了し、そこから婚姻に動き出すのだ。

 逆に戦闘系の婚姻が早いのは、いつ死んでもおかしくない為。

 だからこそ本能に強く動き、自分の雌を見分けるのだった。


「マリスちゃんの100歳までにやりたい事が何かわからないわ。ただジュリアス君、一応この件は話した方がいいと思う。ついでにマリスちゃん貴方をお兄ちゃんとしか認識してないわ。だから分っているわよね。」


 ジュリと他の女達は俺にガンを飛ばし睨み付ける。

 この件に関しては、俺も思わず戦闘本能で動きが出てしまう。


「オオ…… ジュリアスの威圧に、母性本能が勝っている。マジすげえ♪」


 カイは暢気に話しているが、彼女たちはホント怯まずに、受けて立った。

 むしろ俺の方が、怯みそうになるほど気迫を出す。


「女の団結力と雌の子に対する本能、甘く見てはダメよ。ジュリアス君、わかった?」


 戦地での将軍の様な圧を発しながら、返事を求めるジュリ。

 そして似た様にニコニコほほ笑み続ける、他の女達。


「分っている。無体はしない。」


「カイ君もわかっているわよね?」


「も、もちろんだとも!」


 そう…… 戦闘系は本能が強いため、やらかす事があるのだ。

 だからある意味、彼女達の警戒は間違いではなかった。


 そして本能が告げる。

 雌を怒らせてはいけないと………






読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

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