仲間
朝を迎え、僕たちは一階に降りてレイがくるのを待っていた。
今日はレイの他のメンバーに会い、達也の異能を扱えるように訓練するそうだ。
「なあ相太、昨日の夜叫んで外に走って行かなかったか?
眠たくてあまり覚えてはないけど」
どうやら昨日のこと、達也は気づいていたみたいだ。
「なんか変な夢を見たんだよな、いろんな人の感情や声が流れてきてさ」
「怖い夢かよ!おしっこちびったか?」
「思いっきり吐いた…」
「怖い夢見て吐くなんて聞いたことないぞ!」
達也はそう言って笑いながら僕をからかってきた。
こんなことは言いたくないが、昨日あんなに怯えてたやつに
馬鹿にされるのは少しムカついた。
そんなやりとりをしているとレイがやってきた。
昨日と同じように布をかぶっていた。
「おはよう!早速だけど街の外にいくわよ!」
レイはそう言って僕たちにも布を渡してきた。
これは外に出るにも一苦労なのかな…
小屋から出て隠れながら移動しているとレイは知り合いの店があると言い
大通りからはだいぶ外れた場所の店に立ち寄った。
その店の店主はレイ達の活動に協力しているそうで
大通りともう一つここに店を作ったらしい。
客はレイしかいなそうだけど…
「あなたたちはあまり食べなくても動けると思うけど、
食べれる時はここで果物でも貰って食べると良いわ」
僕たちは何も言わずうなずいた。
あまり食べなくても動けるって言われてもこの世界の果物を食べたくなった僕たちは、
よく分からない形の赤い実を一つとって口にした。
感想は、、、、
ただのりんごでした。
しばらく移動を続け、僕たちは街を囲っている壁のふもとまで来ていた。
そこは門からはだいぶ離れていた。
「ここからどうやって外に出るんだ?」
達也がそう聞くとレイは壁に両手をつけ、思いっきり壁を押した。
すると回転ドアのように壁の一部分だけが回り始めた。
「ここだけくり抜いてドアを作ったのよ」
レイは自慢げにそう言った。
そうして僕たちは1時間くらいかけて街の外へ出た。