クリスマスシーズン☃ 1
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
マリス・ピッコリ第3段です。
普段のマリスが登場します。
おすましはやや控えめなの♪
今日もインカゴールデンの風はとっても冷たいの。
冬まっただ中、真っ白なお山がホント、厳ついお爺さんに見えるの。
吐く息が吐いた先から頬を撫で、ほんの一瞬暖かくして冷たくなる。
ホォ~……… 、手を暖めながら辺りを見れば、街はクリスマス一色。
キラキラに輝くイルミネーション。そしてチカチカと瞬くクリスマスツリー。
雪化粧を纏ったリコの町。とっても素敵なの……
今日はクリスマスパーティー。
それまでホントに、いろんな事をがんぱったの。
****************
マリスのお家は「コンビニエンスストア」もどきなんだけど、クリスマスシーズンはそれにプラスが付くの。
それはおもちゃ屋さん兼雑貨屋さん。
クリスマスプレゼント対応のお店に早変わり。
だからとっても忙しいの。
でもね♪
リコの町は冬のシーズンは、午前中だけの営業になるの。
お食事処や飲み屋は逆に午後だけ、夜になるのが早いからなの。
もちろん私も、お仕事お手伝いしているのよ。
皆クリスマスプレゼントを、とっても楽しそうに選んでいるの。
それを見ると私も家族に、何かプレゼントしたい。
だけど子供の私にお金なんてないの。
いつもだったら、知恵と工夫で乗り切っているんだけど………
今回はちょっと無理みたい。
だってお兄ちゃんのクリスマスプレゼントもあるの。
いつもだったら相談して乗り切るけど、今回はそういう訳にもいかない。
「どうしようかなぁ……… 」
頭に構想は浮かんでいるの。
それに………
「お父さんとお母さん。プレゼントどうしよう。」
ホント困ったなぁ。身近な人ほど悩むもの。
クリスマスイブまで、後一か月。
何だかんだと時間がどんどん過ぎていく。
それにクリスマスソングも、浮かばない。
浮かんでも浮かんでも、もう使われている。
”人生かけて一曲探すのよ、マリス!”
そうまだまだ7歳。時間はたっぷりあるのだ。
ポテポテと雪道を歩きながら、クリスマスイルミネーションを見る。
少しずつ飾り付けられ、街並みは華やかになっていく。
クリスマスツリーも前世と同じ姿になった。
それがとっても嬉しい。そして懐かしい。
今だけは……… 前世のわたし。
もともとは、エコ魔石の拡散の話からだった。
お父さん達がいろいろ話して、試作されたエコ魔石。
テーブルには沢山のエコ魔石が転がっている。
とっても綺麗で形も自由自在。
お兄ちゃんに魔力を流して貰い、光り出すエコ魔石。
いろんな色の明かりを見て、ぼんやりと思い浮かんだ光景。
記憶の片隅で、燻るいろんな感情。
クリスマスで前世の私の想い。
だから試しに雪まつりで灯し、思い出した光景。
クリスマスイルミネーションに彩られた街並み。
そして本来のクリスマスツリーの姿。
じんわりと思い出す前世の記憶。
そして…… 前世の私の想い。
「うん……… 私いろいろと残念過ぎた。」
憧れのクリスマスイルミネーションの下で、恋人とデート。
そして美味しいクリスマスディナー、そしてプレゼント交換。
「出来なかった。したかった。」
だけど…… 今世こそやればいいんじゃないの?
クリスマスイルミネーション、飾ればいいじゃない♪
だってエコ魔石があるもの。形も自由自在。
私まだ7歳よ。そうまだ7歳なの!!
大きくなって、恋人とクリスマスイルミネーションの下を歩くの。
腕なんか組んで、マフラーで二人一緒にグルグル巻きにして暖め合うの♪
そしてプレゼントと交換をどこか素敵な所でするのよ。
エコ魔石なら、庶民でも買えるアクセサリーを作れない?
イミテーションとかいうの♪
うん♪うん♪素敵よね。それでぇ♪ウフフ(〃ノωノ)
クリスマスに対する、いろんな憧れ。
でも身体が弱すぎて、クリスマスは大体病室にいた。
テレビで見るクリスマスイルミネーション。
恋人達がとても楽しそうにしている。
ドラマでは、美味しいディナーを食べて、深夜まで語り合う。
恋人から貰うクリスマスプレゼント。
はたまたクリスマスプロポーズ。
いいなぁ……… いいなぁ………
「やるのよ、マリス。まだまだ先だけど、今から準備するの。」
うん…… こういうのは早い方が、多分いいと思うの!
まだまだピチピチの7歳よ。乙女の夢を叶えるのよ!
「だけど、これもお兄ちゃんに相談は無理なんじゃ?」
特にお父さんには絶対無理だと思うの。
最終的に誰に相談をしたのか。
それはエコ魔石の研究を担当している、ラックビルさん。
そして鍛冶職人のジンニスさん。
クリスマスイルミネーションのお話をして、更にイミテーションアクセサリー。
「なるほどなぁ、確かに雪まつりのピッコリコの灯りは良かった。」
「それを街並みの装飾ですか。スケールが大きいですね。」
確かにとっても大変だと思うの。
でもお父さんと悩んでいた、エコ魔石の拡販には繋がるよ。
「それでこの絵のヤツは、どうなんだろうなぁ?カタチには出来るぞ。」
「そうですね。でも出来れば便利です。私使いますよ。」
「それを言うなら俺だってそうだ。」
ウ~~~~ン、と悩んでいる二人。
マリスは専門外だから丸投げなの。
「とりあえず、作ってみるだけ作ってみよう。」
「そうですね。試してみない事にはわかりません。」
ほとんどお任せマリス。ニコニコ笑顔で対応なの。
こうして、イルミネーション計画は決行され、乙女の願いは叶えられた。
ついでにお兄ちゃんのプレゼントも、ちゃっかりお願いするマリスだった。
さて後は、お父さんとお母さんが問題なの。
プレゼント何がいいかな?
ポテポテと歩いていると、前の方からお友達のメイヤーちゃん。
そばかすと赤い髪のとってもキュートな女の子。
私大好きなの♪とっても明るくて気さくなの。
「マリスちゃん、珍しいね。一人なの?」
手を大きく振って、私の所へ走って来る。
「うん、そうなの♪実はお父さんとお母さんにクリスマスプレゼントあげたいな、と思って考え中なの。」
腕を組んでムンと胸を張れば、メイヤーちゃんがキラキラしたお眼目を私に向けるの。
「ウワ~素敵ねぇ♪私もお父さんとお母さんにプレゼントしたい♪」
両手をバンザーイして、とっても楽しそうなメイヤーちゃん。
なるほど!もしかして皆に話したら、同じ気持ちがあるのかな?
”お父さんとお母さんに、ありがとうのプレゼントをしたい。”
笑顔いっぱいのお話をするために♪メイヤーちゃんと子供の広場に向う。
たくさんのお友達とお話したの。
もしも家族にクリスマスプレゼントできたなら、どうする?
そんな質問をして、YESは左、NOは右。
「では移動を開始してくださ~い♪」
するとほとんどがYES。
NOの子達に理由を聞くと、孤児院の子達だった。
「感謝の気持ちのプレゼントだから、孤児院のマザーでもいいんだよ。」
そう言うと皆がYESと答えた。
皆できるならクリスマスプレゼントをして、ありがとうの気持ちを伝えたいと言う。
皆、私と同じだった。なんだ…… 当たり前のことなのに。
リコの町は夜が来るのが早いから、そろそろ子どもは帰る時間。
でもこの話を途中半端にするには、かなり微妙………
「また明日、このお話しない?私何かいい方法ないか考えるの!」
「そうだね!明日またみんなでこの広場にあつまろうよ♪」
私とメイヤーちゃんがそう言うと、みんなが笑顔で約束をした。
子供からのクリスマスプレゼント。
何かいい方法ないかなぁ…… 責任重大だけど、心はホコホコと暖かいの♪
*****
この世界のクリスマス事情をお話しするね♪
クリスマスイブの日にちは毎年変わるの。
今年は、12月22日よ。
入浴場ではユズが浮かんで可愛いの♪
8歳になると祝福の儀式というものがあるの。
そこで神様から、素敵な祝福を貰うのよ♪
クリスマスは本来『神様が舞い降りる日』って言うの。
神様はその日からいろんな子供達を見回って、どんな祝福がいいか、祝福の年まで考えるんだって♪
だから神様が地上に一番近づくクリスマスイブに、子供達は教会でお祈りをして寝るの。
9歳まで教会で寝泊まりするのは、お礼の気持ちを神様に伝える為なの。
さてなぜクリスマスイブになったのか?
それは誰かが言ったから、「引きこもりの日」。
それを誰かが「ニートの日」に改名。
それをあんまりだと思った誰かが「クリスマスイブ」になったんだって………
どこかの国は未だ、「ニートの日」という所もあるのよ。
その国の祝福は大丈夫なのか心配なの。
私そのお話を教会の人に聞いた時、とっても申し訳なく思ったの。
*****
今マリスはお店のお手伝いで忙しいの。
あっちへ行ったり、こっちに行ったりとてんてこ舞い。
「お釣りの小銭が足りない?!」
「アラ!バックから在庫を持って来てくれる?」
私とお兄ちゃんは戦力としてフル活動中。頑張るの!!
「マリス、コレを可愛く包んでくれる?渡す時にお会計をお願いするよ。あ、その商品は今在庫を補充します。少々お待ち下さい。」
お兄ちゃんはテキパキとお客様を捌いている。私は………
「マリスちゃん、エライわね。上手に綺麗なリボンが結べてるわ♪」
「毎年お手伝いしてるもん。日々成長よ♪」
ほのぼのと私の様子を見ていたお客様。
毎年行うリボン結びが、成長記録になっているようです。
他のお客様からも、「大きくなったわね」と感慨深いセリフが飛んでいます。
マリスはこのお店のアイドル、看板娘なの。
「マリスは今日も広場に行くの?」
お家を出ようとしていたら、お兄ちゃんが声をかけた。
「うんそうだよ♪皆とお約束してるからね。メイヤーちゃんとも遊ぶの。」
私が元気に答えると、お兄ちゃんは頭を撫でて笑う。
「そっか、メイヤーちゃんに迷惑かけるんじゃないぞ。」
「迷惑なんてかけないよ。今皆とちょっといい事するつもりなの♪」
私がエヘン♪と得意げな態度で言うと、怪訝そうな顔をするお兄ちゃん。
「マリス、お兄ちゃんとの約束覚えているか?」
ジッと見るお兄ちゃんに、アレッと考える私。
お兄ちゃんはため息をついた。
「何かする前にお兄ちゃんへ言う事、忘れてないか?」
そう言えば報・連・相あったね。でも大丈夫!
「今から皆と相談をしに行くのよ♪」
ねっ♪ちゃんとしているの。ただお兄ちゃんがいないだけ………
だってクリスマスプレゼントを考えているのは9歳までの子供達なの。
お兄ちゃん達世代には関係ないもの。ウン……
「それでも何が起こるかわからないだろう。俺に言えない事か?」
眉間のシワが深いお兄ちゃん。怒ってる??
「でもまだ何も決まってないの。それにこれは私達の秘密なのよ。」
皆とお約束しているからね。言うにも皆の許可が必要なの。
トントントン………
「マ~リスちゃん、あ~そび~ましょ~♪」
アッ!メイヤーちゃんが来た!!
「ハァ~イ~♪」
私は元気よく返事して家を出ようとする。
「こ、こらマリス!!」
お兄ちゃんが怒ってるけど、コレは皆と内緒なの。
ごめんなさい、お兄ちゃん。
私はメイヤーちゃんと手を繋ぎ、みんなが待っている広場へ向かった。
「それで何を思いついたの?」
皆がワクワクと聞いて来るので、アイデアを伝える。
初めにお父さんやお母さんの絵を描いたり、気持ちを綴ったメッセージを紙に書く。
それを木の枝で作ったモノに巻き付ける。
「こんな感じに筒型にしたり、手先が器用な人は別の形でもいいわ。ただこのエコ魔石を入れる様にするの。そうしたら私が作った、雪まつりの様なモノになるの。」
「ああ!!アレはとっても綺麗だったね。なるほど!イメージできた♪」
皆がニコニコとこれからやる事が楽しみにしている。
出来上がった後の大人たちの反応が、とても楽しみで仕方ないのだ。
「それとね。お兄ちゃんが何をしてるか教えろというの。言ってもいい?」
「マリスちゃんいろいろとやらかすから、お兄ちゃんが心配するんだよ。」
「だろうなぁー、言った方がいいと思う。」
「お兄ちゃん達世代も、一緒にどうかな?一応聞いてみたら?」
実際聞いてみたら、お兄ちゃん達世代も賛成してくれた。
装飾も手伝ってくれるというので、ある意味ありがたかった。
次回集まるのは1週間後。皆素敵なモノを作ろうね。
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)