クリスマスイブ☃ 2
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
「キャハハハ~♪」
「アハハ!!」
二人で急斜面を滑走中です。
魔力を入れると、どんな高い雪山もヒョイヒョイ登ります。
「キャハハハ!!」
「アハハハハッハ♪」
気が狂ったように、二人爆笑しながら暴走中。
そうマリスのキックボードも、お兄ちゃんと一緒に並走しているの。
運痴でも、ドライブテクニックはあったの。
「楽しいな、マリス!」
「ウン、お兄ちゃん!!」
めちゃくちゃいい笑顔で、お互いご機嫌で満足な様子。
何だかんだとかなり滑っています。
「そろそろ身体が冷えて来たから帰ろうか。また一緒に滑ろう。」
「もちろんなの。また爆走するの♪」
私がフンス―っと鼻息をすると、お兄ちゃんが笑った。
いつもなら窘めるお兄ちゃん。今回はなしの様だ。
家に帰ると冷えた身体を暖める為、お兄ちゃんがホットミルクを作っている。
「今回シナモンと蜂蜜を入れよう。結構爆笑して喉を冷やしたからね。」
お兄ちゃんがウインクして、ミルクの入った小鍋にシナモンを入れた。
すると部屋にシナモンの香りがしだす。
「ハイ出来上がり。蜂蜜をいれるよ。」
目の前に置かれたホットミルクに蜂蜜がトロ~リ入れられた。
入れたスプーンで混ぜ混ぜ混ぜ、フウフウして飲むと冷えた喉が気持ちいい。
「結構冷えていた様だね。身体の中が暖かい。」
「そうだね、お兄ちゃん。鼻水がたれそうなの。」
ミルクの湯気で鼻の通りが良くなった。
グスグスと言い出す私に、お兄ちゃんがティッシュを渡す。
それに迷いなく、チーッとする私。
ア~~… スッキリした。
そしてこの世界あるのティッシュ!
という事は、もちろんトイレットペーパーも普通に存在します。
どこのどなたか知らないけれど、よくやった。
ホントよくやってくれた。ないと困るランキング1位だわ。
多分作った誰かさんは、絶望したと思うの。
だってティッシュはハンカチで代用できるけど、トイレットペーパーの代用って何よ?
まったく思いつかないわ。何だったんだろう、その前は?
でもクリスマスイブに考える事でもないし、話題でもないからいいや♪
「お兄ちゃん、ありがとう。」
マリスがペコリとすると、お兄ちゃんも「どういたしまして」と言う。
「鼻の通りが良くなって良かったな、マリス。」
「お鼻が通らないと、ツラいもんね。」
「そうだな。」
温かいホットミルクを飲みながら、のんびりとお話をする。
コレがピッコリコの日常。いつもの会話、だけど………
”来年からお兄ちゃんいないんだ……”
この穏やかな二人だけの時間は、来年は一人で過ごす事になる。
”寂しいなぁ……”
だから今回、いろいろと頑張った自分がいた。
思い出作りといえば、それまでだけど………
仕方がない。リコの町はこれもまた日常なのだ。
お家でまったりしていると、コンコンとドアを叩く音。
二人でアレ?と頭を傾げ、ドアの所へイソイソと向かう。
「待ち合わせ13時だよね、お兄ちゃん。」
「そうだな。誰だろう?」
ドア穴のコッソリ開けて、中を覗いて見ると………
ガチャリ……
「………13時待ち合わせじゃなかったか?」
そうやっぱりカイ兄ちゃんとメイヤーちゃんでした。
メイヤーちゃんはニッコリ笑って、パクパクと『おはよう』と口を動かす。
「イヤそのつもりだったよ。だ・け・ど・な……… 」
なぜかお兄ちゃんにガン飛ばすカイ兄ちゃん。
「お前ら!朝からうるさいんだよ!!何朝から騒いでる訳?!こっちはメイヤーが作った朝めし食べてるのに!!」
「メイヤーちゃん、すごい!朝食作ったんだ。」
「ウン♪ちゃんと私作れたよ。」
ニコニコ笑顔で話す、メイヤーちゃん。
「そんなに笑い声響いたのか?」
「ああ、めちゃくちゃ響いた!近所迷惑だ!!」
「そりゃ悪かった。」
「謝るなら、理由を教えて貰おうか!」
私達がほのぼの喋っている横で、とても殺伐とした会話が繰り広げられている。
「えっとメイヤーちゃん、ごめんね。うるさかったよね?」
「ううん、別に、とっても楽しそうだな~と思っただけよ。カイ兄ちゃんは段々不機嫌になったけどね。」
なんでだろう?とキョトンとしている、メイヤーちゃん。
たぶん相当うるさかったのかなと思う、私。
お兄ちゃん達は離れた場所に移動して話しているので、メイヤーちゃんを台所へ招いた。
「今ちょうどホットミルク飲んでたの。メイヤーちゃんも寒かったでしょ、飲まない?」
「嬉しい。私ホットミルク大好きよ。こんな寒い日には幸せだね。」
小鍋に牛乳を入れて、ストーブに乗せる。
これぐらいならマリスにも一人で出来る。
「それでさっきは何で騒いでたの?」
「ああそれはね……」
****************
「ファンスキー………?」
「これがキックボード?」
今カイ兄ちゃんとメイヤーちゃんに騒いでいた原因を見せています。
お兄ちゃんもカイ兄ちゃんに説明していたのか、スキー板をジロジロと眺めている。
メイヤーちゃんも、私のキックボードのグリップの部分を持って見ていた。
まあ物だけ見せても、訳わからないよね。
四人で斜面へ移動して、カイ兄ちゃんとメイヤーちゃんに披露する。
「それじゃ…… 滑るぞ。」
「うん、お兄ちゃん。」
「………GO!!」
お兄ちゃんの掛け声と同時に滑り出す。
ビュービューに吹く冷たい風を受けながら、ドンドンスピードも上がっていく。
ゴーグルのおかげで雪道の状態はとってもよく見えて、いい道を選びシュッシュとターンを決めて移動する。
隣ではお兄ちゃんが後ろ向きで滑り、カイ兄ちゃん達に手を振っていた。
そしてシューッと私の横に並び雪山を指で示すと、そこに向かってスピードを上げる。
”お兄ちゃんがやんちゃなの♪”
いつもは優等生な落ち着いた様子のお兄ちゃん。
だけど滑り出すと、真逆の行動に走り出す。
今もコブを使ってジャンプしたり、片足滑りしてグネグネと滑ったりして……
”ほらね。……後ろ向きのまま雪山登ってジャンプした。”
そのまま何事もない様に着地して、スーイスイと滑って行く。
”それじゃマリスも行きます。”
雪山に向かってスピードを上げる。
グングンとあげながら、風の魔力も上げていく。
そして……… そのままジャーンプ♪
お兄ちゃんに比べれると、たいした事ありませんが何か?
上手く着地して、お兄ちゃんの待っている場所まで向かった。
「ちゃんと着地出来て、よかったぞ、マリス。」
頭をポンポンされご満悦なマリス。
「お兄ちゃんもカッコよかったの♪」
私がそう言うと、お兄ちゃんは擽ったそうに笑った。
さて問題はここからメイヤーちゃん達の所まで戻る行程。
今はまだ普及してないから、専用道はない。
ボチボチ始めるとは聞いているが、それまではウンショウンショと戻ります。
降りるのはとっても楽で楽しいけれど、戻るのはなかなか大変だ。
「降りる時みたいに一瞬で戻りたい。」
「まあね。でも途中からコレを使って戻れるから、半分の歩きで済んでるよ、マリス。」
「全部使って戻りたいの。」
「それじゃ普及させなきゃね。まずはカイ達からだ。」
お兄ちゃんはニヤリと笑った。
結論から言えば、見事にハマった。
「スゲーよコレ。マジで楽しい―じゃねーか♪」
「そうだろう、楽しいだろう♪」
「お前が爆笑する気持ちわかる。爽快だな♪」
「そうだろう。堪らないだろう♪」
「おお!!たまんねぇーな♪」
「「ワハハハハハ!!!」」
と笑い合うお兄ちゃん達。その横で………
「マリスちゃん、これとっても楽しいね。」
「でしょ。面白いの♪」
「うん、でも出来たらココに、カゴ見たいなのが欲しいな?」
メイヤーちゃんは折り曲げ機能なくてもいいから、前の方に荷物入れが欲しいと言う。
なるほど…… そういう考え方もある訳だ。
「わがまま言ってごめんね。」
「ううん、確かにあると便利だもの。あった方がいい人達結構いると思う。」
ウン…… お父さん達に話してみよう。
その後もファンスキーとキックボードで遊ぶ。
時間もドンドン過ぎていて、気づけば屋台の始まる時間になっていた。
「行く前に少し身体を暖めて行こう。」
「そうだな。ゆっくりめな時間でいいか?」
私とメイヤーちゃんも、ちょっと身体を休めたい。
二人でうんうん頷き、ストーブの前を陣取った。
ストーブの上にはミルクの入った鍋。
お兄ちゃんが、戻ってすぐに準備したモノ。
「メイヤーちゃん、自分のお父さんとお母さん達の屋台何処か知ってる?私聞きそびれちゃった。」
「私のお父さんとお母さんは、くじ引き屋さんらしいよ。それからサーカスと遊園地があるんだよ。」
メイヤーちゃん処はくじ引きか、ウンそれもありだな♪
「私的にはお菓子屋さんならよかったな。残念………」
人それぞれ価値があるもんね。ウン……
「カイ、お前はどうだよ。」
「俺んちは整理券の販売だッてさ。だからサーカスの券4枚確保した。」
「そっか。サンキュー♪」
「もしお前らの親父達が肉屋だったら、大盛要求するぜ。」
「もちろんだ。」
男は何処まで行っても肉なんだな。そんなに肉が好きか。
「今日ね、朝食作ったらね。カイ兄ちゃんが切ったハムがぶ厚かった。おかげで焼くのとっても大変だったよ。」
指を使って厚さを教えてくれる、メイヤーちゃん。
どうやらメイヤーちゃんの分も同じくらいぶ厚かった。
「とても全部は食べれなかった。」
と呟いて、残り半分はカイ兄ちゃんにやったそうだ。
「うちはお兄ちゃんとホットドッグを作ったんだけどね。」
あの時マリスが一つのホットドッグを食べていた時、お兄ちゃんは5つのホットドッグを完食していた。
「お兄ちゃん達食べ盛りなんだね。」
「そうなんだろうね。戦闘系は特にそうだって、お父さん言ってた。」
「そう言えば、うちのお父さんも言ってたかも。」
二人でそう言えば……… と話ながら、ヤレヤレと思った。
「戦闘系の人のお嫁さん、大変だね。一日中ご飯を作っているイメージがする。」
「そうだね。今以上に大人になって食べるならそうだろうね。」
二人はうんうんと頷き合う。ホントお嫁は大変だ。
すごく同情的になり、未来のお嫁さんに頑張れと声援を送る、マリスとメイヤーちゃん。
そんな二人の様に気づいたお兄ちゃん達は尋ねる。
もちろん聞かなきゃよかった案件なのは、言うまでもない。
その後ジュリアスとカイが、料理の勉強をしている姿を目撃される様になる。
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)




