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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第3章
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球技大会・合宿?

 ドームからの脱出の時、テニス部の彩花、帰宅部のこころ、楓と一緒だった。もみじ(・・・)は従妹と言う設定にしてある。

「ねえ松太郎君(・・・・)!」

タクシーの助手席から振り返った彩花の不意討ちだったが、一応そんな事も想定しておいたので、

「しょう君なら、おばあちゃんのお手伝いで種苗会社に行ってるよ!」

多分、平気な顔で受け流した(筈)。

「何だ、ホントに従妹ちゃんか、表彰式の桃姫と同一人物に思えちゃって、実は松太郎君が女装してるんじゃないかって疑ってたんだ!」

「では、田辺殿は、もみじ殿が女装男子と疑っているにも関わらず、一緒に着替えていたのでござるか?」

武士口調で楓が尋ねる。

「うん、下着姿を見て動揺しないかチェックしてみたの。全く反応無くってショックだったな。」

「もし松太郎殿であったとしても、姉上達の立派なモノに慣れておられるだろうから、乱心したりは・・・」

落胆の様子で自分の膨らみを再確認する彩花を見た楓は、

「しし、失礼した、(それがし)の貧乳から見ると、田辺殿、充分羨ましい成長ぶりでござる!」

ほぼフラットな胸を突き出してフォローすると、運転手さんまで大笑い。

 彩花の追求は収まって、地下鉄駅で降りた。さっき彩花が言ってた表彰式って、学校祭の部活対抗仮装のど自慢だよね?黒人ハーフの仮装で顔を塗って、編込みにドレッドのエクステだったから、全然気が付かなかったな。でも下着姿を晒してまで、松太郎なのか調べようとするなんて、大胆なんだな。気を付けなきゃならないね。

 地下鉄は空いていて、4人で並んで座った。1番向こう側のこころが、楓に耳打ちした。

「田辺殿、もし更衣室でもみじ殿が、松太郎殿の女装だったなら、如何に?と、真田氏が申しておる。」

「そうね、覗きの現行犯逮捕ね!口止め料としてカレシになって貰おうと思ってたのよね!」

「田辺殿()松太郎殿に懸想(けそう)されておったか!」

懸想ってなに?文脈から考えると好き(・・)って事かな?

「レズをカミングアウトしていた美月が惚れる男ってどんな人か、気になってたのよね。私もあんなのはキモいし!」

スポーツジムの中吊り広告に写ったシックスパックを指さした。

「ところで牧野さん、()って言ったでしょ?」

モジモジした楓は、

「某、筋金入りのコミュ症ゆえ、中等部入学以来、真田氏以外とお喋りしたのは今日がほぼ初めてでござる。松太郎殿は、そんな某も、他のおなご同様に接してくれたので、何か特別な殿方と思ってしまっている。懸想などたいそれた事など考えてはおりませぬ。」

こころは、また楓の耳に近寄った。

「そ、そんな事、口が裂けても!」

楓があたふたすると、

「あなたの言葉じゃなく、真田さん、なんて言ったの?」

彩花の指摘に、耳まで赤くなった楓は、

「真田氏は『結局、好きなんでしょ?』と、申しておる。」

どう見ても、『その通りでござる。』って雰囲気の楓は追い込まず、明日の練習試合の事に話を振ってみた。


 脱出の2班は、いろは、美月、美羽、琴音。先に着いて寛いでいた。

「小学校で一緒に野球してたコが麻幌にいて、ソフトボールの練習試合頼んで見たら、あっさりOKだったのよ!」

野球経験者の美羽と琴音は、練習試合の話を纏めてくれていた。

「じゃあ、久しぶりに一緒にプレイ出来るんだね!」

いろはが言うと、

「そのコって2コ上で、野球も上手かったけど、柔道がもっと上手くて、6年の時、柔道部に引き抜かれちゃったんだよね。だからあんまり一緒じゃ無かったし、明日も出ないんじゃないかな?」

琴音が残念そうに言うと、いろはは、スマホの画像を拡大して、

「柔道部に引き抜かれてのってこのコ?」

夢愛の画像を見た二人は、

「そう!ゆったん!お知り合い?」

夢愛(ゆったん)の話は、あとからのお楽しみと言うことにして、練習試合の経緯を話して貰った。夢愛の学校のソフトボール部は、それ程の強豪ではないが、『公立最強』の二つ名を持っている。弱小野球部にグランド使用権争いに勝利しているので、私達を練習に招いてくれたそうだ。どうやら夢愛が骨を折ってくれたようだ。

「ただいま!」

玄関で夢愛の声。住人じゃないので、正しい挨拶じゃないけれど、自分で鍵を開けて入って来たので、『ただいま』でいいのかな?

「ゆったん、お久しぶりです!お変わりなく、お元気そうですね!」

懐かしそうな美羽と琴音、ちょっとクールな夢愛は、

「お変わりなくって、小学生に見えるって事?」

相手が山岸さんなら、鳩尾に重たいのが一発入っていた筈だ。鳩尾の代りに、

「君達は、お変わりあって良かったわね!」

夢愛は、高校生らしく成長した二人の膨らみを揉んで挨拶代わりにしていた。女子同士のこういう戯れ合うのも、見慣れて来たけどちょっとハードだった。なんとか琴音が躱すと、

「逃げたな!Bカップ!Cカップは逃がさないぞ!」

既に身動きとれなくなった美羽は、両方の膨らみを夢愛に支配されていた。諦めの表情が妙にえっちに見えてしまった。

「いい加減に解放してあげてね!」

私が助け舟を出して取りあえず収まった。美羽のサイズはいろはと同じ位だから、夢愛の判定は正解だね。彩花は、琴音位のサイズなのできっとBだね。ん、クラスメイトのサイズを想像するなんて、スカートの中の松太郎(・・・)が暴れだすんじゃないか?なんて心配したけど、以外と変化無し。ほっとしたけど、松太郎(オトコ)としては問題だよね?まあ、今は気にしないでおこう。

 その後もサイズの話で持ち切り、夢愛が全員を触診して発表、全て正解だった。意外だったのが猫背で気づかなかった、こころがDカッブ。自己申告のBと差異があったが、下着のサイズが合っていないと指摘されていた。因みに楓は、判定外。

「いくらPでも、女子高生なんだから、何か着けなきゃダメよ!ジュニア用とかね。」

「Pとは何でござる?」

「ぺったんこ!私も変わらないけど、ほら!」

夢愛は着ていたパーカーを捲くって解説した。早速、買い物に出掛ける事になった。

「某、祖父と二人暮しゆえ、このような事に疎いもので、ご指南感謝いたす。真田氏もサイズが合った物を所望しているが、同行しても良いでござるか?」

3人で出掛けて行った。


 皆んなお泊まりの予定だったようで、桜と美羽、桐と琴音、芒と彩花、雨と夢愛のペアが決まっていた。私達、もみじいろはペアは、松太郎(じぶん)の部屋と思っていたけれど、

「あなた達、彩花さんに疑われている認識無いのですか?」

確かに、美月の言うとおり。もみじは実家に帰り、私は美月とのペア。少々身の危険を感じるけど、時代劇で言葉を覚えた楓とアニメで覚えたカレンが意気投合。カレン楓ペアと持参の寝袋のこころがカレンの部屋に落ち着いていたので、選択の余地は無かった。

 雨が作ってくれたカレーが晩ごはん、流石に14人は多過ぎて、一部リビングに移動してなんとかスペース確保。食事カレー終ると楓が、

「一宿一飯の恩、助太刀致す!」

食器の片付けと朝ごはんとお弁当の支度を手伝ってくれた。無言で手伝っていたこころが、初めて声を出した。

「朝ごはんと、お昼のお弁当の支度してるんだから、一宿三飯よ!」

ピンと伸ばした背筋、ニッコリ笑った顔、声だけじゃなく、『はじめまして』みたいだった。

「もみじ姉ちゃん、お風呂空いたよ!」

のんびりお湯に浸かっていると、扉が開く音。雨が背中を流して、お風呂掃除手伝ってくれるつもりなんだろうな。って思っていたら、入って来たのは彩花だった。アスリートらしく引き締まったカラダは、普段の部活は半袖短パンらしく、紫外線を遮っていた部分は真っ白でスラリと伸びた手脚は、こんがり褐色だった。緑の入浴剤のお陰で見えなくなっている部分が、反応・・・していなかった?彩花はかかり湯をして隣に浸かって、

「ゴメン、まだ疑ってたんだ。こんなに立派なのに、男の子な訳無いよね!Dカップでしょ?」

そう言ったかと思うと彩花の右手は、緑のお湯に沈んで、男女の決定的な違いを確かめた。

「うん、間違えない。もみじちゃんね!」

すっかり『従妹のもみじ』と認識した彩花は、

「松太郎君ってやっぱり、いろはちゃんと付き合ってるのよね?」

即答したかったけど、ちょっと間が必要な気がした。返事を待たずに、

「3年間女の子ばかりだった所に、松太郎君が現れて、恋愛感情なのか確かめている間に、いろはちゃんの存在知って、美月には先越されて、表彰式ではクラスメイトだって事気付かれていなかったみたいだし、諦める前のひと勝負って感じでお姉さん達のチームに入ったんだ。じゃあ、お掃除しよっか!」

お風呂を洗って、それぞれの部屋に入った。


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