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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第4章
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終業式

 卒業式が終わると、残りの3学期は消化試合・・・?の筈はなく、学年末試験が待っていた。桃姫の大役を終え、ホッとしていたから、リラックスし過ぎだったかもしれない。花田の家に寄ってテスト対策をしながら、

「彩花はいきなり新しい楽器を覚えるなんて凄いね!どの位練習したの?」

「ああ、10月に廃部が決まってからずっと。楽器はね、姉貴がバンドするってだいぶ前に買って押入れにあったヤツくすねてたの。」

「軟庭同好会に移籍ってのは?」

「なんか、先輩達が仲悪くって、いま卒業した3年生が喧嘩別れして軟庭同好会が出来たって経緯があるからさ、面倒な予感しか無いでしょ?それならここで、美味しいものたべたり、イチャイチャしながら過ごす方が楽しいでしょ!」

面倒なワードが出てきたので、楓に話を振った。

「イヤ、某、小学生のみぎり、ブラスバンドを嗜んでいたでござる。」

「こころは?」

「・・・・・・・・・・・・。」

「管楽器を吹いていれば、喋らずとも違和感が無いのでラクだと申しておる。」

今回は、音楽室から借りたそうだが、マイ楽器を検討中との事。

「ピアノの発表会と違って、堅苦しい感じがしなくて楽しかったわ!」

いろはがちょっと意外な感想だった。

「左様でござるか?某には、クラッシックのピアニストの様に見えていたでござる。ピンと伸びた背筋からロックの旋律は想像し難いでござる!」

いろは本人以外は、全員納得の感想だった。いろはは、ちょっと照れて、

「そんな事より試験対策でしょ?」

確かにその通りなので、範囲と過去問、授業中に聞いた『試験に出ます!』宣言を洗い出し、楓のソフトに読み込ませた。『必須暗記項目』が、教科別にリストアップされ、予測問題が、本番の分量の5倍位出来ていた。ちゃんと授業を聞いていれば出来るレベルの設定との事。

幾つか、単語のスペルとか、曖昧な所をチェック。大体、安心出来る感じだったので、それぞれ予想問題を解く事にして、夕食の支度を始めた。一応、晩ごはんの当番は居るんだけど、居るとアテにされるので、気付いたら毎日作っていた。皆んな喜んでくれるからいいんだけどね。支度を済ませて、当番にバトンタッチ。秋野の家に帰って母さんの作ったご飯を食べる。妙な習慣が定着しつつある。料理をしてると落ち着くし、秋野の家はプライバシーが確保出来るので、試験対策も捗った。

 学校では、鈴木君、佐藤君の質問攻めに鍛えられ、試験当日を迎えた。過去問を抑えているのは先生にバレているので、同じ問題は減っているか、目先を変えて出てくる予想をしていた。その予想は概ね当たっていて、AI予想もその傾向だったので、予想問題だけで7割は確保出来たし、ポイントを抑えた暗記必須項目で残りの3割もかなり有利に戦えた。三日間の試験を終え、答え合わせをすると、またカンニングを疑われそうな結果が予想出来た。

「前回のガサ入れで、信用して貰えてると思うよ。」

芒は全く気にしていない様子だった。安心が伝染したのか、皆んなとそんな雰囲気になって来たので、気にしない事にして、春休みの計画を練る事になった。


 日程は3月末に決まっていて、カレンの大好きなアニメの聖地巡礼が有力候補だが、春休み期間は雪解け時期なので、多分、年間で1番観光に適さない。飛行機で南へ飛ぶ選択肢もあるが、それ程の予算は無いので県内になるだろう。

「此処なんか如何であろうか?アニメはカレン殿のコレクションにあるし、アニメの原作?元になったゲームは、某も経験しておる。あと、コッチのアイドルアニメなら殿方にも人気であろう?」

県南西の港町。新撰組を描いた作品の舞台になっている。敗走した新撰組の最後の砦となった城跡も実在する。アイドルアニメの方は、確かに見た事はあるし、カワイイ女の子がいっぱいなので、男性需要も結構ありそうだ。少しは南だし豪雪地域ではないので、まあ楽しめるかと思う。皆んなも乗り気な様で、

「そこなら、コレ知ってる?」

カレンは昨年放送のアニメを紹介した。大学生のバンドを描いた物で、ネットでは既に巡礼ポイントが紹介されていた。

「じゃあ決定ね!宿は安い所で良いよね?往復は夜行バス、その分ごはんに回そう!」

 桜はさっさと概要を決めると、楓に宿とバスの予約頼んだ。楓は直ぐにスマホを弄って、返事と同時に、

「二段ベッド3台の6人部屋が2部屋と2台で4人で16人でこの位でござる。電停も在って便利でござろう。バスは学割の往復でこの額、創成のバスターミナルからで、波戸館市内何箇所か停まる故、観光に合わせた所で降りられそうでござる。」

「じゃあ、カレンは・・・、」

「波戸館のシーンだけでもピックアップしとくね。巡礼ポイントは、前に夢愛の学校祭で漫研で貰った資料があるし、ネットでも色々上がってるから、計画立てるね!」

桜の言葉を遮る様に回答、トントン拍子で話は進んて行った。

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