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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第3章
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スイーツツアー

 中間試験を無事乗り切って、体育の日の3連休に、カレンご所望の聖地巡礼をメインにスイーツツアーを計画。巡礼の場所やお目当てスイーツはしっかりチェック済み。ロゼさんの実家にお世話になるので、ホテルの予約は必要ナシ、往復のJRと、工場見学の予約はしっかり済ませてある。

「夏服じゃあ寒くない?」

寒いかどうかよりも、あのコスプレセーラー服を回避したかった。

「冬服わざわざ探すと、定価じゃない?たまたま見つけたから安く買えたんだよ!」

冬の制服を提案してるんじゃ無く、私服にして、松太郎(メンズ服)で行きたいんだよね。桜は、解っていてズレた回答をして来た。

「これ、良さそう!安心価格だし!」

ファストファッションのお店のチラシを持って、芒が現れた。

既に、『夏服にカーディガン』は決定事項のようだ。議題は何色にするかに変わっていた。

「やっぱり紺かな?制服らしいよね?」

と、いろは。

「制服らしさで言えば、あと、黒、グレー、ベージュかな?」

美月が選択肢を増やして会議が延びそうだ。

「いっそ、ピンクとか普段は校則に引っ掛かる色はどうかしら?」

委員長、いや自治委員長の任期を終えたんで小雪って呼ぶんだったね、小雪は今までじゃ言わないような意見で更にややこしくなった。皆んな楽しそうだった。決めようとしてるんじゃ無く、一緒に考える事を楽しんでいるように見えた。散々コネ繰回して、

「試着して決めよう!全員同じ色って事でいいよね?」

最初っからそれが良かったな。

夢愛の家の近くにお店があるので、送って行きながら見に行く。姉達に急かされ、慌ててセーラー服に着替えてきたら、夢愛は自分の制服、他の皆んなは、私服のままだった。

「10人で着替えたらお店に迷惑でしょ?もみじが代表で試着して、皆んなの分選ぶんだから、責任重大ね!」

ゾロゾロとお店に入ると、予想通りに着せ替え人形になった。言われるがままに着替え、さっき家で会議をしていた事をリピートするかのように盛り上がり、散々着替えて結局、紺に決まった。

夢愛を自宅に送り、またゾロゾロ家に帰る。雨と二人の時は、松太郎でいた筈なのにナンパ未遂にあった所なのでちょっと気になったが、大人数だったので、あからさまな視線は感じたが、声を掛けられる事なく通過出来た。

Mサイズの在庫が足りなかったので、明後日また来ることになっている。急げば明るいうちに往復出来るかな?


 いよいよツアー当日。うちの5人姉妹と、いろは、カレン、夢愛、美月、小雪とロゼさん。

 柔道部の斉藤さんと千葉は、次の大会に向けて追い込み中。引退した山岸さんは二人の練習相手。色々工夫はしていても、3人は群を抜いて強いので、他の部員じゃ相手にならないらしい。階級も山岸さんが、真ん中なので都合がいいそうだ。夢愛は女子の後輩がいないのでスッパリ引退できたらしい。新創成迄バスで行って、JRの特急に乗り継ぐ。目的の街は、東部の中心的な街で、農業、酪農が盛ん、ケーキの材料が何でも地元で調達出来る。大手のお菓子屋さんの本拠地だったり、街のケーキ屋さんが充実している事でも有名。そういう街なので、農業高校マンガの舞台になったんだろうね。

 ロゼさんの実家は、農産物の加工工場を営んでいて、ロゼさんのお兄さんが工員さんの送迎に使うマイクロバスで迎えに来てくれた。

『尾瀬食品』ロゼさんの本名ってオゼさんだったの?音から付いたあだ名だったとしても納得だよね!


 スイーツツアーのトップバッターは『バナナ饅頭』この町のロングセラー。お土産用の箱に入ったのじやなく、ビニール袋に詰まっていた。

「ゴメン、インターハイで活躍した柔道部の猛者達が、来るって聞いていたから、質より量かと思って!女の子ばかりなら、ちゃんとオシャレに用意しておけば良かったね。」

ロゼ兄さんは、全員女子だと思って疑わない。

 本丸の学校は明日のお楽しみにして、競馬場、神社、河川敷から見える大きな吊橋等、グルっと見せてくれた。ロゼ兄さん、もしかしてアニメヲタク?残念ながら、そうではなく別の巡礼者を何度か案内しているそうだ。30キロも離れているのに、実家をゴリ押ししたロゼさんの作戦が理解出来た。

 競馬場では、画面に合わせた写真を撮りまくり、マスコットキャラクターのお馬さんとも写真を撮った。神社では、作中と同じ、馬の形に、くり抜いた絵馬を買った。願い事は、皆んなでギシギシに詰めて書いて、1頭?1枚?持ち帰った。大きな吊橋は、巡礼と関係無くても見応えがあった。ポイントを駆け足で周り、尾瀬食品に戻った。

 新鮮な牛乳から作る、乳製品が特に有名だけど、肉牛も美味しいのがあるそうで、帰ったらバーベキューの支度をしてくれていた。ロゼパパもロゼママも歓迎してくれて、ワインが飲めないのを残念がり、成人したら絶対にまた来ると約束した。地元の和牛と、新鮮野菜のバーベキューで満腹になり、会議室に泊めて貰う。大地震でのブラックアウト、大停電を機に、避難所機能を作ったそうで、真冬の吹雪の時に、従業員が泊まったりするそうだ。マックスの10人泊まるのは今回が初めてとの事。ニュース等で見る避難所と比べるとかなり快適だと思う。友達の家に無理矢理泊まるよりも環境いいんじゃないかな?本当の災害時には定員以上泊まって、こんな環境は保てないと思うけど、皆んながこんな準備をすると、安心な社会になりそうだな。


 後で聞いた、ロゼ兄妹の話。

「ねえ、アニキ!とんでもない美少女軍団でしょ?」

「ああ、話に聞いていたのは、社長さんとこのお嬢ちゃんだけだったから驚いたよ、アイドルグループのロケみたいだっな!」

「アニキは、どのコがタイプ?」

「バ、バカ言うなよ!あの位の娘がいる同級生結構居るし、来年小学校の孫がいるヤツだっているんだぞ!」

「そりゃツワモノだね!」

「ああ、18でシングルマザー、その娘が、16でシングルマザーで孫娘が今5歳。」

「特殊な例は置いといて、折角だから教えてよ!お姉ちゃんだったら恋バナとか出来たのに、お兄ちゃんだったから、こんな話したこと無かったでしょ?たまには付き合ってよ!」

「う、うん、そうだな。まあ、中学生の3人はスルーって事で・・・」

「中学生は雨ちゃんだけよ!」

「じゃあ、お人形さんみたいなフワフワと男の子みたいなクリクリって小学生?」

「二人とも高校生だよ、しかも高3!フワフワは生徒会の役員で、クリクリは柔道のインターハイ選手だよ!」

「ツンツンは苦手かな?」

美月の事だろう。

「外人の友達いないし、もちろん付き合ったこともないから、捨てがたいけど、黒髪の優しそうなコか、四つ子の中で、皆んなの世話焼きしてるもみじちゃんがいいかな?容姿で行くと四つ子がパーフェクトだけどね。」

「黒髪ロングは、いろはちゃんだよ世話焼き係のもみじちゃんで決勝戦!さて、優勝は!?」

「うん、もみじちゃんだね!」

「了解しました!アニキのお嫁さんになって貰うよう頼んでおきます!」

「おおお、おい!」

「冗談よ!フフフ?お風呂で背中流して貰う位は頼んで置くよ!」

「オイオイ、俺を犯罪者にするつもりかよ!」

ロゼさんはニヤリとして、好きなロゼワインが空いたのでお開きになったそうだ。


 翌朝、ゴム長靴、白のハイソックス、エンジのジャージが支給された。

「もしかしたら、敷地内に入れるかもね!」

カレンが気付き、作中の女子の着こなしを解説してくれた。制服の下にジャージを穿いて、膝上までロールアップ。ハイソックスとゴム長靴で、コスプレ完成かと思ったら、生徒さん達の学業の邪魔になると、学校は非公開になっているそうだ。今回は偶然の産物でコスプレセーラー服と紺のカーディガンが、本物の農業高校のスタイルに酷似しているので、警備員さんの目を、眩ませ変装侵入を試みる。

 ロゼ兄妹は、マイクロバスで待機、校門に行くと、警備員さんが立っていて、通過する生徒をチェックしていた。ダメ元で通過すると、全くのスルー。制服で判断しているようだ。本物の生徒や先生に遭遇しては面倒なので、お目当てのポイントを駆け足で巡った。幸い、ニセモノと発覚する前にノルマはクリア、巡礼の楽しみに、加え罪悪感のドキドキで、一層の達成感を味わった。ここの学校にも留学生っているのかな?カレンがスルーだからきっといるんだよね?最後に校門で警備員さんにシャッターをお願いして全員で写って完成。


 ランチは、工場見学にセットされているので、郊外のお城のような工場に向かった。生クリームやチョコレートの甘い香りや、クッキーが焼き上がった香りかな?香ばしい空気が臭覚経由で胃袋を刺激した。見学ルートの終点でスイーツビュッへ付きのランチタイム。夢愛と小雪は、ここが一番のお目当てだったので活き活きとフロアを駆け回った。

「うーん、肩甲骨のウラまでケーキが詰まってるよ!」

小雪の胃袋がどうなっているのか不思議な事を言って、リタイヤ宣言。夢愛は、

「今日は、栄養バランスとか気にしなかっよ!」

他の皆んなも満足な様子だった。


 

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