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10/22

クリスマスシーズン☃ 10

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。

 




 今日は朝から大忙し。

 マリスじゃないよ、お父さん達です。


「それじゃ行って来る。マリスは、ジュリの所へ行くんだな?」


「うん、メイヤーちゃんと一緒に♪」


「ジュリアスはダンスか?」


「ウン、ペンライトに変わったからね。」


「ジュリさんの所には、私も用事があるのよ。帰りは一緒に帰りましょう。」


「午後から、マリスはお兄ちゃん所へ行くの。」


「ジュリも午後から、ダンスかもしれないよ、母さん。」


「そりゃそうだな。明日が本番だもんな。」


 お母さん悩み中。お父さんを見て…


「それじゃあ今から行って、お話だけでもしてかしら?お願いしたい事があるのよ。」


 何やらお母さん、ジュリ姉に相談があるみたい。


「一時間程度遅れるでいいか?」


「ええ、お願い!マリスの事もお願いしなきゃね。迷惑かけてはダメよ。」


 そう言って二人は出掛けて行った。

 外ではたくさんの大人達の話声や、笑い声が聞こえる。

 皆、今日の作業参加なのだろう。


 “朝早くから、お疲れ様なの。”


 私はバイバイと手を振ってお見送りした。


「さてマリス。」


 お兄ちゃんはニッコリ笑顔で、私に振り返る。

 その笑顔に、マリスは警戒するの。


「ハイ、お兄ちゃん。」


「さっき母さんが言った様に、迷惑かけない。思いつきで、言わない。できるかな?」


「………前処します。」


 胡乱げな目線を向けて来るお兄ちゃん。

 ……前処する努力はするの。

 お兄ちゃんは、諦めたようなため息をついた。


「とにかく朝ご飯を食べよう。目玉焼きとか作ろうか?」


「マリスは半熟が好みなの。最近卵割るの上手になったのよ。」


「それじゃどちらが上手に割れるか比べるよう♪」


 フライパンを出すその横で、マリスは卵をパッカッと割った。


 ”フフン、今日の卵も綺麗に割れた♪”


 卵が綺麗に割れると、とっても嬉しい。

 そのうち、片手で割れる様になれるかも♪

 お兄ちゃんが、マリスの卵をフライパンに入れる。

 マリスの卵とお兄ちゃんの卵が引っ付いた。


「マリスの卵は左なの。」


「わかっているよ。一応離したけど、引っ付いたな。」


 塩をパラパラ振って、フタをした。

 マリスは数を数えて、ふたを開けるとちょうどいい半熟仕上げ♪


「皿がいい?それとも直接パンに置こうか?」


「マリスはパンがいい♪」


 パンに半熟の卵は美味しいの。

 ピョンピョン飛びながら主張する。

 お兄ちゃんはそんなマリスに苦笑し、目玉焼きをパンに置いた。

 そしてお母さんが作ってくれたスープを置けば、朝食の完成だ♪


「ゆっくりと朝食を食べるのは、久しぶりだな。」


「クリスマスシーズンは忙しいの。」


「そうだな、休みでも注文品届けたりしたからね。」


 マリスのお店は大繁盛。

 今日はイブの前日という事で、どこのお店もお休みなの。


 半熟の目玉焼きが乗ったパン。

 大きく口を開けてパクッと食べる。


 ”やっぱり半熟目玉サイコーなの♪”


 幸せな顔でモグモグと食べる、マリス。

 そんなマリスを見ながら、お兄ちゃんものんびりと食べていた。


「マリス口の端に、卵がついているよ。」


 指でぬぐってくれたお兄ちゃん。

 その汚れた指をペロッと舐めて綺麗にする。

 それを見てマリスは思わず呟いた。


「なんかエッチ~の♪」


「ハア?!」


「お姉ちゃんがね。男の色気ランキングで、舐めるしぐさがあるって言ってたもん。」


 私が楽しげに話をすると、お兄ちゃんは呆れた様な顔をする。


「フ~ン、そうかよ……」


 そして何かに気づいたように私を見て、お兄ちゃんはニンマリと笑う。


「それじゃ…… さっきエッチとか言ってたけど、男の色気をマリスは感じたって事か?」


 そう言って、流し目で私をチラリと見る。

 言われてみれば、確かにそういう事になるのかも?


「そうだね?そういう事なのかな??」


 だけど所詮はまだまだ幼女なお子様だ。

 お姉ちゃんから言われた言葉を、そのまま鵜吞みして言ったに過ぎない。

 だけど……


「そっか♪」


 何故か満足気なお兄ちゃん。マリスには理解できないけれど……


 ”お兄ちゃん、今日はなぜかご機嫌なの♪”


 それはそれで、幸せだなと思うマリスだった。




 食事が終わりお片付けしていると、メイヤーちゃんとカイ兄ちゃんが迎えに来る。

 雪の道を歩きながら、明日の話をしている。


「明日は13時集合でいいんだな。」


「広場の方にだろ。キャンドルの方も終わっているんだろう?」


「昨日イベント組以外のヤツが、後は飾るだけと言ってたぜ。」


 昨日私達はイベント会場にいたけれど、技術職ジョブを持ってるお兄ちゃん達は、孤児院で細かな所を片付けたそうだ。


「見つからない様に、でもすぐ出せるようにしてきたと言っていた。」


 今日は孤児院でも大人の出入りがある分、そこがとても心配事だったのだ。


「昨日のイベントは、ちょうどいい目くらましだったな。」


 おかげでバレない様、ばっちり任務完了という訳だ。


「明日の朝ものんびり出来るな、マリス。またご飯一緒に作るか?」


「マリスちゃん、お兄ちゃんと朝ご飯作ったの?何を作ったの?」


 メイヤーちゃんが、羨ましそうに聞いて来る。

 でもマリスは卵を割っただけなの。


「メイヤーもやりたいのか?」


 カイ兄ちゃんが、メイヤーちゃんの様子を見て聞くと、


「うん、私もお料理してみたい♪」


 と、楽しそうに返事する。


「でもメイヤーちゃん、私卵を割っただけなの……」


「私スクランブルエッグ作れるよ。ハムも焼けるもん♪」


 両手を上げて、自分のできる料理を話す、メイヤーちゃん。

 そんな彼女を、ほのぼのと見ていたカイ兄ちゃんは、


「それなら伯母さんに聞いてみよう。メイヤー俺に朝飯作ってくれ。火は俺が付けてやるからな。」


「うん、わかった。楽しみにしてね、カイ兄ちゃん。」


「お前…… 」


 訝しげな眼で見るお兄ちゃんに、カイ兄ちゃんはニヤリと笑った。

 メイヤーちゃんから、スクランブルエッグの隠し味を教えて貰ったマリス。


 ”私も負けられないの!”


 変なやる気に満ちていた。



 お互いそれぞれの場所へと向かい……

 今はジュリ姉のお家で、スヌード作りをしています。

 棒を使ってウンショウンショと作業中。

 メイヤーちゃんも、せっせと一緒に頑張っている。


「毛糸も大きめだから、隙間が気になる所は、後で糸を拡げる感じで引っ張ればいいわ。」


「隠しちゃえばいいのよ。気楽にしないと肩が大変よ♪」


 お姉ちゃん達は、ふんわり素材の生地で、スヌードを作成中。

 ジュリ姉は、それにつける星型の大きなボタンを作っている。


「そう言えばお母さんが、ジュリ姉に用事あるって言ってた。」


「そうよ。今私達が作っている物が()() ね。」


 昨夜の子供達の光る姿を見て、光る素材の小物を作って欲しいとお願いされたそうだ。


「もともとマリスのお母さんとお話していたのよ。それで明日のイブにも、光る物があると安全でしょ?だからお願いされたのよ。」


 ジュリ姉達はその為、今サクサクと作業をしているのだ。


「お母さん達に、このボタンをマフラーにつける事をお願いするわ。」


 今日大人達は、みんな広場に集まっている。

 そこに出来上がったモノを持って行けば、依頼完了なんだそうだ。


「ダンスの練習へ行く時に、渡せばいいもの。」


 おねえちゃん達は、楽しそうにスヌードを一つ一つ縫っていく。


「このまま光る素材を扱ったお店を、立ち上げようかって話をしているの。」


「いつかマリスちゃんが言ってた、推しカツ?のグッズを作るのも楽しそうじゃない。」


 おねえちゃん達は将来を見据えて、行動を開始した様だ。


「お店はここではなく、学園のある都市でするの。ここより人口密度が高い方が、需要があるでしょう。」


「それに私も学園に行く予定だから、ここにいる皆と一緒に、リコの町を離れる事になるわ。」


 ジュリ姉だけじゃなく、他のお姉ちゃん達も来年いなくなるという。


「だからそれまで、いっぱい遊びましょう。マリスちゃんやメイヤーちゃんの祝福の儀を見て、山を下りるつもりよ。あなた達がどんなジョブを貰えるのか、とても楽しみだわ。」


「お祝いも考えているの。楽しみにしていてね。」


 この町にいるとどうしても、いつかはお別れがやってくる。

 お別れした後、お姉ちゃん達にまた逢えるかな………

 寂しい気持ちを抑えて、今はおねえちゃん達に甘えようと思った。

 おねえちゃん達に思いっきり抱き着いて、暖かい身体のぬくもりをメイヤーちゃんと二人で噛みしめた。




 ダンスの練習場へ行くとお兄ちゃん達や子供達がいる。

 私達に気づいて手を挙げる、お兄ちゃん。

 他の子供達も私達に気づき声をかける。


「あの子達は家でビクビク作業するより、ここならバレないと言ってね。」(笑)


 布に絵を描いて、皆で一生懸命色付けをしている。

 手を繋いだ絵を描いて、回りに笑顔とお花と鳥など描かれた絵。


「とっても素敵な絵だわ。目立つ所に飾りたいわね。」


「だろ♪他にも弟が紙に書いた絵を持って来た子もいたんだ。預かっていい感じに飾ろうと考えている。」


「防水加工だと、紙には無理だものね。」


「だからどうにか考えるさ♪」


 お兄ちゃん達もいろいろ相談受けて、頑張っている様だ。


 その後は、お兄ちゃん達とお姉ちゃん達はダンスの練習中。

 私達お子様組は、布にお絵かきをして過ごしていた。

 明日はいよいよクリスマスイブ。


 どうか素敵なイブになります様に………




 ****************




「お兄ちゃん、明日の朝何を作る?」


「そうだな。帰ってまた残り火でスープでも作っておくか?」


「お兄ちゃん手伝ってくれる?」


「もちろん手伝うよ。だけど何を作ろうか?」


 お兄ちゃんは私を見て聞いて来るけど……


「それマリスが、さっきお兄ちゃんに聞いたの。」


「そうだったな。それじゃあ晩御飯を食べて考えないか?」


 立ち止まってマリスを見たお兄ちゃん。


「もし今日の晩御飯がシチューだったら……」


「パングラタン美味しいの♪」


 私は頬を両手で押さえ、幸せの笑顔が溢れる。


「だろう。それによって考えた方がいい。」


 チラつく雪が時々風に吹かれ、冷たい顔を更に冷たくさせる。


「マリスおいで。」


 お兄ちゃんが両手を広げ、ほほ笑みながらマリスを呼ぶ。

 寒い身体は正直で、お兄ちゃんに向かって歩き抱き着く。

 お兄ちゃんが「ウンショ。」と抱き上げた。

 首に腕を回し、肩に顔を埋める。


「暖かいね、お兄ちゃん。」


「そうだな。二人で暖まれば、暖かいな。」


 ザックザックと歩く音を聞きながら、明日の事を考えた。


「お兄ちゃん、明日の午前中マリスにちょうだい。」


「午前中?一緒に遊ぼうって事か?どちらに明日は一日中ほぼ一緒だろ?」


「だけど…… 明日午前中マリスにちょうだい。」


「もちろん、マリスの願いだもんな。一緒にいるよ。」


「ありがとう、お兄ちゃん。」


「どういたしまして。」



 明日はいよいよ、クリスマスイブ。





読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

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