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18 何故か罰として軟禁されています

 自室より広い快適な、とても綺麗な客間で今、私は着心地の良い簡素なワンピースに室内履きのスリッパで外から鍵をかけられて軟禁されている。現在3日目。


 バスルームもお手洗いもあるし、欲しいものは寝ている間以外1時間に1回様子を観に来るクロウウェル様に言えばいただけるんですが、出してはもらえない。邸からではなく、部屋から。

 一応理由はある、もっともらしいのが。


 いわく、『リナに実害をなす心算のありそうな貴族の家に片っ端から圧を掛けてリナの家と領に護衛を送り安全が確保できるまでの緊急措置』だそうで。

 まぁ、仕方ないよね。この国で一番安全なはずの王宮で、私、捕まって襲われかけてるし。


 実際に本当、私が山猿姫でなければあれはもう取り返しのつかない事件だった。今回は内々に済ませたが、実害が出ていれば王家にとっても大ダメージは確実だったろうな。

 犯人について詳しく聞くのは控えた。クロウウェル様の顔が怖くなるので、暇です、お庭の散歩がしたいです、ご両親とお茶をしたらダメですか、の3つを延々と訴えかけるだけに留めている。外に出たい、は特にNGワード。お庭はセーフが検証結果となります、ご査収ください。


 といってもご両親はそろそろ領地に帰られるそうで、お顔合わせはできないようなのでクロウウェル様に何卒よろしくお伝えしてもらってのお別れとなり。


(なんか、私は悪くないし、言ってることもやってることも尤もなんだけど……過保護)


 せめてそばに居てくれるならいいのにな、なんて呟いてみてもひとり。


 その代わり、お茶は好きな時に好きなものを淹れられるように取り揃えてくれてるし、刺繍も傑作のハンカチが5枚できてまだ糸もハンカチも残っているくらいに用意されていて。

 あの日交わした言葉を覚えてくれている、というのは嬉しいなと思う。


「屋内で釣りも庭造りもできないし……、でもそろそろさすがに、体が鈍ってきたし……」


 傑作のハンカチはどのくらい傑作かというと、もはや全面に刺繍を施したせいでテーブルの上に広げて花瓶をおいたり、額に入れて飾った方がいい実用性0の傑作。

 ちゃんと縁取りと中を枠にするような、ハンカチと同色の糸での豪奢な模様を縫い取りしたのもあって、それはまだ使えるかな、と思う。


 でもね、クロウウェル様。私のためにしてくださってることでも、私がして欲しいのは一緒にいて抱きしめてくれる事だったりするんだよ。

 怖かったね、と言って。もうこんな危ない目に遭わせたりしない、って。


 ……それをするためのこの状況なのは理解してるので、終わるまでは我慢で。

 元々お忙しい中、超人的スケジュール管理で私と一緒にいる時間を捻出していたんだな、というのは公爵邸にいれば肌で感じることができる。


 今は余計な仕事も増やしてしまったし。いや、これは私は悪くない。あそこまでしてクロウウェル様から私を引き剥がそうとした方が悪い。


 そして、ようやく終わったとクロウウェル様が言いに来たのは次の日の夜でした。

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