特賞
ばあちゃん、母さん、ロゼさんは、客間になった元のばあちゃんの部屋にやっさと引き上げた。明日も早いらしい。
「さあ、プレゼント交換だよ!」
恐れていた瞬間がやって来た。
「ごめん、なんにも用意してないよ。」
恐る恐る告白すると、
「ショタは気にしなくていいから!」
桜は赤地に柊が飾られた、クリスマスらしい封筒の束を扇にして皆んなに選ばせていた。残り2つの時、
「ハイ、どうぞ。」
僕が選ぶと、
「じゃあ、一斉に開いてね!」
「「「「「イッセイのセッ!」」」」」
「Yes!」
カレンが派手なガッツポーズ。いきなり抱き付いて、唇に吸い付いた。他の皆んなは程々の反応。
「自分のが当たった人いる?」
美月、夢愛、雨が手を挙げた。
桜は3人を向かい合わせにして、コイントス。
「オモテなら右回り、ウラなら左ね!」
3人のプレゼントが決まって、それぞれに当選品が配られた。僕は小雪からのプレゼントで、可愛いペンのセットとUSBメモリ。メモリの中身は、ギッシリ解説が書き込まれた、試験問題と答案用紙。定期テストだけじゃ無く、小テストとか、休み明けのテストとか3年2学期迄の物が纏めてあった。
「カレンは何が当たったの?」
ニッコリ笑って、2つ折の緑のカードを開くと、金のマーカーで、『松太郎』と書いてあった。
「僕、何も用意してないんだ、明日買いに行くから待っててくれる?」
「ううん、松太郎自身が特賞なの!」
そう言うとまた、カレンの唇は、僕の呼吸を妨げた。やっと気が済んだのか開放されると、
「お泊りの準備はいろはがして、私の部屋に運び込んでくれる事になっているの!」
しばらくお喋りして、それぞれ部屋に引き揚げて行った。何となく、カレンと最後迄残って、一緒に歯磨き。カレンの部屋に行くと、スーツケースが置いてあった。
「何泊するの?」
「元旦の朝までよ!」
僕には拒否権も無いし、別に困る事も無いので、皆んなの決めたルールに従うしかないよね。
カレンは僕をベッドに押し倒すと、しっかりマウントして、本日3度目、呼吸の邪魔をした。ベッドの上で緊張したせいか、顎の筋肉が緩んでいたらしく、舌の侵入を許してしまった。しばらく堪能したカレンは、
「やっと合格ね!」
そう言いながら、僕の服を脱がし始めた。
「自分で着替えるよ!」
「着替えなんか無いから、脱ぐだけよ!」
抵抗しても仕方がないかな?諦めて抵抗を止めると、チノパンと一緒にトランクス迄脱がされてしまった。
「じゃあ、交代ね!」
カレンは僕を開放すると、ベッドに腰かけて目を瞑った。ブラウスのボタンを外しているうちに、ドキドキが収まった。特別なシチュエーションに思えたけど、結局はいつも通りだよね?流石に下着は不味いよね、上下1枚ずつを残して、
「じゃあ、寝よっか!」
「まだ残ってるよ、私は全部脱がしたんだから、同じじゃないと不公平よ!」
思い切って、背中のホックを外し、下は躊躇っていると、
「横の紐を解くだけでいいわ!」
すっと引っ張るとハラリと落ちた。
直ぐに灯りを消して布団を被った。毛布の中でもカレンの攻撃は止まなかったけど、されるがままにしていると、ドキドキもピークを過ぎて、落ち着いて眠りに付いた。
朝、右手に心地の良い弾力を感じて目を覚ました。恐る恐る、触っているモノを確かめると、思いっきり不味い体勢で思いっきり不味い所を触っていた。いや、揉んでいたって言うのが、より正確な表現だろう。カレンは目を覚ましていて、
「おはよ、しょう君。」
至って普通の反応だった、慌てて手を引っ込めたけど、
「もう飽きちゃった?」
どう反応していいか解らず、
「ゴメン、えっと、その、、、」
「しょう君がなんにもしないから、こうやってね、、、」
カレンは僕の手を引っ張るってさっきの位置に戻した。
「もう少しは積極的になって欲しいな。」
少し恥ずかしそうなカレンを見ると、自分の鼓動が聞こえるくらいにドキドキした。また直ぐに引っ込めたけど、ちゃんと覚醒しての感触を味わっておけばよかったかと少し後悔。
背中向けて、さっさと服を着た。カレンも着ている様子で、
「ちょっと早いけど、朝ごはんの支度しようか?」
「そうね、、、」
カレンもやり過ぎ感があったのかな?ちょっと淀んだ返事が、僕の鼓動を更に加速させた。
キッチンに行って、冷蔵庫をチェック。
「お味噌汁は、ホウレン草かしら?」
カレンは、和食が好きで、お味噌汁は鰹節で出汁を取って作る。最近はばあちゃんに糠床を分けて貰って、色んな物を漬けている。ホウレン草のお味噌汁と胡瓜の漬物がカレン作。ご飯はタイマーで炊けているので、あとは鮭の切り身でいいかな?
早速、母さん達が起きて来て、5人で朝ごはん。ばあちゃんに漬物を褒められて、カレンは大喜び。
「雅美もね、東欧人みたいな顔なのに、和食が上手なのよね!」
母さんは、味噌汁のお椀を嬉しそうに嗅いでいた。ロゼさんも、漬物がカレン作だと聞いて驚いていた。忙しく食べ終え、
「正月には帰るわね!」
さっさと出掛けていった。
徐々に皆んなが起きて来て、僕の様子をチェック。『やっぱりね』って顔だった。
夢愛は小雪と受験勉強、山岸さん同様、柔道推薦も可能だけど、一般入試で頑張っている。創成市の教育大学が第一志望との事。推薦の大学は東京ばかりで地元志望の夢愛には合わないみたい。僕らも宿題を頑張ってみた。




