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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第4章
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大学入学共通テスト

「あけましておめでとうございます!」

帰って来たいろはの両親に挨拶した。

「おばあちゃんのおせち貰って来たから、一緒に頂きましょう!」

お母さんは僕に包みを渡して、

「お父さんは年賀状のチェックするんでしょ?私、雪かきしちゃうわね。」

玄関にあったスコップを持って出て行った。

「手伝います!」

僕はダウンを羽織って後を追った。

「新聞配達の足跡しか無かったからね、二人でお泊まりしたのバレバレよ!お父さんが気付かない内に、庭の通路の除雪しちゃってね!」

ニッコリ笑って、ダンプを指差した。10分程ダンプを押して通路を確保、リビングでおせちをご馳走になった。


 午後は花田の家に帰るので、もみじに変身すると、

「ホントに松太郎君なのか?」

お父さんが驚いていた。

 さっき除雪した通路はまた薄っすら積もっていたのでスコップでさっと跳ねて花田側の通路もちょっと頑張った。家に入ると、いろはが発掘した昔のビデオの鑑賞会になり、案の定、姉達といろはが、わたしを可愛がる映像だった。わたし達が年少さん位かな?あきらかにわたしだけ小さくて、きせかえ人形になったりしていた。楓はサクサク操作して、ブルーレイに焼いていた。

「それなら家でも見られるから、父さん喜ぶわ!もみじ、お土産に持って帰ってね!」

古いアニメや時代劇を観て過ごし、晩ごはんはわたしが作って食べてから、一人で秋野家に帰った。

「小さい頃、カワイイな!今もカワイイけど!」

お父さんはご機嫌で画面のいろはを追っていた。なんとなく、松太郎に戻るタイミングを見つけられず、もみじのまま一緒に画面を眺めていた。お母さんは、わたしが家でさっき見ていたのを気付いて、

「お風呂湧いたわよ、お先にどうぞ。」

「あ、ハイ、では。」

少し解放された気分でお風呂に入り、松太郎のパジャマでリビングに行くと、入れ替わりの様にお父さんがダッシュでトイレに走った。

「トイレに行く時、脱衣所通るでしょ?いろはが嫌がったから、お風呂の時は我慢するのよ。」

なるほど、普通、女子校生なんだからお父さんにだって見られたく無いよね?ウチの家族がオカシイんだよね、姉弟でお風呂とかさ。ん?、お父さん、男同士なんだから気にする必要無いよね?

「なんか、もみじちゃんが入ってるからって、我慢してたみたいよ。」

なるべく松太郎でいようと、決意して新しい自分の部屋に入った。


 翌朝、お父さんは出勤、部屋でのんびり読書やゲームで過ごした、ランチに余ったおせちで和風パスタを作ると、

「料理上手は聞いていたけど、残り物でここまでなんて、主婦歴18年の私も完敗ね!」

 午後は、雨が帰ってきたので、もみじになって、花田の家に遊びに行った。母さんとばあちゃんは、お土産と雨を置いてさっさと帰ったそうだ。

「もみじねえの肉ジャガが食べたい!」

晩ごはんのリクエストを受けたので、秋野の家に連絡してご飯を断ると、

「お父さん、新年の飲み会だから寂しいわね。」

しょんぼりするので、誘って見ると即決で来てくれる事になった。

 肉ジャガ、お味噌汁、サラダ。いろはのお母さんは、味にも驚いていたけど、キッチンがちょっとしたレストランの厨房並みだと驚き、大人数の料理をサクサク捌く腕を凄く褒めてくれた。

 キッチンを片付けて、秋野家に帰ろうとすると、雨が久しぶりだからもっといて欲しいと珍しく駄々を捏ねた。

「じゃあ、雨、向こうにお泊まりしたら?」

いろはの提案にニッコリ笑った雨は、いろはのお母さんの顔を見た。

「うん、いらっしゃい!」

三人で連絡通路で帰った。

 交代でお風呂に入り、もみじのままでベッドに入った。長崎旅行の土産話を聞いたり、宿題の進捗を話したりして気がついたら朝になっていた。夜通しよく話題があったと驚いたけど、朝、寝惚けて甘えっ子ならずに済んで、ホッとした。

「ねえ、もみじねえ、お兄ちゃんがお泊まりしたとき、朝、甘えっ子ちゃんになるの知ってる?」

「えっそれ知っててお泊まりしたの?」

「うん、ちょっと楽しみだったけど、不安でもあったよ、雨だけ仲間はずれ嫌だからね!結果オーライ、いっぱいお喋り出来て楽しかったよ。」

秋野家の朝ごはんを食べて、雨は帰り、わたしはちょっとだけ二度寝を楽しんだ。

 残りの冬休みは、たまに花田の家に行って、勉強したり、ご飯を作ったりする位で、ほぼほぼ秋野家で過ごした。何となくもみじでいた方がすごし易く感じて結局ずっと変身したまま、センター試験の前日を迎えた。

 自分が受ける訳じゃないけど、小雪と夢愛、それと山岸さんを応援したい。壮行会と行って、山岸さんもご飯に来るので、ベタだけどカツを揚げた。縁起のいいダジャレのお菓子を買い込んでお茶会。カツを食べて景気づけ。志望校は違うけど、共通試験は同じ会場だそうで、明日は三人で向うそうだ。夢愛はそのまま泊まり込みで、山岸さんは朝迎えに来るので、早起きして3人分のお弁当を作る。ネットで調べた受験当日弁当にしたんだけど、カツは入らなくて、何となくヘルシーランチって感じの仕上がりだった。

 2日間の日程を終了、自己採点でそれぞれ、目標の点数を軽くオーバーしていて、2次試験が楽しみなデキらしい。

3人が凱旋して夕食会、山岸さんが帰ると、

「じゃあわたし、実家にお泊まりね!」

いろはが秋野家に帰った。

「もみじはあの部屋になって、初めて自分の部屋にお泊まりよね?」

夢愛がピッタリ隣をキープしてニコニコしていた。

「センター終わったら、もみじとお泊まりって頑張ったんだぞ!」

なるほど、こういう事ね。キッチンを片付けて、夢愛と終い湯に入った。

 皆んなとのノルマは当然筒抜けで、脱がせっこしてお風呂に入り、ノーガードで風呂掃除、お姫様抱っこでベッドに運んだ。夢愛の少し伸びた髪にドライヤーを掛けて、

「ポニテはまだだね。」

「もみじも伸ばしたら?」

「松太郎の時困るから、今でマックスだよ。」

自分の髪も乾かして、ベッドに並んだ。ノルマを熟して眠りについて、目覚めると、しっかり朝のミッションをクリアしていた。


 残りの冬休みを秋野家で過ごし、冬休み最終日、宿題や新学期の準備の再チェックで、花田の家に来ていた。桐がチェックシートを作ってくれて、それぞれ確認。準備万端で、明日の始業式を迎えることが出来た。

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