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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第3章
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男子来訪

 金曜日の放課後、鈴木君、佐藤君と一緒に家に帰った。ピザの支度をするので、ダイニングでゲームをしながら待ってもらった。鈴木君は、

「女子の家に来るのって、小1の時以来だな!」

「それ、僕に言う?」

「あっ、ゴメン!でもさ、あの有名な花田姉妹の家に来れるなんて、想像した事も無かったぜ!」

「しかも、タイプ別美少女ナンバーワンみたいのが集まってるんだから、ビックリだよね。」

お姉さんがいて、女子に免疫がある佐藤君まで、ここは特別だと言う。まあ、確かにそうかもしれないよね。

 薪に火を着けて、窯の調子を整える。上手く燃えてくれたので、今日も大丈夫。生地を捏ねて居ると、雨が帰って来た。クラスメイトに振る舞った時のお返しと言って手伝ってくれた。雨を目で追う二人のだらしない表情は、結構不快だけど、いつか彼氏を連れて来る時の練習だと思って我慢する。下拵えが終わった頃、他の住人が帰って来た。

「お、お邪魔しています。」

ガチガチの鈴木君が挨拶すると、芒は、

「なんか、クラスメイトにする挨拶っぽく無いわね!緊張してるの?」

ニッコリ笑うと鈴木君も少し落ち着いた様子だった。二人が飲んでいる紅茶を見て、

「私も!」

姉達が口を揃えた。そう言うと思って、お湯もポットも用意しておいたのでサッと出すと佐藤が反応、

「喫茶店みたいだね!それは?」

「ああ、紅茶飲んでるのみたら、美月はミルクティーって言う筈だからね、時間掛かるから作って置くんだ。」

先に楓とこころが降りて来たので、冷蔵庫から麦茶を出した。

「こっちが楓ね!」

雨に言うと、

「うん、分かってるよ!」

「雨殿も、某の好み覚えて頂いてるなんて、かたじけない。真田氏を謝辞をもうしている。」

氷無しと、ガムシロ付きを見て、佐藤君はまた驚く。

「あ、彩花、レモン切らしてるんだけど、濃縮還元のレモン汁でいい?」

「うん、サンキュ!」

レモンティーとミルクティーを雨が運ぶと、

「悪くないわね。」

美月は満足そうにカップを傾けた。

カレンにはコーヒーを出すと、

「皆んなバラバラで大変じゃない?」

「琴音と美羽もコーヒーって言う筈だから、別に大変じゃ無いよ。」


 いろはは、泊まっている感じを出さないように実家で着替えてからの登場だった。琴音と美羽も登場、カレンに出していた砂糖とミルクを出さないでいると、

「二人ともブラックなの?」

佐藤君が小声で聞いた。頷いて、丁度良く燃える薪を確かめて、ピザ屋さんゴッコをスタートさせた。

 初参加の4人には、オーソドックスなマルゲリータとシーフード、先週練習ピザを食べ続けたウチの住人には、デリバリーのチラシを真似た新作を出してみた。どれもなかなかの好評で、

「もうすぐ牡蠣の季節ね!」

「あのケーキ屋さんでやってる月替りのピザ、今月何かしら?」

なんか?ハードル上げてしまったようだ。いろんなリクエストに応えて、アドリブ的な新作を焼くと佐藤君が段々と沈んで行くように見えた。皆んなの胃袋が落ち着いて、それぞれ部屋に行って、ダイニングを僕らに解放してくれた。ほとんど、もみじといろはの女子二人部屋になっている僕らの部屋に通す訳にもいからいから気を使ってくれたようだ。

「あのゲームで花田君ばっかり、彼女出来る訳が解った気がするよ。」

ポツリポツリと佐藤君が漏らした。

「最後のピザ、切り分けた時、真田さんにマスタードの少ない所あげたでしょ?」

「うん、こころは甘党で辛いのは苦手なんだ。」

「あんなに大勢の好み覚えて、ちゃんと対応出来る性格が、ゲームにも反映してるんじゃないかな?」

「ああ、俺も似たような事、考えてたよ、あとさ、姉妹とか羨ましいって思ってたけど、思ってた感じじゃ無かったよ。ハーレムの王様ってより、良く言って執事かな?俺には無理だな。」

「えっ?『良く』じゃ無かったら?」

「召使いってとこかな?」

うーん、当たらずとも遠からず。笑って誤魔化しておこう。

 

「ただいま!」

小雪と夢愛が帰って来た。進学説明会とかで、創成の予備校に行っていた。

「おかえり!おなかは?」

「外で食べて来たよ、デザートならまだまだ入るけど!って聞かれたらおなかすいちゃったよ。」

小雪がおねだりの視線。

「アイス買って来たよね?」

夢愛がレジ袋を見せると、

「しょう君が作ったのがいい!」

いつに無く駄々を捏ねた。

「じゃあ、ちょっと待ってて。あっそうそう、同級生の鈴木君と、佐藤君。後藤小雪さんは自治委員長だったから知ってるよね?こちらは山口夢愛さん。麻幌の3年生だよ。」

「鈴木(しゅん)です。」

「ササササトウ一紀(かずのり)、デス、シッ進学説明会ッテ、エスカレーターシナインデスカ?」

ガチガチの佐藤君は、夢愛の事を雨の友達で中等部の生徒だと思い込んでいるので、『麻幌』は、耳に入らず『3年生』だけ聞こえて、来年高等部で会えるって思ったようだ。

「ああ、佐藤君、バスケの試合見に来たとき、中等部の制服着てたの覚えてたんだよね!いや、実はね・・・。」

他校の生徒が入るのは面倒な手続きがいるから、いろはのおさがり着てなりすましで入ってた事を説明すると、真っ赤だった佐藤君は、真っ青になった。

「真紀の弟君ね!お姉ちゃんとは、中等部の3年間同級生よ!」

小雪が姉繋がりで話題を振ると、何とか会話は成立したけど、姉友との居心地を鈴木君に教えるのに丁度いい機会になった。冷凍庫にアイスを入れに来た夢愛に、冷蔵庫から、タッパに入ったアンコを出して貰った。夢愛が居ると佐藤君がまた固まってしまいそうなので、キッチンのヘルプを頼んだ。

「甘さ控えめと、普通に甘いの、どっちがいい?」

佐藤君は甘いの、鈴木君は控えめ。摺りガラスの器5つ、透明なの12個に茹でて冷やした白玉にアンコを掛けて、缶詰のみかんと夢愛達のお土産のアイスをデップしてトッピング。黒蜜を垂らして出来上がり。

「今、お喋りしながらもう出来た!えっ?白玉団子って粉から作るんだ?しかも、2 、4、6・・・17人分!」

鈴木君は魔法でも見たかの様に驚いた。

「真田氏の嗅覚が、厨房へ向かえと申しておる。おお、給仕なら某が助太刀致す!」

「摺りガラスが、甘口ね!佐藤君もこっち」

夢愛が皆んなを呼びに行って、ゾロゾロと降りてきた。

楓もこころも甘党リストは把握していて、カレン、小雪、美月に配る。皆んな美味しそうに食べていた。

「夕食後の、遅い時間に、こんな高カロリーなモノ、不健康ですわ!」

摺りガラスの器を削るようにスプーンで掬いながら悪態をつく美月は幸せそうな表情は隠せていなかった。


 ワイワイと他愛もない話をして、男子二人が帰る事になった。門まで見送ると、

「なんか、別世界だったな、すんげぇ旨いモノご馳走になったけど、女子に囲まれるのって結構しんどいんだな。」

「えっ?クラスではそう思わなかったの?」

「うん、ほとんど会話も無いからね。」

鈴木君、大丈夫かな?女性不信とかになったりしないよね?

「俺んち来ても、カップラーメンとスーパーかコンビニの菓子位しか無いけど、また遊ぼうな!」

「うちは、姉ちゃんが騒いで迷惑掛けそうだから、ムリっぽいな・・・」

「そんなの気にしないで!じゃあまた来週ね!」

二人を見送って家に入った。

 

 家に入ると、久しぶりにお泊りの琴音と美羽に松太郎の異変を話していたらしい。ちょっとの間に今夜の実験が決まっている様子だった。まあ、何が起きても驚かないので?窯の片付けをしながら、お風呂の順番を待った。

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