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11/22

クリスマスイブ☃ 1

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。

 





 遂に来ましたクリスマスイブ。

 お父さん達はもういません。

 テーブルにはメッセージカードとクリスマスコイン。


「ウフフ♪待ちに待ったクリスマスイブ♪そしてクリスマスコイン♪」


 お気に入りの肩かけバックをイソイソと用意して、クリスマスコインを入れる。

 ウフフ、今日は自分でお買い物♪好きに選べるお買い物♪


「楽しそうだな。マリス。」


 そんな私を面白そうに見ているお兄ちゃん。


「おはよう、お兄ちゃん♪」


「おはよう。今日も二人でゆっくりだな。」


 お兄ちゃんがニッコリ笑って、私の頭を撫でる。

 撫でられる頭が気持ち良く、フニャンと笑ってしまうマリス。

 そんな私を見たお兄ちゃんは、私の鼻を摘まんだ。


「さて朝ごはんを用意しよう。何にしようかな?」


 昨日の晩御飯はシチューじゃなかったけれど、オニオンスープがありました。

 お兄ちゃんは保管庫から、ゴゾゴゾと材料を取り出す。


「スープにウィンナーを入れて、そのウィンナーをホットドッグにして作ろうか?」


 お兄ちゃんがスープを暖めながら聞いて来た。

 頭にホカホカのウインナー、それにシャキシャキのキャベツが浮かんでくる。

 ジュルリ♪美味しそうなの。

 ヨダレを出さんばかりのマリスの様子に、返事の必要はなかった。

 お兄ちゃんが沸騰したスープに、ウインナーをドボドボっと入れる。

 する事はないが隣を陣取っている、マリス。


「温かいね、お兄ちゃん。」


「そうだな。温かいな。」


 スープの湯気と火の近く、ほっこりする待ち時間だった。

 お兄ちゃんにキャベツを渡し、ササっと千切りして貰う。


「お兄ちゃん上手なの♪マリスも練習する!」


「まだマリスの手には、包丁が大きすぎる。もう少し大きくなってからだよ。」


 ホットドッグ使うパンに切り込みを入れ、温める。


「そろそろウインナーも良さそうだね。マリス、パンにキャベツを入れて。」



「了解なの♪」


 ウンショウンショと入れると、ウインナーが乗って来た。

 その上にトマトケチャップをブニュッとかけて、お皿に乗せる。

 お兄ちゃんはスープの味を確認し、少し水を足していた。


「少し濃くなっていたよ。」


 もう一度確認して、スープ皿に移し入れていく。


「ハイ、完成!食べようか。」


 今日もお兄ちゃんと二人だけの朝食。

 お父さんとお母さんは、街の皆とミーティング朝食中だろう。


「お父さんとお母さん、今年は何処だろう?」


「そうだなぁ…… うっかり聞きそびれたな。」


 屋台を皆で担当するけれど、毎年くじで選ぶため同じお店ではない。

 だから親が担当するお店によって、子供達の間には個人的な当たり外れが存在した。


「肉のお屋台だったらいいな。大きめに貰えそうだ。」


「マリスは射的がいいの。確実に貰えるもの。」


 子供の中の外れは、飲み物屋さん。

 多く貰っても微妙だし、たくさん飲めばトイレが近くなる。

 大人達の間では、飲み物屋さんは大当たり。

 温かな飲み物を入れるだけ、場所も暖かいしとっても楽な仕事だ。


 置かれたメッセージカードに、担当のお店は書かれていない。

 ただ一言………


 ”ハッピー、クリスマスタイム♪食べ過ぎるなよ!”


 毎年、毎年、マリスは、美味しいと思うと、それを黙々と食べるのだ。

 4歳の時は鶏のから揚げを5皿。

 5歳の時はドーナツを全種類制覇。

 6歳の時はチーズフォンデュの場所を陣取っていた。


 ”今年は大丈夫なの。だって来年は祝福の儀があるんだし!”


 そんな決意を胸にしているマリスを、ジュリアスは生暖かい目で見ている。


「お兄ちゃんは、なんてメッセージカードに書いてあるの?」


「ああ、ダンスパーティー楽しみにしてるって。」


 なるほどお父さん達も、お兄ちゃん達のダンスパーティーが見れるもんね。

 今年はお兄ちゃん最後のダンスパーティーだし、よかった、よかった。


「それじゃあ、会場へ行って親父達を探そう。楽しみだな♪」


「そうだね、お兄ちゃん♪」


 パリッと音をさせながら、ホットドッグをモグモグ食べる。

 目の前でお兄ちゃんも、3個目のホットドッグを食べていた。

 今日はお兄ちゃんにクリスマスプレゼントを渡す日だ。

 昨日お父さんとお母さんから、マリスにお任せと言われてしまった。

 出来ればメッセージカードに書いて欲しかった。


 マリスは今ドキドキ中なの。

 気がつけば、朝ご飯を食べ終わっている。

 という事は………クリスマス、プレゼント大作戦。


 午前中に渡して、一緒に遊ぶつもりなの。

 さて、どうやって切り出そう?


 ウダウダしているうちに、更にお片付けも終わってしまう。

 仕方ない、ここで言うのよ。

 いよいよ作戦決行の時!

 行け、マリス!女は度胸だ!!


「あのねー!お兄ちゃん!!」


 脈絡もなく声を張り上げるマリスに、驚くジュリアス。


「どうしたんだ、突然?大丈夫か?」


「だ、大丈夫なの。あのね、ク、クリスマスプレゼントがあるの。」


 こぶしを握り、フンフンと鼻息荒く言うマリス。

 その決死な様子に、不安になるジュリアス。


「一度深呼吸したらどうだ?マリス、とにかく落ち着こう。」


 そのクリスマスプレゼントなるモノは、大丈夫(まとも)な物なのだろうか?


「お父さんとお母さんと共同プレゼントなの。それでね、マ、マリスと遊んで欲しいの。」


 やっと言えたマリスは、ホッとしてニパーと満面の笑顔。

 ジュリアスも、共同という言葉にホッとしてほほ笑んだ。


「ホントに?!凄く嬉しいよ。ありがとう、どんなプレゼントなんだい?」


 マリスはイソイソと、お父さんとお母さんから教えて貰った場所まで、お兄ちゃんを誘導する。

 そこにはスノージャケットとショートのスキーボード。

 そして雪用の眼鏡とスヌード、他にも細々と取り揃えています。

 それらを見たお兄ちゃんはポカーンと…( ゜д゜)

 とっても珍しい顔を貰っちゃった。イエイ♪


「コホン、では説明します。こちらショートスキー、またはファンスキーというものです。ハイ!」


「ありがとう…… 」


 お兄ちゃんに渡すと、呆然としたまま受け取るお兄ちゃん。


「それはお父さんら有志が作成しました。テスト走行もちゃんとしているよ。魔力を込めると熱を伴うから……」


 ゴゾゴゾ…… 、手袋を取り出してお兄ちゃんに渡す。


「用心と防寒に備えて手袋です。ついでにこの雪用メガネは、光の反射を和らげるモノです。」


「ウン…… ありがとうございます。」


 訳も解らないまま受け取るお兄ちゃん。

 まだまだ呆然継続中……


「そしてこちらスノージャケットはお母さんからです!スヌードはマリスが頑張って作りました。」


「マリスの手作り…… 」


 私が持っているスヌードを見て、私を見つめるお兄ちゃん。


「と、とりあえず着て下さい。マリスのもあるから、一緒に遊ぼう、お兄ちゃん。」


 私がそう言うと、お兄ちゃんが俯いた。

 どうしたんだろう?ダメだった??


「マリス、もしかして…… バタバタしていたのは()()が原因?」


 お兄ちゃん申し訳なさそうに、マリスを見て聞いて来る。


「ううん、マリスの物もあるよ。乗り物あったら便利だもん。」


 だからマリスは首を振って否定する。

 お兄ちゃんが気にしない様に、ソレだけじゃないよって……


「犬ぞり代わりって事か?」


 お兄ちゃんは呆れた様に笑った。

 そんなお兄ちゃんの様子に、ホッとするマリスだった。



 早速お互い部屋へ戻って、遊ぶ為に着替えをする。

 マリスのジャケットは、ラベンダーカラーに刺し色が黄色。

 帽子も黄色♪手袋も黄色♪ルンルンルン♪♪


 ドアを開け家の外へ出ると、お兄ちゃんが待っていた。

 お兄ちゃんの恰好は、ジャケットが黒をベースに刺し色に青。

 帽子も黒、手袋も黒。マリスがあげたスヌードが目立ってる。

 雪用メガネ(ゴーグル)もカッコよく決まってるの♪

 何より…… スキーボードのサイケなデザイン。

 青の板に白い模様、魔力を入れると赤に変化する仕組みです。


「お兄ちゃんどう?寒くない?」


「寒くないよ。それにマリスのスヌードで凄く暖かい。コレ俺とマリスの色だな。」


 お兄ちゃんがニッコリ笑い聞いて来た。


「何となくそうなったの。ダメだった?」


「いいや、嬉しいよ、マリス。」


「ならよかったの。」


 ホッとして笑った。


 そして使い方を教えていくマリス。

 お兄ちゃんは、マリスのキックボードも気になっている様だ。


「何でマリスはそっちなんだ?」


 そりゃ一緒じゃないと気になるよね。


「マリスはこっちの方が操作しやすいの。お兄ちゃんは運動神経いいから、そっちの方が逆にいいと思うの。」


 フ~ン…、と言いながら、ボードを装着するお兄ちゃん。


「魔力を入れなくても滑れるの。とりあえず魔力なしで試してみて。」


「わかったよ。」


 お兄ちゃんは家の前の少し斜面になっている所へ移動している。

 辺りを見れば、雪一面の銀世界だ。

 遠くにメイヤーちゃんのお家が見え、煙突の屋根から煙が立っている。


 ”そう言えばメイヤーちゃんも朝食作るって言っていたけど、今頃カイ兄ちゃんと食べているのかな”?


 ボォー… と眺めているその横で、お兄ちゃんはいろんな動きをして確認している。

 スーッと滑り、回る様に止まったり、片足で滑ったり、飛んだり………


「なるほど…… 」


 お兄ちゃんは考え中……

 そしておもむろに、下りへ向かい滑り出す。

 スーと足を揃え滑走し、足を交錯させ後ろ向きになりクネクネと滑り、横に向いて板をずらして滑ったりしている。


 ”お兄ちゃん凄いの。もうコツ掴んでる。”


 ザッと切る様にターンをして止まる。そして息を吐きまた滑り出す。

 斜面を屈身姿勢でグングン滑走し、雪山に向かいスピードを活かして登り切って……


 ”ウワ~~、一回転しちゃった?!”


 そのまま何事もなく着地して、ザザザー―と滑っていく。

 ボコボコになっている所も、ヒョイヒョイと避ける。


 ”ホント理不尽なの……… ”


 お兄ちゃんがカッコいいと思うけど、同時に出来ない自分が悔しいの。

 何なんだろう… この気持ち。


 ”いいなぁ。”


 手元のキックボードを目を向けて、ハア―とため息をついて進むマリス。


 ”一緒に遊ぼうって言ったのにな……”


 心の中で呟きながら、めちゃくちゃ楽しそうに滑るお兄ちゃんを見ると……


 ”でも楽しそうで良かったの。”


 クリスマスプレゼント作戦は大成功♪


「マリス!これとっても楽しいよ。ホントにありがとう!!」


「お兄ちゃんが楽しくて、マリスも良かったの。」


 急斜面を滑って、楽しむ二人の笑い声が木霊する。

 そんな楽しい午前の時間。




読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

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