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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第4章
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晴れ着

 お昼は、昨日の残りをアレンジして、チャーハンとスープを作った。受験生の2人は、そのまま頑張っていて、僕らはノルマを熟したので、カレンのオススメのアニメを見たりして1日を過ごした。晩ごはんは、姉達の当番でカレーを作ってくれた。特に凝ったことも無く、カレールーの箱に書いてあるレシピ通りなんだけど、とても美味しかった。

「天下の○ウス食品さんが、こう作るのように書いてあるんだから、美味しいに決まってるでしょ?」

確かにそうなんだけど、玉ねぎを飴色に炒めたり、お肉を炒める時にフランベしたり、隠し味にはチョコレートがいいとか、インスタントコーヒーがいいとか、だいたいの人は、多少なりともアレンジするんだよね。箱レシピでこんなに美味しいと、今までの努力が何だったって思っちゃうよね。

 カレーを食べてお風呂に入る。ずっと松太郎でいるので、終い湯で風呂掃除だなって呑気にして、僕の番だと思ったら、カレンが一緒だった。一緒のお風呂はかなり慣れたんだけど?今朝の一件で手のひらがカレンの感触を忘れていなかったので、いつもとは違うドキドキを味わった。カレン自身もいつもとは違って、恥ずかしそうな感じなので、お湯浸かる前にのぼせた感じになっちゃった。身体を洗ってお湯に浸かる。2人で入っても寮サイズの浴槽なら密着しなくても大丈夫!と、思ったけど、十分なスペースがあるにも関わらず、密着するのは、余計ドキドキかも!どうしようとしたのかな?多分バランスを崩した感じで僕に覆い被さった。顔面に、柔からな弾力を感じると、カレンはサッと離れた。

「今のは、わざとじゃないよ!」

真っ赤になったカレンを見ると、更にのぼせて来た。

「しょう君が気に入ったのなら、またしてもいいよ。」

小声が揺らす鼓膜は、自分の鼓動で反応が鈍くなっていた。何も無かったように掃除を済ませて!カレンの部屋に帰った。少し心臓を休めたかったので、昼間見たアニメに話題を振ると、しっかりアニメトークで、寝落ちするまで、ドキドキを忘れさせてくれた。

 翌日からは、寝る所がカレンの部屋なだけでいつもと変わらない生活だった。いつもと違うのは、事ある毎にカレンのキスが炸裂する位。段々慣れてしまう自分が怖いけど、初めのドキドキがずっと続いていたら身か持たなかっただろうな。ようやく大晦日。もう一晩で解放だね。夕方から、年越しパーティーの準備をして、早めにお風呂に入った。やっぱりカレンも一緒だったけど、過激な攻撃は無く、背中を流しっこして、パーティーの準備に戻った。年末恒例の歌番組は誰も興味が無い様で、ご馳走を摘みながらお喋り。おなかが苦しくなって、アニメ鑑賞会になった。除夜の鐘をテレビで聞いて、それぞれ部屋に引き揚げた。

「あっという間だったね。」

カレンは寂しそうに呟いた。

「もっと過激な計画だったのよ。」

最後のお泊りでは、新たな進展は無かったけど、8連泊の間にキスはへっちゃらになったし、ベッドの中でどこかに当たっても動揺しなくなっていた。益々、パジャマの中の松太郎が反応する事が無くなりそうに思えて来ちゃった。


 元旦の朝は、初日の出はパスして、お雑煮の支度。例年は、おすましに角餅なんだけど、今年はカレンの味で味噌仕立てに丸餅。きっとお母さんの出身地の習慣なんだろうね。8時に全員起こして、揃って食べた。


 食後は晴れ着の着付け。ばあちゃんがブライダル関係のお花屋さん経由で、中古のレンタル振袖を格安でゲット。皆んなで着てもまだ余っていた。髪とメイクが済んだ順に着せて行く。成人式の日の美容室の様な戦場になり、2時間程で何とかクリア。姉達と小雪が着せられたので助かった、そんな言い方したら、元々僕の仕事みたいに聞こえちゃうな。まあ実質そうだから仕方がないか。初めは、触っちゃ不味い所とか気にしていたんだけど、段々気にならなくなりなって、普段はドキドキするような所も平気で触っちゃったな。初詣に出掛けるのかと思ったけど、草履とか防寒グッズが無いので、家の中で楽しむそうだ。

 お昼を食べる時に、琴音と美羽がリタイア。食後、彩花、美月、こころがリタイア。チラホラと洋服姿が増え、夕食後迄着物だったのは楓だけだった。

「松太郎殿は今宵、某の部屋に宿泊ゆえ、寝台迄、これで過ごすぞ。あのシーンを再現したいでござる!悪代官が町娘を手籠めにする時に、帯を引っ張って、独楽みたいに回るやつ!」

皆んなが大笑いの中、美月は、

「そのシーン、どこまで再現をご希望ですの?独楽になって回る所?手籠めにされる所?」

更に沸いたんだけど、楓の脳は処理能力を超えてしまったようで、白眼を剥いて口をパクパクさせていた。

「じゃあ、和室がいいわね!」

桜は客間に泊まるよう勧め、カレンは僕の着替えとかの、スーツケースを運んで来た。

「では、回して頂こう!」

大丈夫かな?力加減解らないよね?ただ引っ張っても回るモノじゃないみたいで、回る側の協力が必要みたい。何となくクルクルして、取り敢えず満足してくれたみたい。着物を畳んでいると、

「悪代官らしからぬ所作でござるな。次のシーンが滞っておるぞ。近う寄れ!」

「どっちが悪代官か解らなくなっちゃってるよ!」

「細かい事は気にしないでござる。」

首にぶら下がるようにして、唇に吸い付いて来た。随分積極的になって驚いたら、

「カレン殿からの申し送りによると、泊まりの時は、接吻は自由にして良いとなっておるぞ。」

「なんか、また新しいルールが出来た?」

「良いではないか、良いではないか!」

また爆弾発言が出ないうちに布団に潜った。

「カレン殿のようにはいかぬから、摘んでみてはどうだ?」

聞こえないフリをしていると、

「そりゃあ、貧しい乳だがかまってくれても良かろう。それとも違う所が良いか?」

余計面倒な事になりそうなので、楓の左手が引っ張るまま右手を預けた。ぺったんこなので、そんなに緊張する事も無いかな?油断して触ると、やっぱり特別な所って感覚でサイズに関係なく、ドキドキは加速。にわかに緊張した右手は、手のひらでは無く、指先で感触を確かめていた。

「あン!」

甘えん坊モードの2オクターブ高い吐息が漏れた。慌てて手を引っ込めて、背中を向けた。しばらく沈黙が続いた、背中に貼り付いているドキドキは、眠っているとは思えなかった。

「作戦の、半分も出来なかったな。」

甘えん坊モードの声が鼓膜を揺らした。

「じゃあ作戦中止でもう寝ようか?」

「うん。」

と言って、楓は背中を突付いた。寝返りをうつと、唇をすぼめて突き出していた。カレンに鍛えられたので、きっと期待に応えられた筈。楓は幸せそうに寝息をたてた。

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