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春雷と共に7

 軒下で辺りを見渡していると、騎馬が2騎、こちらに走ってくるのが見える。じっと目を凝らすと、それは爛と憂榮であることがわかる。


 「苑、お前、どこ行ってるんだよ。」


 爛が馬から飛び降り、駆け寄りながら声を荒げる。彼がこんなにも慌てているところを見るのは、初めてだった。


 待っているよう言われた場所から居なくなっていたのだから当然、驚いたのだろう。男が現れ、ここに連れて来られたのだと、言い訳するのもおこがましい。


 「……桃ちゃんが馬車で待ってる。行こう。」


 爛は、馬に跨ると、私に手を差し伸べる。手を取ると、爛はぐっと私を引き寄せ、馬に軽々と乗せる。今まで彼は、細くて、きっと本ぐらいしか持てないのだろうと思っていたが、男の力があるのだと実感する。


 「……ごめんなさい。」


 力なく答えると、爛は、ふぅと息を吐く。


 「落ちるなよ。」


 馬が進むと規則的な振動が体に伝わり、不安定になる。それを察した爛は、そっと私の腰に手を回す。普段ならば振り払ったであろうその彼の行動も今日、この瞬間は受け入れたかった。


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