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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第3章
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松太郎の憂鬱

 私が先に寝落ちしたのかな?気が付くとカーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。先に起きていたこころは、既に制服姿で私の左手を突いた。寝ぼけ眼で左手を見ると、昨夜握らされた物をそのまま握り締めていた。

「あっゴメン、返すね!」

こころは受け取ると、そのまま穿いていた。

「おはよう、こころ!」

『・・・・・・・・・』

唇を読むと、多分『おはようございます』だよね?昨夜あんなにお喋りしたのにリセットしちゃった?

 洗面所経由でキッチンに行くと、美月、彩花、楓が朝当番。朝食とお弁当を作っていた。

『・・・・・・・・・・』

こころが耳打ちすると、

「昨晩は楽しかったと、真田氏が謝辞を申しておる。」

「昨夜は沢山お喋りしたのに、元戻っちゃったの?」

『・・・・・・・・・・』

「もみじ殿、お耳を拝借!」

少し屈んで、耳の高さを楓に合せようとすると、いきなり視界が楓の顔で埋め尽くされた。こころのアドバイスを実行に移したんだね。デートの時は、騙し討ちしたし、こころには、結局好き放題にさせたので、拒む訳にもいかないので、舌の侵入も許して楓の気が済むまで付き合った。

「真田氏は、昨晩と同じ姿なら喋る事が叶うと申しておる。」

ブラウスのボタン、3つ目を外しかけていたこころを慌てて制止、

「いや、通訳アリでいいから!」

美月と彩花も事情を把握しているようで、クスクス笑っていた。部屋に帰ると、いろはが松太郎の着替えを用意してくれていた。急いで変身、じゃ無くて、松太郎に戻った。リビングを繋げて大きくなったダイニングに行くと、お寝坊さんの、芒以外は朝食を済ませ部屋に戻ってお出掛け前のおめかしチェックでもしているのだろう。

「ねえ芒、こころって芒の部屋にお泊まりの時も全裸なの?」

「ショタ、いつからそこまでヘンタイになったの?クラスメイトの女の子のそんな事聞くなんて、姉として情けないわ!」

確かに言ってる事は間違いないんだけど、ちょっと腑に落ちないな。不満オーラを出していると、登校準備完了の楓とこころが寄ってきた。

「真田氏は、芒殿は付き合って脱いでくれたが、もみじ殿はそのままだったと嘆いておるぞ!」

一緒に全裸でベッドにいる妄想をしてしまい、トランクスの中の松太郎が反応?すると思ったけど、大丈夫だった。

 大丈夫って言って大丈夫?朝起きた時の生理現象も最近はしていないよね?お風呂でドキドキした時も、皆んなのサイズ公表した時も反応しなかったんだよね?いつからかな?美月が住み着いて、一緒にお風呂入った時?雨が『お兄ちゃん』って背中流してくれた時?どっちが最近なのか忘れちゃったけど、学校祭はよりは前だよね?軽く1か月は松太郎じっとしてるんだよね?落ち着いて考えると不安になって来た。ウチで誰かに相談出来る筈はないし、千葉に相談ってのも躊躇っちゃうよね。また抜け駆けデートって言われそうだしね。

 取り敢えず学校に行って、普通に過ごす。帰宅後もみじになった時、いつもは、反応しちゃいけないって思っているところを、気にしないでいる事にしてみた。そうしょっちゅうドキドキ事件がある訳でも無いので、実験出来ずにいると、

「今日は、テニス部の先輩に貰った入浴剤入れて見たから、一緒に入ろうね!」

彩花に誘われた。

「付き合って上げてもよろしくってよ、仕方が無いわね!」

美月も入るそうだ。

 3人で脱衣室。脱ぐ所って、ハダカよりもえっちな気がするけど、二人ともなんの躊躇いも無く脱ぐせいか、全く反応していない。私もササッと脱いで、二人と同じようにノーガードで浴室に入った。視線は全く遠慮なく見える物を遠慮無く見ていた。同じように、彩花も遠慮なく観察して、どうしても松太郎でいる部分を指摘、

「ねえ、私達それなりの美少女なんだけど全く反応無いのね?」

美月は、

「本当ね、密着して見ましょうか?」

お湯の中でくっついて来た。彩花の持ってきた入浴剤は透明だったので、お湯に浸かっても、状況は解る。彩花も反対側に密着してきた。二の腕には二人の膨らみを感じていたが、やっぱり反応は無かった。

「実はここんとこ、こんな感じなんだよね。もみじでいる時は便利だから、これはこれで楽なんだけどね。」

「いろはは知ってるのかしら?」

「いや、反応した時も隠してたからね。」

「ちょっと会議が必要ね!」

そう言って彩花が勢いよく上がって行った。二人になると、美月が緊張し始めた、そう言えば、あのドキドキが伝わって反応したんだったよね。また、そうなるのかな?ちょっと期待?でもそのまま。まあ、今々困る事も(残念な

がら?)無いので、お風呂掃除に取り掛かった。しっかり洗ってから上がると脱衣室には、松太郎の下着とパジャマが置いてあった。不思議に思いながらも松太郎に戻った。美月は先に上がっていたので、取り敢えずは問題無かったけど、一緒に上がった場合は、どうだったんだろうな?そんなシチュエーションを想像すれば、トランクスの中の松太郎も反応しそうだけど、やっぱりそのままだった。


 松太郎になってダイニングに行くと、皆んな勢揃い。しかもさっきは風呂上がりでパジャマだったのに、部屋着に着替えていた。

「じゃあ、それで!」

桜の一声は、閉会の合図のようだった。

「しょうくん、おやすみ!」

バタバタと部屋に引き揚げて行った。残ったのは、いろはと雨。

「2時間だよ、12時半になったら雨の部屋に来るんだからね!」

雨が部屋に帰ると、いろはと2人になった。

「私達も、お部屋に行きましょうね。」

しっかりと腕にしがみつくと、柔らかな感覚が二の腕から伝わって来た。

 ベッドに入ると、いろはは、パジャマに着換えながら、家族(・・)会議の報告をしてくれた。

「もみじでいる時間が長過ぎたのと、松太郎の欲求を我慢し過ぎじゃないかって推測でね、しばらくは、しょう君で居てもらう事になったの。それで、お泊まりもそのままって事になりそうだったんだけど、雨ちゃんが拒否権を発動してね、」

「ウチの会議って国連みたいなルールなの?」

「ううん、よく解らないけど雨ちゃんがそう言ってね、『もみじ姉ちゃんがお友達とお泊まりはOKだけど、お兄ちゃんが女の子とお泊まりはNG』なんだって。それで特別に2時間だけ、自由時間貰える事になったの。」

2時間って、某所(○ブボ)休憩(・・)みたいで、妙に意識しちゃって、ドキドキが加速してきた。もちろん、某所で営む事ができる訳無いのは、拒否権云々以前の話だけどね。そんな事を考えると、パジャマの中の松太郎が暴れ出しそうなものなのに、相変わらず反応していなかった。他愛の無いお喋りで2時間消費してしまった。ここでの朗報は、クラスの他の男子2人が僕と仲良くしたいそうだ。いろはの席の隣と後なので、そんな話をしていたらしい。席替えで、近くになれなくってヤキモチ焼いていた自分が恥ずかしくなった。

 時間になって、雨の部屋に移動。雨は既に眠っているようなので、そっと隣に、潜り込んだ。タヌキ寝入りかな?キツめのクリンチのまま、朝を迎えた。目を覚ますと雨は、制服に着替えていた。「おはよ、お兄ちゃん!早くしないと遅刻だよ!」

時計を見て驚いたけど、朝当番制度が出来たので、まだ少し余裕がある位。一応確かめると、パジャマの中の松太郎はお寝坊さんのままだった。

ゴールデンウィーク如何お過ごしでしたか?

暇つぶしのお役に立てたでしょうか?

また、8日から毎週金曜の投稿に戻ります。又またよろしくお願い申し上げます。

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