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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第3章
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エキシビションマッチ

 エキシビションマッチの会場には多分、バレーの決勝を戦っている2チー厶以外、全校生徒が集まっていた。一際目を引いたのは、『いちのいち』と書かれた赤い幟のTシャツ売り場。『いちのいち』Tシャツが飛ぶように売れていた。生徒会の役員達が売り子になっていて、金庫番は小雪だった。と言っても生徒手帳をかざしてキャッシュレス。

「現金が動くと先生達がウルサイからね!ネット予約で前払いだから、生徒手帳でピってやるだけだよ!楓に助けて貰ったの。」

そんな事だろうと思ったけど、プリントも含めて2千円弱の原価だった筈のTシャツが3千円。どう見ても100着は軽く超えている。

「何着売るの?」

「千!」

「えっ全校生徒より多いじゃん!」

「ネット販売でソールドアウト!」

悪戯に金儲けする筈は無さそうなので、訳を聞いて見ると、校庭にある花時計の修理の資金との事。この花時計、校舎を建替えた時に、OGでもある、花田種苗の社長(ウチの母さん)が寄贈した物で、先月の初め頃から動いていなかった。学校には予算は無いし、母さんを頼る訳にもいかず、最悪撤去の可能性もあったそうだ。事情が事情なので先生も黙認だったんじゃ無いかな?修理費を払ってもまだまだ残るので、今後のメンテナンスに充てるそうだ。


 さて、キックオフ!サッカー部は初めからベストメンバーで本気モード。五分五分位でお互いシュート迄漕ぎ着け無い状況で前半を折り返した。

 ハーフタイムには、バスケの時と同様にチアダンスの披露があって、バタバタ駆けつけたのは、決勝を終えたバレーの選手達らしい。

 後半戦、一進一退の攻防が繰り広げでいたが、徐々に押されて来た。ワントップのストライカーに貼り付いている楓とこころのスタミナが切れ、フリーになる事が増えると、強烈なシュートがゴールを襲った。カレンのファインセーブから、カウンター!行く手を阻まれた桐は桜にボールを戻した。その時、姉達が謎の行動でグランド中に『?』を巻き起こした。

 センターラインの手前でパスを受けた桜は天を仰いで、近くにいた相手選手に柔らかいパス。相手はそのままドリブルで持ち込みシュート!直後に長い笛が鳴った。

 あっ!バックパスだと思ったんだ!バスケの場合オフェンス側で一旦相手コートにボールを進めると、自陣には戻れない『バックパス』って言うルールが有って、サッカーでは規制されていない、自陣へのパスで相手ボールになったと思った様だ。カバーに入る位置にいた芒も同じジャッジをしていてフリーで見送っていたので、他の皆んなも、気付かないうちに、決勝ゴールが決まってしまった。

「悔しいけど面白かったわ!」

握手でお互いの健闘を讃え合うと、恒例?のスカウトが始まった。確かにルールを知っていれば決勝点は無かったかも知れないし、日程的に圧倒的に不利だったよね。勿論タラレバだけど、インターハイにもう一歩で、近隣の学校には圧勝のサッカー部を相手に、ほぼ互角で渡り合ったんだから、スカウトする側としちゃ、当たり前だよね。

 バレーは一回戦負け、男子卓球は総当たり戦でギリギリで優勝。5クラス全部が2勝2敗で並び、ゲームポイントでちょっとだけ上回る1組が優勝。小雪は一応バレーの補欠だったらしいけど、Tシャツ販売に掛かりっきり、数日で百万も利益を出したんだから忙しくて当たり前か。でもチームは優勝したので、取り敢えず全員の祝勝会。鈴木君、佐藤君も誘って、ピザパーティー。今回はオフサイドの説明頑張ってくれたので、サッカー優勝の貢献度も高いよね!一回戦でオフサイドを克服してからは、誰がどう見ても、優勝間違い無しだったので、下拵えは済んでいて、窯が暖まる間に仕上げる手はずになっている。

 

 家に帰ってピザの準備。借りてきた猫みたいな2人にはアシスタントになって貰って、ドンドン作る。最初はトッピングを頼んで、楽しそうにしていたので、生地の方にも挑戦してもらった。佐藤君は上手く出来そうと予想していたけど、鈴木の方が何とか形になり、佐藤君は丁寧過ぎて失敗しちゃった感じ。

「僕、こういうのって、お姉ちゃんに頼りっぱなしだから、下手っぴなんだ。」

それを聞いた小雪は、

「そうね、真紀だったら直ぐに手を出しちゃいそうね!面倒見良いからね。折角だから覚えて帰って、驚かせて見たら?電気のオーブンでも出来るんだよね?」

「うん、これ作る迄は電気だったよ、250度で10分かな?トッピングの時に予熱しておけば丁度いいよ!」

2人はヤル気満々だったので、詳しく説明しながら焼き続けた。元々難しい料理でも無いので、もう大丈夫じゃないかな?皆んなも、ちょっとイビツだったりコゲてたりしても楽しそうに食べてくれた。レシピと参考になる動画のショートカットを2人に送ると、

「ウチのって、レンジでしか使った事しか無いんだけど、オーブン付いてるのかな?」

「こんなの見た事あるかな?」

オーブンレンジでオーブンで使う金属のトレイを見せると、

「ああ、使ってるよ、食器棚の仕切りにしてるヤツだな。」

今度は、佐藤君も心配になったけど、

「真紀がクッキー焼いたの、ご馳走になった事あるから大丈夫だと思うよ!アレ美味しかったから、しょう君習いに行ったら?」

鈴木君の所に出張講師に行って、2人が覚えられたら、ご褒美にクッキーを習いに行く事で勝手に話が決まっていた。勿論佐藤君のお姉さんには何の相談も無い。小雪の行動パターンなのでまあ問題無いのかな?

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