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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第4章
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お姫様になろう

 路面電車で、ベイエリアに向かう。まだお店は開いて無いけど、赤レンガの倉庫群が、波戸館を代表する景色の一つでアニメのシーンにも登場している。


 電車は事前に購入済みの2日間スマホパス。千7百円で2日間乗り放題。先生も慌ててスマホを操作していた。街並みにマッチしたレトロな電車に揺られ、目的の電停で降りると、レトロな造りのホテルが有った、元は銀行だったそうだ。

 

 港に並んだ赤レンガ倉庫。何処を見ても絵になって、普通の観光としてもしっかり楽しめるクオリティだった。視界に入るだけでも、アニメのシーンをいくつか見付けられた。バンドアニメのコーヒーチェーン店や、アイドルアニメのご当地ハンバーガーショップ等など。

 お店が開いて中も散策。全員でウロウロすると迷惑になりそうなので、4人ずつのグループに分かれた。私のグループは夢愛と小雪、それに上原先生だった。一応、プライベートな旅行なので、先生と生徒じゃないほうか良いと桜が決定。夢愛は元々他校出し、小雪は卒業生。もみじは、たまに遊びに来る従妹の設定なので、啓愛の生徒じゃ無いことをになっている。桜は上手いことを言っているが、私がバレないかドキドキするのを楽しんでいるんだろうな。

 先生は小さな木彫りの熊に色を塗った物を見付け、その中で黄色く塗って、赤いシャツを着た、どう見てもイギリスの絵本出身でアメリカのアニメ映画で世界一有名になった熊のパロディーだった。ツボに嵌まったらしく、即決で購入していた。

 カレン、いろは、楓、こころのグループは、ご当地ハンバーガーショップのハッピーピエロ。朝の海鮮丼が控え目だったのは、これが計画に入っていたようだ。塔の様なハンバーガーはアニメの中のジョークメニューか、誇張したサイズかと思ったけど、実在するメニューだった。

 それぞれのグループでアニメのチェックポイントを探したりして、結局皆んな巨大ハンバーガーを食べていた。意外な事に?全員ペロリ完食だった。メニューもそうだったけど、内装やソファーとかそっくりで、ここでコスプレ制服になったら騒ぎになりそうなので、コートは脱げなかった。


 乗って来た電車に乗り直して終点迄。新撰組アニメの聖地って言うか、普通に、史跡の『弁天台場跡』に向かった。学校の遠足で旧○○邸とかって所に行っても特に感動も無かったけど、アニメで予習したお陰で神妙な気分になっていた。歴史の勉強は、アニメ・巡礼・授業の順なら皆んな楽しめるんじゃ無いかな?


 坂を登ってお寺や教会の並ぶエリアに移動。歴史を感じながら向かったのは、『旧波戸館区公会堂』異国情緒溢れる建物で、お目当てはお姫様体験。レンタルのドレスに着替えて、雰囲気満点の公会堂の中で写真を撮ったり出来る。

 受付けを済ませて、カラフルなハンガーラックに群がった。先生と私は出遅れ、皆んな選ぶ姿を眺めていると、いろはが一着持って来てくれた。肩出しや、胸元が広く開いたデザインが多い中で、首の詰まった物を選んでくれていた。姉達に変装する訳じゃ無いので、ニセの膨らみは、ほどほどにしているけど、他の多くのドレスでは、違和感は隠せないだろうな。サクサクと決まって行き、隙間に先生も刺さって行った。申し込みの時はパスって言ってたけど、結構高齢なレディもお姫様になっていたのを見て、戸惑いながら申し込んでいた。実物を見ると目を輝かせて、両手のドレスを吟味していた。

 色鮮やかなドレスに身を包み、ティアラや大振りのアクセサリーで更にゴージャスに飾り、ホールやバルコニーで写真撮影。外国かららしい観光客は、カタコトの日本語で一緒に写真を撮りたいとアピール。結構な時間、国際貢献を頑張った。レンタルの時間が近くなりソワソワしていると、

「外国のお客様にいっぱいサービスしてくれたから、慌てなくていいわよ!」

係の人がニッコリ笑い掛けてくれた。

 5分位オーバーしたけど、文句どころか、

「今日のお客様はキレイなモデルさんに会えてラッキーだったわ!お疲れ様!今着てるのだったら、取替ッコして写真撮って来て良いわよ!」

 お言葉に甘えて、いろはと取替えた。あまり遠くまで行くと、また撮影会になると困るので、更衣室の近場で撮影。結構悩んで決めていたので、もう一着はとても嬉しかった。

「あの人達、画像拡散しないと良いけどね。」

もみじ(・・・)が拡散されたりするのはあまり好ましくないよね?まあ、撮られちゃったから今更気にしても仕方がないか。


(はるか)さん、ドレス脱いだらこっちに着替えてね!」

先生(・・)と呼んでいては、折角のリゾート気分に水を差すので、名前で呼ぶ事にしていた。

渡された紙袋を覗いて、

「えっ?コレ着るの?」

皆んなとオソロのコスプレ制服だった。シャットアウトで断ると思ったら、

「折角だから楽しんじゃいますか!」

高校卒業から丸5年の筈だけど、それ程の違和感は無く、周りの巡礼ポイントを抑えながら一旦駅前に戻った。

 海底トンネルが通る前、連絡船に乗る船着場だった所に、当時活躍していたフェリーが繋留されていて、資料館になっている。バンドアニメに登場するスポットなので、しっかりチェック。連絡船の歴史とかを学んだり、船乗りさんのスキル、ロープの扱いの中から、古新聞の縛り方の講習が受けられる。解りやすくて、簡単にしっかり結べるので有り難い体験なんだけと、講師のおじいさんのボディタッチがちょっと気になった。

「えっ気にならなかったわ!」

皆んなは被害無しらしい。

「もみじ殿だけが狙われた様でござる。おじいさんの視線、今ももみじ殿をおっておる!」

ランダムにウロウロして確かめると、楓の指摘は当たっていたようだたった。巡礼ポイントはクリアしたので嫌なことは忘れて次に行こう。


 コインロッカーの荷物を回収して、温泉街にある宿に向かった。

こんにちは!グレープヒヤシンスです。

現実の函館では公会堂は閉館していて、お姫様体験もお休みの筈ですのでご注意願います。

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