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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第3章
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魔法の秘密?

 3連休最終日は、引越しの片付け。越して来た4人の部屋のヘルプと、物置き部屋の整理。かなり減らしてはあったけど、4つの資料部屋から纏めたダンボールで物置部屋はパンパンで資料の取り出しにも苦労しそうだった。作業部屋の空きスペースに棚を入れて、当面入力する資料を並べ、残りを色分けして積み上げた。作業部屋の棚が空いたら物置き部屋から持って来る様にして、収納と効率を確保した。

 午前中でだいたい落ち着くと、車が到着。ロゼさんのワンボックスでは無く、トラックのようだった。でも、助手席から降りてきたのは、やっぱりロゼさんで、会社で使っていた事務机のお下がりを運んで来てくれた。会社は、今風のオシャレな机になって、今迄使っていたクリーム色のスチール製のが、我が家にやって来た。姉弟妹とカレンの部屋では、その前に使っていたグレーのスチール机を使っていたけど、これを機に新しくしてもらえた。と言っても、バリバリの昭和から、やっと平成って程度のリニューアルだけどね。新しい住人が増えるって母さんに言った時から決まっていた計画なので、古い机は空っぽにしてあった。業者さんがサクサク運んて入替え完了。聞いて無くって困ったのが、僕の部屋に運び込まれたのが社長(かあさん)が使っていた、両袖机で少し模様替えが必要になった。いろはの分と2台と言う考えもあったそうだけど、スペース的に考えて、これを選んだそうだ。

 グレーの古机と一緒に、持って行って貰えたのは、キッチンを半分近く埋めていたスチールロッカー。今迄使っていた机と同じ、昭和レトロ。お婆ちゃんが勿体無いと言って取っておいたんだけど、全く使っていなかった。広くなったキッチンに雨に手を引かれてやって来た。

「お婆ちゃんに頼んだの!」

ニコニコの雨が、学校祭の時に集めた煉瓦の資料を持ってきた。『耐火煉瓦で作るピザ窯』ざっと見を通すと、ロッカーを撤去したスペースに作れそうだった。

「お兄ちゃんのピザ、今のも美味しいけど、本物の窯で焼いたら、もっと美味しいんじゃないかな?」

雨の頼みなら、首の振る向きは、縦の1択だよね!

「よし!作ろう!」

そう答えた瞬間、姉達が入って来て、

「予算はこれだけね!」

えっ?足りるかな?相場が解らないのでかなり不安だったけど、学校祭の取材で雨が行った工場で処分品を安く分けて貰えるそうだ。トラックも会社のを母さんが運転してくれる約束になっていて、積み下ろしのチカラ仕事は猛者達にアポ済みとの事。完璧な既定路線だったんだね。姉達に命令されるより、雨に頼まれた方がモチベーション上がるから、気分良く仕事させようって配慮かもね。『北風(あね)太陽(いもうと)』かな?『()と鞭』かな?

 ストーブを使っていた時の煙突を使うから、場所は決まっちゃう。資料を見ながら必要な部材を考えた。焼き上がったピザに舌鼓を打つ皆んなの姿を想像してワクワクしてきた。今日の所は、出来る事はほとんど無いので、雨が貸してくれた資料で勉強して来週に備えよう。


 部屋に帰ると、爆睡のもみじがいるはずなんだけど、ベッドは空っぽ。金貨の魔力もう使い切ったのかな?

「ねえ、これ見て!」

いろはが見せて来たのは、楓とデートに出掛ける前に撮った画像。ピタピタのショーパンの中に、明らかに松太郎が居て、詰め物無しのブラはぺしゃんこだった。

「魔法で変身してたんじゃなくて、催眠術だったんじゃない?」

もし、そうだとするとスーパー銭湯で皆んなと遊んだ時って、松太郎のまんまだったんだよね?浴室や脱衣場には監視カメラとか無いだろうから、松太郎の姿でも問題無いのかな?楓と出掛けた時も感じた視線はもみじ宛だったのは間違いないな。あの時はアチコチで防犯カメラに撮られているだろうな。

「同じコーデにして見て!」

いろはの言う通り着替えると、

「大丈夫!極端なローアングルとかじゃなかったら違和感ないよ!」

鏡の中の僕、いや私は、いろはが太鼓判を押す女の子(・・・)だった。トランクスより短いギリギリのショーパンから伸びる脚は、自分で見てもかなりの美脚だし、こんなにピタピタなのに、中身の松太郎(・・・)がさほど窮屈していないってどうなんだろう?前からこうだったかな?いや、(不本意ながら)オカマ探偵と言われて女装デートの時、桐といろはオススメコーデを選んだ時、レディースのパンツは股間の関係でパスしたんだったよね?変身(したと思った)後は、女装の時穿けなかったから、コレ選んだっけ?まあ騒ぎにはならないだろうから、気にしないでおこう。

「皆んなのスマホの画像も消して貰おうね。」

いろはは頷いていた。

 夕食の時、各自の片付け進捗を報告しあい、明日からの学校に支障の無いことを確認。それから、金貨の魔法の話をした。皆んな納得して画像消去してくれたけど、楓は、

「某、初デートの記念。消すのは辛いでござる。」

スマホを操作する指は震え、目に涙を浮かべていた。

「・・・・・・。」

こころが耳打ちすると、

「なる程、その手があったでござる!」

画像に残してもいいツーショの撮り直しで納得。

「これから着替えるのであったら、松太郎殿の姿では如何であろう?」

遠慮がちな楓の提案は、

「それは、駄目!」

雨のシャットアウトに合っていた。

大笑いしながら、結局皆んなとツーショって事になり、都度着せ替えさせられて撮影。いろはとは中等部、雨とは高等部の制服でパシャリ。最後の雨と撮り終えるともう日付が変わっていた。

「あら?私達まだよ!」

えっ?姉ちゃん達も?意外とご機嫌な姉達は、姉弟妹でお揃いにしたワンピで登場。当然お揃いに着替えて、色違いのカチューシャで4ツ子コーデ。撮影会が終わると皆んなそれぞれ待ち受けに設定していた。妙にテンションの高い雨は、こっそり自分のスマホを見せてくれた。

「私だけ、お兄ちゃんだよ!」

夢愛ママに姉妹だと思われたり、元同級生にナンパされそうになった時のだよね?一応、松太郎として撮った画像だからね。うん、兄としてちょっと、いや!かなり嬉しいな。皆んながスマホを見せ合って盛り上がる中、地味に喜びを噛み締めていた。


「もう遅いから、大富豪は止めて、カード引いて一発で決めるよ!」

AからKの13枚からそれぞれ引いて、Aを引いた人が私の部屋にお泊まり。私かいろはがAを引いたら全員自分の部屋だけど、逆に私かいろはがKを引いちゃったら、私がAを引いた人の部屋にお泊まりする。今日は12人なので、Aを引く人がいなかったらやり直し。桜が考えていたルールだった。ただカードを引くだけで結構盛り上がっていた。

 さて、カードオープン。先ずは残った1枚は9だった。私から開いて、7。取り敢えず、自分の部屋かな?次はいろは、Kだった。順番に開いて行ってAを引いていたのは、こころだった。

耳打ちを通訳する楓は、

「権利を某に譲ると申しているでござる!」

「そんな事、言ってないもん!」

こころの大声を初めて聞いた。

「す、済まぬ、冗談でござる!真田氏はたいそう喜んでおられる!」

 こころの部屋にお泊まりって事になったけど、会話出来ないんだよね。まあ、眠ってしまえば会話しないんだから大丈夫かな?歯を磨いて、こころの部屋をノックすると、返事の代わりに即、ドアが開いた。こころは無言で手を引いてベッドに入った。隣で何かゴソゴソしていると思ったら、椅子にパジャマを放り投げた。覆い被さって来て手に小さな布を握らされた。ハンカチかな?もう少し小さいかな?ん?人肌?えっ下着?ぬ、脱いだの?動揺していると、こころの舌の侵入を許しているのに気が付いた。

「あたし、何か着けてると眠れないの。」

ひと言言って直ぐに唇に吸い付いてきた。左手に握った布をどうしていいか解らないまま、こころの思うがままに口の中を開放していた。気が済んだのか、こころの唇は私の唇から離れ、耳元に移動した。

「ファーストキス、ご馳走様でした!」

小学校でイジメに合っていた事や、特に男子のイジメが嫌だったので女子中を選んだとか、初めて出来た友達が楓で、意地悪されなかったのは、ソフトボールのメンバーとあと数人位だった事を打ち明けられた。好きな食べ物や、音楽の話、好きな男子の話、

「松太郎くんにはナイショだよ!」

一応頷いて置いた。

「楓のフェイクキスは可哀そうだよ、ちゃんとしてあげてね!って言うか、待ってたらダメって言ったら、『真剣に取り組むでござる』って言ってたから、ちょっと隙きを見せてあげてね!」

何となく、芒に言い包められるような感じで、楓とのキスが約束事項のようになってしまっていた。

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