表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第3章
69/139

こころのご褒美

 遠足からずっと密着しっぱなしのこころは、家に帰っても離れ無かった。事情を聞くと、側溝に落ちそうなおじいさんを助けて自分が落ちたそうで、名誉の負傷なので、週末まで松太郎でももみじでも自由に出来る権利を獲得しているとの事。勝手に景品扱いはどうも腑に落ち無いけど、勇気を出して頑張ったこころが喜んでくれるなら、まあ仕方が無いかな?

 ご飯を食べて、お風呂に入ろうと思ったら、

「・・・・・・・・。」

こころは、患部を温めない方がいいので、シャワーだけにすると言って、背中を求めた。

「お風呂一緒なら、もみじになって来るからちょっと待って!」

「・・・・・・・・・。」

「こころが良くても、僕も心の準備があるの!」

「・・・・・・・・・?」

「えっ?こころと心?別に掛けた訳じゃ無いよ!」

「別にどっちでもいいんじゃない?」

姐達は、気にする方が不思議って立ち位置で議論する気も無いみたいだった。『言う事を聞く』以外の選択肢は無くなり、おんぶでお風呂に向かった。

 ササッと全部脱いだこころは、

「包帯お願いね!」

圧迫用に伸びるタイプの包帯が巻いてあった。脱ぐ前に言ってくれたらいいのに!椅子に腰掛け、放り出した右足の包帯を解くとなると、普通は絶対に視界に入らない部分が、ちょっと視線を上げる。だけで目に飛び込んで来る!しかもモザイクも無し!包帯を取って湿布を剥がした。

 シャンプーを手伝って、お湯を抜きながら、僕もシャワーだけにして、急いで掃除を済ませた。こころは脱衣所で待っていた。最近の風呂上がりは、部屋着でいるようにしてもらってるんだけど、

「寝るだけだからね、足が治ったら、ちゃんと着るから!」

と、バスタオルだけだった。

 肩を貸して歩いて見たら直ぐにバスタオルがずり落ちちゃうし、この状態でのおんぶは密着し過ぎなので、お姫様抱っこでベッドまで運んだ。湿布を貼って、包帯を巻いて、

「これで大丈夫!おやすみ、また明日ね!」

ベッドを離れようとしたら、こころがしがみ着いて離れない。

「今夜はここでお泊まりよ!」

想定内ではあるけどせめてパジャマを着て欲しかった。交渉すると、

「しょうくんも脱ぐんだよ!」

どうせ言っても聞かないかな?ホントに脱いだらビビって優位に話せるかな?パジャマの上を脱いで、下も脱ぐジェスチャー。の、つもりだったんだけど、こころは絶妙なタイミングでトランクスも剥ぎ取った。慌てて隠すと、

「あきらめてね!」

もうジタバタしても仕方が無い。そのままベッドに避難した。毛布を被って隔離しようとしたけど、気が付くと1枚の毛布の中で密着していた。幸か不幸か、身体的な反応は無いので、平静を装って寝たフリ。こころは、狙っているのか天然なのかは解らないけど、背中の神経でも何がくっついているのかしっかり解る、微妙な圧力でくっ付いていた。ドキドキはしたけど、それだけだったので、いつの間にか眠っていたようだ。そう言えば、早起きしておにぎりを沢山握って、山登って、こころを背負って降りてきたんだ、疲れていても不思議じゃないよね?こころが重くて目を覚ました。まだまだ日の出の時間には早いのに、廊下が騒がしかった。

「おはよ、皆んな入って!」

こころは全裸で抱き付いたまま、皆んなを招き入れた。

「こころだけ特別って訳じゃ無いわよね?」

彩花は謎解きの探偵が証拠を披露する瞬間の表情だった。

「某も所望致す!」

()って言うのって、このスタイル?考えても仕方がないかな?もうひと眠りを選択した。とは言え、すっかり覚醒してしまったので、正直な所はタヌキ寝入り。こころはホントに眠ったのかな?微妙な圧力で接触。余計目が覚めてしまった。

しばらくして目を覚ますと、

「やっぱり、そのままなのね?」

変化しない僕の一部を凝視して心配していた。

「おなか空かない?」

強引に話題を変えて、キッチンへ向かう。こころもベッドから抜け出して足の具合を確かめた。

「ひと晩じゃ急に治らないよね。」

近くの整形に行って、松葉杖を借りる事にした。

 朝ごはんの支度をして、早起きの雨といろはと4人で食べた。お寝坊さん達の分も勝手に食べられるようにして、おんぶで出掛ける。

 門を出た所で雨に呼び止められた。

「こころちゃん、靴!」

ダイニングからおんぶでそのまま出ちゃったので、こころの靴を忘れていた。折角杖を借りても、帰りもおんぶになる所だった。

「・・・・・・・・。」

「えっ?確信犯?」

帰りもおんぶ出来るように、靴を履かなかったそうだ。

雨は靴をもったまま一緒に来てくれた。

「やっぱりね、もしかして、お姉ちゃんの入れ知恵?」

「・・・・。」

黒幕は、芒だった。また診察を受けなければならなくて、受付で説明して、またレントゲン。

「上手に巻けてるわね、自分で?」

包帯を解きながら看護師さんが褒めてくれた。こころが僕を指差すと、

「あら、お姉さんだったのね!ナースになったら?仕事キツイけど、就活はラクよ!」

松太郎モードなのにお姉さん?雨がちょっと不機嫌そうだった。

 診察に呼ばれたら運んで、問診の通訳。なぜ直接答えないのか不思議そうなおじいちゃん先生は、昨日処方されたお薬手帳を見て、追加は要らないので、一週間後にもう1度診察。杖はその頃には要らなくなっている想定との事。一安心してこころのスピードでゆっくり家に帰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ