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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第4章
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サプライズ

 明け方少しウトウトしたみたい。光センサーで暗くなると時報が鳴らない時計なんだけど、ゼロ分になると。『カチッ』って音だけするんだよね。12時過ぎに寝て、『カチッ』を5回聞いたから、5時過ぎまでは起きていて目覚めたのが6時半だから、1時間ほど眠ったんだろうな。

 琴音はもう起きていて、引っ越しの荷造り?大きなバッグに荷物を詰め込んでいた。

「荷物少ないから、これで引っ越しオーケーよ!」

部活で遠征って感じのドラムバッグと、昭和の映画で見たカニ族っていう、甲羅を背負った様な巨大なリュックサックも用意してあった。まあバス停迄近いし、降りてから家までもそんなに無いからムリって訳じゃ無いけど、イブにこんな大荷物だと、サンタさんに間違われるかも知れないな。トーストを焼いてさっと朝食を済ませて、荷造りを手伝った。タンスや押入れを片付けるんだけど、その押入れが3.5次元?カラーボックスとか突っ張り棚なんかで、工夫に工夫を重ねて、信じられない収納力を産み出していた。色々懐かしいモノが出てきては横道にそれ、あっという間に昼になってしまった。チャイムがなると琴音は玄関に飛び出て、

「待ってたよん!」

助っ人の美羽が参戦してくれる様だ。

「私の荷物は、パパが運んでくれたから、アテにしてね!って言うか、遠慮しないで車で運んで貰えば良かったのに!」

「何となくね、実家を出るときは、自分の力で出たいと思ってたんだ。別に二度と帰らない訳じゃ無いし、自分の力って言っても、二人に手伝って貰ってるし、家賃だって親掛かりだから、カッコ付けてもしょうが無いんだけどね。」

3.5次元の押入れを二人に任せて、お昼ごはんの支度をした。使いかけの野菜が結構あったので、冷凍のシーフードミックスと炒めて餡掛けにして、餡掛け焼きそばにしてみた。出来上がりを告げると、二人は勢い良くダイニングテーブルに飛んで来た。中々好評で、野菜多過ぎちゃったかと思ったけど、ペロリと平らげてくれた。

「私達だとね、片付けよりも思い出に耽る事が多くってね!もみじに頼った方がいいみたい!」

確かに殆ど進んでいなかった。

 取り敢えず、ベッドの布団を退けて、押入れのお宝を並べた。持っていくモノ、押入れに戻すモノ、捨てるモノに分けて貰って、戻すのは琴音が担当、持っていくのは美羽、捨てるモノは私が片付けた。なんとかスッキリしたのは3時近かった。メッチャ日が短い時期なので、さっさと帰らなきゃ、暗くなっちゃうので、リミットギリギリだったね。

 3人で大きなバッグを背負ってバス停に並んだ。バスは貸し切り状態だったので、大きな荷物で座席を占有しても罪悪感は無かった。

 なんとか明るいうちに着いて、荷物を運び込んだ。パソコンを撤去した部屋と、倉庫にしていた部屋がそれぞれ、琴音と美羽の部屋になっていて、スッカリ住める状態になっていて、運んで来た荷物を収納したら引っ越し完了みたい。

「力仕事だから、しょう君がいいな!」

琴音は運んで来たバッグから、松太郎用の着替えを出した。自分の部屋に戻ろうとしたら、

「そこで着替えたらいいでしょ?」

まあ、それもそうか。

 美羽の部屋で荷解きを手伝っていてふと思ったんだけど、今日、イブだよね?

ケーキもターキーも何も用意して無いけどどうするんだろう?今更相談したら、凄く怒られそうだな。こっそり雨にメールしてみた。

『引っ越しのお手伝い、頑張ってね!』

意外な返信で、益々どうしたら良いのか解らなくなった。いろはにもメールしたけど、返信は無かった。

 二人の部屋が一段落した頃、いろはからやっと返信。

『おなか空いたでしょ?』

降りて来いって事かな?琴音も美羽も普通にご飯を食べに行く感じで階段を降りるので、なるべく目立たない様に付いて行った。

 えっ?ご馳走の香り?美味しい匂いを鼻が捉えた。ダイニングに降りると、柔道部の猛者達と鈴木君、佐藤君とお姉さんも来ていて、すっかりパーティーの準備が出来上がっていた。

 ローストターキーをメインに、お洒落なオードブルがテーブルを埋め尽くしていた。普段は何もしないけどやる時はやる姉達の仕業かな?皆んなも手伝ったんだろうな。ケーキはちょっと完成度低めだけど、10号(30センチ)以上ありそうだよね?もっとかな?このサイズを生クリーム包むのってかなり大変だから仕方がないかな?

「ケーキは俺達の作品だぜ!素人の割にはカタチになってるだろ?味は夢愛に任せたから安心していいぜ!」

山岸さんが満足そうに解説してくれた。確かに(多分?)初めてでこれだけって上出来だよね!

「ピザはトッピング迄頑張ったよ、本物の窯は僕等の手に負えないから、仕上げは任せるよ。薪は雨ちゃんが準備してくれたからすぐに焼けるよ!」

火の回りを調べて、早速焼き始めた。

「いい匂いね!」

母さんとばあちゃん、それにロゼさんも登場。早速酒盛りを始めた。

「ねえ!飲むのはいいけど、自分のグラスはちゃんと管理してね!」

美月が酔うと大変なので一応釘を刺しておく。

 担当した人を発表しながら料理を楽しんだ。ターキーは姉達でサラダとかオードブルはいろは、美月、彩花。雨は窯の支度、夢愛はピラフを炊いたそうだ。猛者達の胃袋対策だろうな。カレン、小雪、楓、こころは飾り付け担当との事、異世界ファンタジーって雰囲気の不思議なツリーだった。 

「たまにはお兄ちゃんを饗すのもいいと思ったんだ、お姉ちゃん達以外は皆んな賛成してくれてね、ピザ教室とか計画して、お兄ちゃんを家から隔離したんだよ!」

こんなサプライズ、初めてかも?いや、絶対に初めてだね!

 ピザの焼き上がりも上手く出来て皆んな喜んてくれた。幸せ過ぎて、すっかり忘れてたんだけど、プレゼント交換とかやるよね?何も用意していなかった。

 夢愛は合宿とかで、彼らの胃袋の手強さを把握していたので、こんなにご馳走が有るのにまだ炊くの?って言う迷いは無く、想定通りに消費していた。シメのケーキは、イチゴと生クリームのシンプルだったけど、甘さ控えめのクリームと、びっくりする位甘いイチゴでとても美味しかった。

「試作品でね、味は良いんだけど、量が全然でね、商品化には程遠いのよね、ここで食べるにはちょうどよかったわ!」

 ご機嫌なゲスト達は、夢愛を除いて9時過ぎに帰路についた。

「さあ、プレゼント交換だよ!」

ゃ、やっぱりそうだよね。こう言うのを『天国から地獄』って言うんだろうな。

こんにちは、グレープヒヤシンスです!

新年を祝し、元旦から3日間、3連投します!

ぜひご覧ください。

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