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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第3章
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ピザ屋開店?

 試験用の山林の間伐材で作った薪をロゼさんが運んでくれた。雨はクラスでピザ窯の話をして、土日のピザ屋の話が決定したそうだ。電気のオーブンと同じ要領で作ったけど、コゲコゲになってしまった。生地の厚さを変えたり、薪の位置を変えたりしながら、毎晩ピザを焼いて、毎晩ピザを食べた。金曜まで試行錯誤をしたところ、生地を薄くして短時間で焼き上げるとまぁまぁの出来。後は、火加減をキープ出来れば問題ない筈。


 土曜日になると、代わる代わる雨のクラスメイトがやって来て、ピザを堪能していった。雨がウェイトレスを務め、本格的な窯を見た友達が驚く様子を見て喜んでいるようだった。火加減もなんとなく安定していたので、快調に提供出来た。夕方までに半分位。本日のノルマはクリア出来た。

「結構、窯に興味があるコ多かったね、文化祭で勉強したせいかな?」

女子のほとんどがキッチンをガン見していた。

「皆んな、お兄ちゃんを見てたんだよ!」

そんなのものかな?

 日曜も同じ位の人数だけど、昼の集中がちょっと厳しかった。いろはにも手伝って貰ってしっかり捌いた。夕方完了すると、柔道部の猛者達がやって来て大量のピザを消費した。うちの住人達は、6日連続で試作品のピザだったので、流石に飽きたようで、いろはが蕎麦を茹でてくれた。チーズの香りが充満していたキッチンに久しぶりに鰹節の香りが漂った。


 ピザ窯の扱いはクリアして、雨のクラスメイト達にも喜んで貰えたようでホッとしてベッドに潜った。

「しょう君、お疲れ様。」

なんかバタバタしてすっかり忘れてたけど、今週はずっと松太郎のまんまで、毎晩いろはが隣で寝ていた事を思い出し、時間差で興奮してしまった。

 もみじの時に初めていろはが泊まった事を思い出し、すっかり目が覚めて、取り敢えず寝たフリをした。いろはは大体寝付きがいい方だけど、今夜は特に早く寝息を立てていた。時計のカチカチがどんどん大きく聞こえ、自分の心臓の音なのか何の音なのか解らなくなって来た。一旦トイレに行って一息入れようかな?そう思ってベッドを出ようとすると、寝返りを打ったいろはの手足が僕に絡んだ。二の腕に感じる柔らかな膨らみは、身動きを取れなくする魔法の様に僕を硬直させた。そのまま寝たフリを続けて朝を迎えた。

 唇に柔らかい感触を覚え、いろはが目覚めた事を知った。静かにしているけど、下着を着けて、制服を着ている事は見なくても解るので、またまたドキドキが加速した。全部着た頃合いを見計らって、目を覚ます演技をした。

「おはよ、しょう君!」

「おはよう、いろは。」

思い切り寝不足でグダグダ。あんなにドキドキしたのに、パジャマの中もグダグダのままだった。


 朝ごはんの当番は、桜、カレン、こころ。1週間ピザが続いたので、完全和食。ご飯、味噌汁、納豆、アジの開き。お弁当はシャケ弁らしい。

 学校に行くと、美羽と琴音がピザの話を聞いて来た。

「そろそろ免許皆伝かと思って!」

窯を作る話を知っていたので、いつ食べられるのか待っていたそうだ。雨のクラスメイトの事も知っているので、今週末泊まりに来るらしい。

「クラスの女子を普通に家に呼ぶって凄いね!しかも泊まりだなんて!」

鈴木君が目を丸くした。

「いや、お泊りって言っても、ウチに来るんであって、僕の所に来るって訳じゃ無いからね!」

「でもドキドキしない?姉貴の友達がウチに来るとさ、結構緊張するよ。」

「それ、俺から見たら羨ましいって!」

佐藤君は、そうでもないと体験談を始めた。

「この前、姉貴が部活の、後輩って連れてきたのが、小学校の時の同級生だったんだ。」

少し赤くなっているので、好きなコ、もしくは好きだったコなんだろうな。

「いいじゃん、俺んちなんて、男しか来ないぜ。」

「いや、なんでも無い!」

佐藤君は、話を止めてしまった。

「言いかけて止めるなよ!」

一人っ子の鈴木君には、姉の友達とか、姉経由の繋がりの微妙な違和感というか、不安定性は理解出来ないだろうな。

「弟ってだけで、子供にみられる感じが嫌だよね。」

 差し障りなく、鈴木君にも理解出来そうな話をして話題を変えた。ゲームの話になり、『ハーレムライフ』のR18じゃなくなった新バージョンの話になった。僕は全くプレイしていなかったけど、二人はずっと頑張っていたそうだ。何とかデートまで漕ぎ着けた動画を保存してあり、見せて貰った。前バージョンのような過激な描写はなく、学校で見てもそう罪悪感のないシーンだった。またゲームに誘われ、新バージョンをダウンロードする様に進められたけど、楓バージョンが入っているので、普通にインストールして良いのか調べてからにしようと思って、適当に話を反らしておいた。

 席に戻るとスマホが震え、画面を覗くと、楓からのメッセージ。

『他のアプリを入れても心配無いでござる!』

放課後、ダウンロードして、鈴木君と佐藤君に友達申請を送った。そうだ、2人もピザ誘ってみよう。美羽と琴音が来る週末がいいな。ゲームの通信機能で招待すると、あっという間にオーケーの返事が帰ってきた。

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