アカウントロック
教室に行くと、今朝も鈴木君と佐藤君が先に来て待っていた。『ハーレムライフ』の年齢制限に引っ掛かってロックされたそうだ。僕はオートプレイにしておいたので気づいていなかった。一応スマホをチェックすると問題無く動いていた。進捗を確認すると、7人とも『恋人』にランクアップしていた。マニュアルプレイにして、皆んなと挨拶してオートに戻した。
「スマホで始めたの遅かったからまだ動くのかな?」
休み時間毎にチェックしたが僕のアカウントはそのままだった。落胆の2人はチャイムと共に下校して行った。
家に帰って楓にロックされた事を相談しようとしたら、お見通しだった様で詳しく教えてくれた。
『ハーレムライフ』の運営さんが、年齢チェックが甘過ぎで当局の指導が入ったそうだ。R18要素を削除したゲームにリニューアルするらしい。
「じゃあ、あのデートももうお終いだね。」
過激なデートは心臓に良くない気もするが、ちょっとだけ残念だった。
「サーバー丸ごと某のクラウドにコピーしてあるので、リンク先を変えれば今まで通りプレイ出来るでござる。ただ5テラもあるので、精査が必要でござる。」
5000ギガって事だよね?なんか未知の世界だな。
「僕のアカウントがロックされてないのってどうして?」
「ダウンロードの時、捨てアド使って年齢偽装を複雑にしたでござる。滅多な事では見破れないはずでござる!」
そういえば、ダウンロードの時、桜は色々弄っていたよね。楓は慌ただしくノートパソコンのキー叩いていた。しばらく熱中して軽く頷くと、スマホに持ち替えた。また少しして大きく頷くと、あちこちで着信音が鳴った。僕のスマホにも着信があり、楓からのメールを開いて、添付ファイルを開いた。
『ハーレムライフを更新しますか?』
『はい』とを選択すると、短くダウンロードが走り、アイコンが如何にもエロゲーだった物からマーガレット風のお花に変わり、タイトルも『with Pine』になっていた。ゲームを開くと過激なオープニングは無くなっていて、お花畑の画面で
『どなたとデートしますか?』
ハーレムライフで『愛人』まで登り詰めた7人の他、いろは、姉達、雨まで選択肢があった。
「デートに特化して他のユーザーデータを消したら、1テラに収まったでござる!」
「ちょっと、雨まで参加させないでよ!流石に不味いでしょ?」
「心配御無用!妹君はアダルトモードの規制を掛けたでござる!姉上達は如何がいたそう?」
「規制なんていらないわよ!」
桜がそう言うと、早速デートのお誘いが届いた。桜はVRゴーグルを1つ僕に渡して、自分の分もセットしていた。
南の島のビーチでふたり、夕陽を眺めていた。着ているうちに入るかどうか微妙なビキニの桜に、
「その水着、他の男が見ると思ったら焼き餅焼いちゃうな。」
「でも、そこから先はパインだけだから安心して。」
桜が接近し視界が全部肌色になった、水着の肩紐が解けて・・・・
《以下、R18相当にて描写を自粛致します。》
満天の星空に南十字星を探しながらコテージに帰った。
「動作チェック良好でござろう?次は負荷試験、いろは殿、10時半スタートでござる!」
「うん、解った!」
最近設置した、庭と庭を行来出来る扉を通って実家に帰って行った。楓は、僕のスマホを弄って、『もみじモード』に変更。全員一斉にパインとデートして不具合が無いか調べるそうだ。
もみじになって、パインとデートなんて、違和感しかないよね?取り敢えずプレイ開始。
ふたりは音楽室にいて、私はパインの膝に向き合って座っていた。制服姿だったので、アダルトモードじゃ無いのかと思ったらそうでも無さそうだ、もみじはパインの唇のを貪り、パインのベルトを外した、
「誰か来たらどうすんだよ?」
「別に私は気にしないわ!」
更にファスナーを摘むと、
「自分でするよ!」
「えーっ!お互いに脱がせ合うのがいいのに!」
パインはズボンとトランクスを降ろした。もみじは上靴だけ脱いで、
「一枚だけなんだから、お願いしていいでしょ?」
パインが頷くと、スカートに両手が入って来た。
《以下、R18相当にて描写を自粛致します。》
ドキドキが収まらないまま、パインは、もみじを自宅まで送った。
もみじ、積極的過ぎるだろ?運営にクレーム入れなきゃ。
「負荷試験もクリアでござる!」
規制が掛かっている雨はちょっと不服そうだが、リアルで挽回すると宣言していた。僕のクレームに対しては、元のゲームがそう出来ているので、手を加えるのは難しいとの回答だった。
「そんな事より『パイン』ってなんとかなりませんの?」
皆んなも同じ事を言うつもりだったようだ。
「一応、ご本人の承諾を確認するのが良いでござろう。」
楓は今までに無い強烈な視線で僕の網膜を貫いた。
「各々方ヴァージョンアップを!」
パソコンのエンターキーを叩くと皆んなのスマホにヴァージョンアップのお知らせが届いた。数秒でダウンロードが終わると、ゲームタイトルが『松太郎と一緒』に変わっていた。あと、リリース前のデートパターンがあるのそうで、
「1つ試したいでござる!」
毒を喰らえばなんとかって事で協力する。
「では、桐殿、芒殿、頼むでござる!」
プレイが開始された。
ゆったりしたソファーに座り、両隣には桐と芒。バスタオルを巻いた時の方が露出が少ないほどのドレスを着ていた。たぶんキャバクラとかってジャンルの店だろう。行ったことはもちろん無いが、ドラマのシーンとかで見る店の雰囲気だ。
「アフター約束したじゃない!」
営業後のデートをダブルブッキングしちゃったようだ。ゲームの中の僕、結構嫌なヤツだな。
「じゃあ、3人で行こっ!」
芒はそう言うと、抱き着いて来た。えっ?抱き着かれる感覚がリアルでも感じた、楓、どんな改造したんだ?
ガツン!ハグの後のキスを再現しようとした芒とゴーグル同士がぶつかってしまった。ゲームを再開させると桐も争うようにボディータッチ。お店が終わると、
「フレンチが食べたいわ!」
「お寿司よ、お寿司!」
リアルの僕だったら、食べ放題のファミレスならどっちもあるって言うと思うけど、ゲームの中の僕は、
「ルームサービスで好きな物頼むといいよ。」
3人でホテルにチェックイン、ルームサービスを頼むと、競うようにスキンシップがエスカレートして行った。折角届いたご馳走に目もくれず、バスルームでじゃれ合っていた。
「じゃあ、私が先ね!」
桐が・・・・
《以下、R18相当にて描写を自粛致します。》
ふたりに挟まれて目を覚ました。
「3Pモードは大丈夫でござるな!ただ、バリエーションが少ないのが珠にキズ。ただ、ユリモードは更に残念でござる。」
「それって、もみじモード?」
「察しが良いでござるな!試作段階だからシーンは高校の保健室だけでござる。もみじ殿同士でのプレイはご所望か?」
「イヤ、イヤ要らないから!」




