二週目 2
フリーズ様が向かった先は食料庫。
始めてレンが見つかった場所だ。
「見つけた」
うずくまっていたレンが静かに顔を上げる。
「フリーズ様……」
ここに来たのがフリーズ様で安堵の表情をしたのは束の間、青い顔をしたレンはすぐに立ち上がり、勢いよく頭を下げる。
「申し訳、ございません」
フリーズ様が小さく笑って、レンは恐怖に身を硬くする。
「謝らないで、私はレン君にお礼を言いたいくらいなのよ」
「え?」
そっとレンが目線を上げれば、柔らかな顔をしたフリーズ様が映る。
「フィンはあまり感情を出さない子でね、あんな風に怒ることはなかったのよ。弟や妹の前でもうっとうしく思っても一度も」
「……でも」
フリーズ様はレンを木箱に座らせると隣に自分も座ると、レンの反応をよそに一人喋り続ける。
「私ね、レン君。フィンとレン君は気の合う友人になれると思ってるの」
「…………………」
「これは母親としての勘。フィンが感情を出したところを見ると外れてはなさそうね」
なにも言わず話を聞いていたレンがようやく口を開く。
「クビに……えっと、その、続けてもいいんですか?」
フリーズ様との会話でだいぶ落ち着いてきたレンだが、怯えの色がみえる。
「もちろんよ。まだお試し期間は終わってないわ。続けてもらわなくちゃ困るわ」
フリーズ様はしっかりとレンの目をみて微笑む。
「俺、フィン様に謝ってきます。その、先輩にも……」
「ふふ、意外とあの子はまだ子供みたいだからレン君が支えてあげて?」
「えと、頑張ります」
レンは深々とフリーズ様に頭を下げるとフィン様の部屋まで走る。
ドアノブに手をかけて、思いとどまると首を横に振ってノックをして中に入る。
「フィン様、申し訳ありませんでした」
静かに頭を下げたレンは動かずにフィン様の言葉を待った。
フィン様は立ち上がるとレンの前に移動する。
「ただでさえ迷子のくせに、これ以上迷子になってどうすんだよ、レン」
頭を上げたレンの視線の先、からかうような表情のフィン様が映る。
「なっ、迷子なんかじゃ……」
言いかけてレンが止まる。
「確かに迷子かもしれませんけど、すぐに迷子から卒業しますから」
レンは迷いなく言い切って、その瞳は真っ直ぐな光を宿していた。




