異能の子
達也の街を探検しようという提案に乗り
僕たちはみんなを探す前に街を見てみることにした。
「遠くに大きい建物があるし、あそこまでいってみようぜ」
達也がそう言って走り出したので僕もついて行った。
大通りのような広い道を僕たちはすごい速さで走っていく。
さっきまで野原を走っていたから速さまでは分からなかったけど
こんなに早く走れていたのか。
もうあまり驚かなくなっていた。
その時、
とてつもない大きな鐘のような音が街中なり響いた。
外にいた人たちがこちらを見ていたので、僕たちは足を止めた。
するとすぐさま僕たちは人に囲まれていた。
「こんなに早く走ってたらやっぱり珍しいのかな?」
達也が僕に聞いてきたが、明らかにそんな状況ではなさそうだ。
周りの人たちが怖い顔でこっちを見ている。
そして一人の女性が口を開いた。
「異能……異能の子よ!!!!すごい速さで走ってたわ!!!」
周りの人たちがすごく警戒している。
「これなんかやばそうじゃない?異能がなんとかって」
僕が達也に尋ねると、達也は見たことないくらい怯えた顔で
大きな建物の方を見ていた。
「おい、相太、見えないか…?あの大きい建物の前…」
達也が指差しながらいうが僕には何も見えない。
そして怯えたまま気がおかしくなっている。
「達也!なんでそんなに怯えて…」
達也が怯え固まり動けずにいるうちに周りの人たちが
剣や槍を持って僕たちの方へ近づいてくる。
僕も恐怖で少し足がすくんでいた。
「こっちに飛んで!!」
屋根の上から女性の声がした。
そこには全身を布のようなもので隠している誰かが立っていた。
しかし、達也は動けないし第一あんなところまで飛べるはずが、、
「君なら飛べる!横の子を抱えても飛べる!早く!!」
その人は叫びながらそう言っている。
もうやってみるしかない。
僕は達也を抱え屋根の方へ飛んだ。
ものすごいジャンプ力で僕は達也を抱えたまま周りの人たちの
頭上を超えて行った。
そして屋根に無事に登ることができた。
「ほらできたでしょ。とりあえず逃げるわよ」
僕はうなずき、達也を抱えたままその人について行った。