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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第3章
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実験

 窯の燃え残りが片付いた頃、

「しょう君、お風呂空いたよ。」

カレンに声を掛けられた。のんびりお湯に浸かっていると、

「入るわよ!」

入ってきたのは、琴音と美羽。慌てて深く沈んだけど、二人は全く気にせずに、目の前でかかり湯をして両隣に座った。

「そんな、俯かなくてもいいでしょ?初めて一緒に入る訳じゃ無いんだから!」

琴音は更に密着する。

「下ばっかり見て、そっちが気になるの?今日の入浴剤、透明だもんね!」

下を向くのは不味いと慌てて天井を見上げた。

 全く反応が無いのをふたりは確認すると、顔を見合わせて、

「まあ、予想通りだけどね。」

「逆に、反応した時どうしようかと思ったけどね、無駄な心配だったね。」

実験したら出て行くものかと思ってたけど、背中を流しあったりして、掃除まで手伝ってくれた。風呂上り、麦茶を飲んで歯磨き、ずっと3人で行動。

「今日はどこに泊まるの?」

「しょう君のとこだよ。」

まだ実験は続いていたんだ。全裸に反応しないのに、パジャマ姿に反応する訳無いと思うんだよね。文句言っても仕方が無いのでさっさとベッドに潜った。一番奥で背中を向けていると、

「しょう君、真ん中ね!」

美羽がムリヤリ奥を占拠、えっ?何も着けて無いの?慌てて背中を向けると、琴音も同じく一糸纏わぬ姿で枕元に小箱を置いた。

「必要になったら使ってね、妊娠はしたくないからね!」

驚いて、確かめると避妊具だった。まさか、その気?いやいや実験でしょ?きっと、反応したらそれまでだよね?思えばこのカラダってとてもラッキーなのかもしれない。普通に反応するようだったらこんな実験なんてあり得ないよね?どうやら今夜もおとなしいままなので、左右から押し寄せる柔らかな感触とリンスの香りを堪能してリラックスする事にした。

 翌朝、早過ぎる時間に目覚め、一応パジャマの中を確かめた。残念ながら目覚めていなかった。そっとベッドを抜け出して椅子に掛けてあった二人のパジャマを枕元に置いた。起こさないように着替えていたら、琴音が目覚めた。

「しょう君、おはよ。」

大あくびしながら起き上がった。

「パ、パジャマおいてあるよ!」

「ああ、ありがと。」

パジャマを羽織ってベッドに腰掛けた。

「今朝はどうだったの?」

「いつものまんまだよ。」

「予測通りだけと、残念ね。」

「ねえ、あんなの持って来て、いつものまんまじゃなくなったらどうするつもりだったの?」

「えっ?しょう君の理性は信頼してるからね、オス(・・)としてはどうかと思うけどね。」

「あれ、買って来たんだよね?恥ずかしいとかって感覚無いの?」

「ああ、流石にドラッグストアのレジはキツイよね!これね、空き箱!アニキの部屋で拾って来たんだ!皆んなの留守を見計らって彼女連れ込んだみたいなんだ、まだ9つ残ってたけど、箱だけ貰っといたの。中身も欲しかった?」

ニッコリ笑いながら、凄い事言うのは勘弁して欲しいな。

「ソレの事も皆んな知ってるの?」

「ううん、美羽だけだけど?」

「じゃあ、他の皆んなにはナイショだよ!」

そうしてるうちに美羽も目を覚ました。

「おはよ、琴音、おはよ、しょう君?もみじ?」

「おはよう!松太郎だよ!」

「じゃあ、着るか。」

モゾモゾとパジャマを探した。

「枕元だよ!」

「ありがとね。」

二人ともパジャマの上一枚だけで、下はパジャマどころか何も着けていない筈。

「朝ご飯の支度してくるよ。」

「まだ早く無い?」

そりゃ早いけど、その姿の君達と一緒にいるのって心臓に悪いんだよね。

「じゃあ、トイレ行って来るね。」

その間に、着替えてくれるだろう。顔を洗ったりしてちょっとのんびりと部屋に戻ると、

「おかえり!」

そのままの姿だった。

「着替えるか、せめてパジャマ穿いてよ!」

「えっ?しょう君がこれだけ(・・)くれたから、この部屋のルールなのかと思ったの。」

「マジで思った?」

「ううん、冷やかしただけ。もう穿いてるし!」

美羽はパジャマを捲って見せた。

「普通、それも見せないでしょ?」

「どの口が言うの?女子高生達と女湯で豪遊してたの誰だっけ?」

こうなると、争いにならないのは、幼い頃から姉達に叩き込まれているので、さっさと終戦にするのが正解。

「朝ごはん、何がいい?ご飯も冷凍してあるし、トーストもあるよ、あとまだ皆んな寝てるからパンケーキでも焼こうか?」

「あっ!それ食べたい!」

終戦の交渉が成立した。

 

 キッチンに降りて、先ずは生クリームをホイップ。大家族用?セミプロ用?かなり高性能な泡立て器があるので、ウィーンとホイップ。クッキング動画で有名な料理研究家さんも同じのを使ってる。

 パンケーキの生地は、市販のホットケーキミックス。パンケーキとホットケーキの違いは良く解らない。僕基準では、作った人がパンケーキだと言えばパンケーキ。

 二人にはコーヒーを頼んだ。

『趣きも味のうち』と、手回しのミルを使っていて、少し肉体労働。柔道部の猛者達が来たときには、大体千葉が担当で、空回りか心配する位に軽やかに回すんだねけど、美羽が本体を押さえ、琴音がハンドルを回していた。

「大量ね、何人分?3人には多くない?」

琴音はきっと兄妹3人分の量を把握してるんだろうな。

「多分ね、こころの鼻が目覚ましになって、こころと楓が起きて来るんだ、あと雨といろはは普通に起きる時間だからね。」

鈴木君、佐藤君がいたら、また驚くシーンかな?

 パンケーキの香りが、3階まで届いたようで、

「おはようございます。真田氏の鼻が、朝餉を告げたでござる。」

予測通り、雨といろはも起きてきて、仕上げを手伝って貰った。皆んなの食事が終わって、キッチンに戻ると、

「片付けは私・・・」

琴音と美羽が手伝ってくれると言ったけど、

「いや、これから第2波の準備だよ。雨、偵察頼んでいいかな?」

「オッケー!」

と、2、3階の廊下を一回り。

「カレン、夢愛、彩花、小雪、桐の5人かな?」

「サンキュ!想定通り!」

焼き上がりのタイミングで5人が降りてきて、第3波の支度をして、芒を起こしに行った。

「スケベ、変態!姉に夜這いなんて、最低ね!」

無理に起こさずに放置。

 キッチンに戻って、芒以外の分を仕上げ、芒の分は急速冷凍。レンジで温めると、結構焼きたて風になる。雨には、過保護だと叱られるけど、また手間をかけると思うと、この方が便利なんだよね。食事が終わって、お喋りをしていた第1波の4人が珍しい組み合わせで楓の部屋に行ったようだ。楓とこころは、うちに来てからは、徐々に他の住人とコミニュケーションを取れるようになってきてるけど、球技大会以降は、学校でも仲良くなった雰囲気じゃなかったのにね。まあ、コミュ障の改善傾向なので、素直に喜べはいいんだよね。


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