転移
2020年 日本
今現在、この国ではある事件が多発していた。
児童消失事件
突然小学校の生徒たちが消えていく事件である。
それは、3ヶ月ほど前から始まり、6つの小学校の生徒が消えていた。
教師だけは全員無事であり、生徒だけが消えていく。
その教師たちは皆こう言う。
”光に包まれて子供たちが消えていった”と
そんな原因不明の事態で国は休校を躊躇っていた。
「相太!休み時間だし外行こうぜ!」
そうやって僕の名前を呼ぶのは五十嵐 達也
同じ6年2組の生徒で幼なじみだ。
そして僕の名前は渡 相太
「達也、お前最近の変な事件が怖くないのか?」
僕は不満げに問いかけた。
「外に出たって、教室にいたって変わらないだろ。早く行こーぜ」
達也の返事にたいして僕はうなずき、誰もいないグランドへ向かった。
グランドに着き、他愛もない会話をしながらサッカーボールを蹴っていた
その時、
教室から強い光が発せられた。
「おい、達也、これってまさか・・」
僕は達也の方を見るが達也は黙って光の方を見ていた。
光は凄まじい勢いで大きくなっていき、僕たちの方へも迫ってくる。
「達也!逃げるぞ!早く!」
僕は達也の手を取って後ろに走ろうとするが達也は光を
ずっと見ていて動こうとしない。
「やばい!飲み込まれる!」
その瞬間、僕の体はとても軽くなった。
と、同時に達也は呟いた。
「綺麗だ。」
そして体は元の重さに戻り、僕は目を開けた。
その光景に目を疑った。
横に達也がいるが、それ以外の景色が全く変わっていた。
グランドにいたはずなのに、下は緑の草原が広がっていて
夜になっていた。
とてもとても大きな月が僕たちを照らしていた。