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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第1章
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作戦会議

明けて木曜日。変質者は金曜日に出没する頻度が高いそうなので、急遽集まって貰った。参加者10名、問題なく集まれるのは、花田家が大邸宅という訳ではない。まぁそれなりに広いが、元々曾祖父が興した種苗会社の事務所兼、住宅兼、研究所兼、寮だった。会社は郊外に移り、実験用の畑は宅地として高く売れたので郊外でのびのび研究しているようだ。


助っ人を頼んだのは、中学の同期・千葉(ちば)、1つ先輩・斉藤(さいとう)さん、2つ先輩・山岸(やまぎし)さんで中学柔道部の歴代主将で、みんな県代表経験者だ。更に足も速い、パワー系のアスリートは、のしのし走るイメージだが、体育祭等ではリレーの選手もこなす程だ。そして決定的要因は、それぞれ被らない姉ファンであることだ。3人とも極度に緊張している。柔道の大会の応援に行った事が在るが、県大会の決勝の前でも、こんなにガチガチじゃなかった筈だ。どうしたものかと頭を悩ましたが、キッチンを舞うエプロン姿の姉達を目で追う3人は恍惚状態になった。普段のぐーたらを知る身の弟から見ても美しい。大体あのフリフリエプロン、どこで見つけて来たんだろう?柔道部の猛者達は、どこか異世界に飛んで行ったみたいだ。

会長と委員長が何とか意識を繋いでくれた。肉じゃが、ハンバーグ、オムライス、唐揚げ。ガッツリ食べたい&彼女に作って貰いたいメニューをきっちりカバー。普段何もしないのに、なぜこんなに鮮やかに出来るんだ?下拵えは俺がしておいたけど、なぜ出来ちゃう?しかも旨い。盛り付けもおしゃれだ。

委員長は猛者達がそれぞれ誰推しかをすぐに見抜き、料理が終わった姉達をそれぞれ正面に座らせた。更に場を盛り上げて、勢いでオムライスにケチャップのハートまで描かせている。委員長、恐るべし。


もちろん、真面目な会議もした。

1番出没情報が多い方面は、旧自転車道と散歩道がある公園の近辺で時間帯は日没前後、真っ暗になると殆ど出ないらしい。真っ暗でなければ、猛者達が隠れるのが難しい。デートを装って近くで待機するとこになり、委員長は、

「取り敢えず、今正面のペアでいいね?」

サクサクと進む、公園の手前まで数名で行って、俺一人で公園に入る公園の出口は猛者と姉が押さえる。でも、大丈夫かな?本番固まったりしないかな?

委員長に相談してみたら、組んだペアで怪しまれない程度に慣れるように特訓する事になった。姉達の機嫌が心配だが、ちゃんと対応しているのでほっとした。手を繋いでも赤面しない位まで成長したので取り敢えず、特訓終了。

途中別れた人は、交番近くで待機。大体そんな感じでまとまった。

姉達は怒って無いかな?一応、姉達のご機嫌とりと言うか、明日いきなり見て驚かないように、囮の衣装を披露することになった。いろはは、不服そうだが、姉達のガス抜きは後々考えると絶対に有効な筈だ。

着替えて降りて来ると、猛者達はうっとり眺めている。そんな目で見るなよ!笑うところだぞ?千葉がとうとう、鼻血を垂らした。


夢見心地の猛者達は、帰宅。会長と委員長は、それぞれ、桜と桐の部屋に泊まるとのこと。

「いろはは、どうする?」

いろはの耳許で芒がなんか言ってる。いろはは、真っ赤になって猛抗議している積もりのようだがパクパクしているだけで何を言ってるのかさっぱりだった。結局、芒の部屋に泊まるそうだ。しかも、一度帰って、お泊まり準備してくるそうだ。不審者会議のまっ最中なので近くても送って行って、お泊まり準備の間、おばさんと話をした。

「ごめんね、おばさん目が悪くなったのかな?誰か判らなくなっちゃったよ?桜ちゃん?桐ちゃん?芒ちゃん?」あっ衣装のままだった。

「あっ松太郎です!生徒会の催しでいろいろあってこんな格好で・・・会長と役員が来ていて、泊まって行く事になったから、いろはもくるそうです」

「いろはは、しょうくんとお泊まり?」

「いや、家はうちだけど、芒姉ちゃんの部屋ですよ!」長い付き合いなので気にしないのか?男として見てないのか?同級生の女子のお泊まり準備を待つ、女装男子ってかなり不審者だよね、問題の奴より今の俺の方がよっぽど不審だろう。

「さっき芒に何か言われた?」

あらら、また赤くなってパクパクし出してしまった。何とか、元に戻った頃家に付いた。後で芒が教えてくれた。俺の部屋に泊まったら?って言ったそうだ。


家に入ると、さっきまで賑わっていた1階はすっかり鎮まっている。芒の部屋には、鍵が掛かり灯りは消えている。他の部屋も当たってみたが、俺の部屋以外は、どこも同じだった。取り敢えず、俺の部屋に入ろうとするいろはを慌てて制止。真正面の雨の部屋のドアで息を潜め、姉弟妹(しまい)一斉メールを送った。ドアの向こう、すぐのそばの辺りで4つ着信音が同時に鳴り、次に笑い声。全員出てくると、雨がすこぶるご機嫌だった。

「取り敢えず、僕の部屋にふたりで入ったら、弄りのネタにするつもりだったんでしょ?」

雨の話によると、戻って来て誰も居なかったらどう反応するか予想していて、雨がほぼパーフェクトに当てたそうだ。デザートを最初に選ぶ権利をゲットしたとのこと。

姉達は、紅茶がご所望だったのでヤカンを火に掛けて、お湯が沸くまで着替えに行こうと思ったが、それを察して委員長が引き留める。

「いい加減、スカート脱ぎたいんですけど!」

委員長はにっこりと、

「パンツだけじゃヘンタイじゃない?あんまり可愛くないわよ!」

あー面倒臭い、お湯も沸いたし、まぁいいか。キッチンに戻ろうとすると、さっき姉達が着けていたフリフリのエプロンを掛けられた。

「大事な変装衣装、汚れて本番に差し障りが出ないようにエプロンしようね!」

委員長、恐るべし。

雨は、可愛いと喜び、お揃いのエプロンで手伝ってくれた。いろはは、不満だが空気を読んで我慢しているようだ。絶妙なタイミングで委員長が話しかけて来るので、着替えに行けない。きっと『おあずけ』で楽しんでるんだな、まぁ寝るまでの辛抱だ。

「お兄ちゃん、いろは姉ちゃん、見て欲しい物があるんだけど、お部屋来てもらってもいいかな?」

いろはと顔を見合せ、

「うん、行こう。」

雨の部屋に行くと、

「これでいいかな?」

雨がスケッチブックを開いて見せてきた。

これがどうしたのかと聞くと、

「絵の宿題の相談してたことにさせてあげるよ。お兄ちゃんもお姉ちゃんも嘘つけないでしょ?

あっお手洗い行って来るね!」

と居なくなった。ヘタレの俺たちに、時間を与えてくれたんだな。

「今日は別にしなくてもいい女装して変質者だと思った?」

いろはは、首を横に振る。

「姉ちゃん達が、委員長に踊らされてかなりストレス溜まったと思うんだよね、姉ちゃん達にしたら、メイドカフェゴッコはかなりムリしてたと思うんだよね。俺がこうなってたらストレス発散になると思ってね!」

『わかったよ』なのか、『知ってたよな』のか、首を縦に振る。

「ところで、最近姉ちゃん達となんかあった?

なんか、雰囲気違う気がするよ。俺を庇ってご機嫌損ねたのかな?」

真っ赤な顔で首を横に振る、『なんかあった』って自白しているようなものだ。いじめにあっている様子もないが気になる。

雨が戻って来たので、三人で1階に合流した。雨は、不思議そうに俺を見ている。

あっ、着替え損ねた。せっかく時間作ってくれたのに、すっかり忘れていた!委員長もご機嫌なので気にしないでおこう。

毎日の更新は取り敢えず、今日までです。

次回は、5月10日の予定です。

貯まっていたネタを出し尽くしてしまいましたので、改めてスタートする気分で頑張ります。

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