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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第4章
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秋野家

 キッチンに行くと、いろはが朝食の支度を始めていた。ご飯と具沢山味噌汁、目玉焼きか玉子焼きは、起きて来たらリクエストを聞いて焼くか、卵かけご飯にしてもらう。

「芒ちゃんがこんな時間に起きてるって奇跡ね!」

いろはが笑うと、

「そんな事言ってたら、これあげないぞ!」

スーツケースを背中に回した。

「小姑しないの!」

桐はスーツケースを奪っていろはに渡した。芒の早起きのせいか、皆んな起きて来て、慌ただしく朝食を終えた。

「じゃあ戸締まり忘れないでね!」

いろはは、姉達にそう告げると、一泊位の荷物を背負って、スーツケースを僕に渡した。玄関を出ると、門ではなく裏庭に回った。花田家・秋野家連絡通路で秋野家に向かう。うちの庭の部分は、雪を踏み固めただけの一本筋なんだけと、秋野家エリアはしっかり除雪してあった。いろはが帰って来易いような配慮なんだろうな。

 玄関に着くとかぎを開けて入る。

「ただいま!」

「お邪魔します!」

中からの返答は無かった。

「パパとママはおばあちゃんの家なんだ!明後日帰って来るの。」

そりゃそうか、スーツケース持って来たって事はお泊りだもんね。両親がいてのお泊りってあり得ないか。

「でも、ママにはしょう君の部屋に住んでる事言ってるのよ。あっ、今はしょう君の部屋だった所よね!」

「えっ?どう言う事?あそこ、僕たちの部屋じゃないの?」

「聞いて無いの?わたしがデフォルトでしょう君の部屋にいるのは不公平だって、あそこがわたしの部屋になって、しょう君の部屋、1階になったでしょ?」

 1階に部屋なんか、、、、有るな。客間の隣の細長い物置き部屋。色々整理して空っぽにしたんだよね。皆んなが住んでる部屋は、物置きとして使っていたけれど、元々は寮の一室なので、直ぐに環境整備出来たけど、あの物置き部屋は、純粋に物置き部屋なので、ちょっと厳しいんじゃ無いかな?

桐なんかは、『誰かの部屋にお泊りなんだから、ショタの部屋なんかコレで充分!』ってスーツケースを指差していたそうだ。

「たぶん、ベッドの幅位しか無いよね?」

「うん、一番奥にベッド置いて左右ビチビチだね。その手前に机とタンス置いてもう一杯って感じだったよ。」

年末、3日お泊りで家を開けていた時に引っ越ししていたようだ。いろはは、メモ帳に間取りを書いて説明してくれた。まあ、女子寮に僕が紛れ込んだ感じなので、このほうがスマートなのかも知れないな。

 いろはは、年賀状を見て、

「住所変更しようかしら?」

冗談でも無さそうだ。

「お父さん寂しがると思うよ。連絡通路の除雪見たらさ、いろはに帰って来て欲しいんじゃ無いかな?」

「うん、わたしもそう思うよ。でもね、今頑張れば、0分里帰りの所にお嫁に行けるのよ!パパにだって協力して貰うわ!」

まあ、住所変更はしないことにして、いろはの部屋に荷物を運んだ。いつも目立っていた、部分的に元気になる薬とゴム製品の入った紙袋は見当たらなかった。

 宿題もかなり進んでいるので、のんびりアニメ三昧。お昼は、インスタントラーメンに玉子を乗せて食べた。

「鈴木君の得意料理だって!」

確かに美味しいけど、料理って言うのかどうかは微妙だよね。色んな美味しい物の話をしていると、

「しょう君のせいよ!」

僕から見ると全然変わらないんだけど、うちで暮らす様になってから太ったそうだ。どう見ても標準の範囲内なんだけどね、乙女的には気になる様だ。僕の料理が美味しいせいって言ってくれる。褒められてるとしか思えないけどな。美月だったら立派にツンデレするんだろうな。

 午後はエクササイズ動画を見ながらトレーニング。結構いい汗かいたけど、解説通りにカロリー消費してたとしても、スポーツドリンク500ミリでほぼプラマイゼロだった。ペットボトルのカロリー表示を読んで大笑いした。

 物置きを探検して、古いビデオテープを物色した。古いアニメと時代劇を見つけ、

「カレンと楓か喜ぶよきっと!」

それから、僕等が小学校の頃のホームビデオも見つかり、運動会や学芸会の画像を持ち出した。

「皆んなに見せられるかチェックしてから持っていこうよ!」

「しょう君ゴメンネ、ウチに再生するなデッキが無いのよ、向こうで観よ!」

姉達といろはに可愛がられている映像が想定出来るので、ちょっと選別したかったけど、まあ仕方が無いか。

 晩ごはんは、ハンバーグ。木のお皿があって、おなじみのファミレスみたいに盛り付けた。

「ドッキリびっきーのお皿、気付いたのね!」

サラダの上にマヨネーズで台を作って、プチトマトを乗せて出来上がり。

「このお皿、結構したでしょ?前に雨が欲しがったんだけど、家族分を揃えると、莫大な金額になるから諦めたんだよね。今はもっと必要になっちゃったしね!」

「じゃあ今度、雨ちゃん招待して、ハンバーグご馳走するわ!ハンバーグの味はしょう君に及ばないけど、器を楽しんで貰うのも楽しいよね!」

家族で偶に行っていたみたいだけど、お父さんがそこのオリジナルビールが好きで、徒歩で行っていたそうだ。歩くにはちょっと遠いよね?

「家族でお散歩って思えば、ギリオーケーかな?わたしが免許取ったら、車でびっきーが、最初の目的かしら?」

他のメニューやデザートの話で盛り上がり、イカを焼いた料理がお父さんの大好物らしい。僕は記憶に無かったので、説明してもらったけど、明日のランチで実物を食べる事にした。


 食器を片付けていると、

「しょう君、お風呂わいたよ、お先にどうぞ!あっコレ飲んで、ビタミンとミネラル!」

手渡されたサプリを飲んで、

「うん、ありがとっ!」

あ、一緒じゃないんだ。あとから入って来るパターンかな?妙にソワソワしちゃったけど、いろはは現れなかった。脱衣所には、パジャマとトランクスが置いてあって、普通の風呂上りって感じ。

「気持ちよかったよ!」

「じゃあ、わたしも入って来るね!」

交代でお風呂に行った、風呂上りのいろはもパジャマで、アイスコーヒーを出してくれた。いろはの部屋に行ってまたお喋り。寝る前に、一大決心でお願いをした。


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