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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第3章
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女子力

お風呂の用意をしてリビングに行くと、夢愛が珍しく、スマホとにらめっこ。

「何か困った事でもあったの?」

側に寄ると慌ててスマホのケースを閉じた。

「あっゴメン、別に覗いたりしないから安心して!」

怒らしちゃっのかな?スマホをいじる様子はなかった。お茶でもっ言うのも、ドリンクバーの後だし、ましてやお風呂に誘う訳にもいかないので、気不味い雰囲気を噛み締めた。

「夢愛ちゃん!見つけたよ!でもあんまりいい事は書いてなかったよ。もみじねえも見る?」

真っ赤になった夢愛だか、雨の様子からは、赤面する内容を調べていたようには思えない。

「えっな人が速く伸びるのは迷信みたいだね。」

「私も見つけてたよ、規則正しい生活とバランスのいい事食事、頭皮を清潔に保つって言う感じでしょ?」

「夢愛ちゃん可愛いから、長い髪もきっと似合うよ!」

真っ赤になった夢愛は、思い切った表情になると、

「んとね、髪伸びたら、お団子とか、ポニテとか、手伝ってくれる?」

あっ、バスケのあとで、美月のお団子直してたの見たからかな?いつもよりも更に幼く見えて、メチャ可愛い。雨がどんどん成長して、サイズ感では妹っぽくなくなったので、夢愛の髪をいじるのは、ちょっと楽しみになった。

「早速、頭皮を清潔にしてこよっ!」

雨は夢愛を誘ってお風呂に行った。

入れ替わりに委員長が降りてきて、

「おねえちゃん、私の髪もお願いね!」

椅子を持って来て、私の前に座った。手渡されたブラシを掛けた。冷やかしだっようで、直ぐに、

「ありがとう、気に入ったわ。」

「小さい頃から上手だったよね、自分も伸ばしたいって泣いたりしてさ!」

桜が黒歴史を漏らしていた。

「私も!」

委員長が立った椅子にカレンが座り、いろはが並んだ。二人とも冗談のようだが、

「おめかしの時に、編込みとかお願いするわね!」

長年、姉達の高度なリクエストで経験を積んでいるので、結構自信がある。機会があれば腕前を披露したいな。

いろはのツヤツヤ、サラサラの黒髪や、カレンのまぶしいほどのブロンドをいじりながら美容室の話やシャンプーの話で盛り上がった。夢愛と雨が上がってくると、

「次、私達ね!」

今まで、じっとして話題にも入っていなかった美月が私の手を引いてお風呂に向かった。皆んな私と普通に入っていると聞いて、対抗意識での行動だろう。かなり緊張しているようだ、元々男性は苦手の筈だから、いくら『もみじ』でいても、お風呂では、どうしたって『松太郎』だからね。なるべく見ないようにはするけど、全く見えない訳はないし、慣れない美月と入るのはわたしもドキドキするし!緊張で強張った美月との入浴は、すっかり当たり前に入る他の皆んなとは違う背徳感があって、男子としてのカラダの反応がもう現れている。

「いろはも入ろうよ!」

3人のほうが少しは、気が楽かな?

「もみじがお風呂誘ってくれたの初めてね!」

美月には事後承諾、

「別に気にしませんわ。」


 美月を視界に入れないように気にすると、いつもよりも、いろはが、視界に入ってしまう。いろはは気にしないって言ってるけど、どうしたってカラダが反応するんだよね。急いでカラダを、洗って視界が壁になるように、浴槽に浸かる。お湯は緑色になる入浴剤を入れてあったので、カラダの変化している部分はバレなくなっている。しばらくすれば、通常の状態に戻る筈なのでじっとしてしていた。いろは達とは何度か一緒に入っていると、少しは慣れて来たし、彼女達が全く恥ずかしがる感じじゃないので、私も、平常心に近くいられるが、美月の微妙に恥ずかしさを隠しているので、ドキドキが伝わり、それを感じて私もドキドキしているようだ。やっと落ち着いた頃、美月が隣に浸かったが、お互い、少し慣れたようで、その後は余計な心配をせずに済んだ。

 なんとか入浴を済ませ、リビングに戻るとさっきの椅子に加えて、鏡とブラシ、ドライヤーが用意されていた。

夢愛が座って、待っていた。髪を乾かして欲しいんだね!お風呂で気を使ってクタクタだったので、気分転換にちょうど良かった。夢愛が仕上がると、雨に交代した。この勢いだと、全員分かな?遅れて上がってきた、いろはと美月が次にと、待合席にみたてたソファーで寛いでいた。


 予想通りに全員の髪を乾かしているうちに、自分の髪は自然乾燥していた。そろそろ休もうかって時間まで、美容室ゴッコをしながら、ガールズトークで盛り上がった。昨夜は美月が一緒で、熟睡出来なかったので、今夜はゆっくり眠りたいな。

「今日は私の番!」

カレンが私達の部屋に泊まると言い出した。夢愛も名乗りを上げると、雨まで参戦した。

「じゃあ、これで決めよう!」

芒の提案で、トランプで決める事になった。何故かあたしといろは、委員長と姉達も参加していた。大富豪で闘う事になった。

「じゃあ、キッチンタイマーのアラームがなった時に大富豪だった人の勝ちね!その時、もみじかいろはがド貧民だったら、もみじと二人でお泊まりにしようね!」

いつの間にかルールが決まり、皆んな張り切りだした。

「ねえ、委員長、何で参加してるの?」

「そりゃ、お泊まりの権利が掛かってるからに決まってるでしょ?」

私は貧民から、徐々に出世して、遂に大富豪に上り詰めた。今アラームが鳴ったらいろはと二人で眠れるな。ド貧民の委員長とカードを2枚ずつ交換した。3の札を2枚渡すと、委員長はニヤリと口角を上げた。

「か・く・め・い!」

あっという間に勝利を収めた委員長は、カレンの部屋に置いてある荷物を取りに行った。委員長から貰った2の札が災いし、ド貧民に転落、よし、反撃と思ったらアラームが鳴った。荷物を移動させて来た委員長が迎えに来た。いろははカレンの部屋に泊まる事になり、委員長と二人でお泊まりする事になった。

「おねえちゃん、早く寝よ!」

委員長は意外と嬉しそうにしていた。

ベッドに入ると、ピッタリ密着してすぐに寝息を立てていた。

いつもは上から目線で、姉達さえもアゴで使う姐御ハダで、幼女の見ためとのギャップが大きいが、寝顔になると、ただただ可愛いだけだった。しがみつく様に眠る委員長の髪を撫でた。ウットリと私のニセモノの膨らみに頬ずりする様子を見ていると、いつまでも甘えさせてあげたい気分になった。これって母性本能(・・・・)ってヤツ?小柄で華奢な幼児体型は、セクシーとは程遠いとは言え、柔らかな抱き心地とダブダブのパジャマが着崩れた様子は、男性としてカラダの反応があってもおかしくない筈だが、全く苦労せずに済んだ。

「おねえちゃん、おなか空いた!」

委員長の妹ゴッコは朝も続いていた。朝食を作っていると、皆んなが起きてきた。

「おねえちゃん、私もゴハン!」

芒も妹ゴッコに参加すると、桜と桐も続いた。別にそんなことしなくても、ゴハンは私なのにね。


 ご機嫌なニセ妹達のお世話で、日曜日のお日様も沈みかけて来た。夢愛、美月、委員長を送りに行く。

「また、面倒なナンパとか面倒だから、松太郎に送って貰うといいよ!」

いろはの意見を取り入れ、男装して?イヤ普通に女装せずに出掛けた。

「お()ちゃん、雨も一緒に行く!」

夢愛にはかなりの警戒心を持っていた雨だけど、最近は1番仲良しかも知れない。夢愛がお泊まりの時は、大抵は雨の部屋だ。いろは推しの雨が、監視の為に自分の部屋に泊めたのが始まりだと思うけど、今では、『妹の友達』ってイメージまで付いてきた。

 バス停で美月と委員長を見送り、夢愛の自宅まで送った。

「お帰り、夢愛!」

夢愛のお母さん。ちょうど、スーパーから帰って来たようだ、両手にエコバッグをぶら下げていた。夢愛には兄、姉がいないので、いくら若くてもアラフォーの筈なんだけど、異様に若く見える。若いって言うより幼いのほうが的確な表現かも知れない。小学生に間違われる夢愛と姉妹に見られたり、大学生やハタチそこそこのフリーターっぽい男性とかに、ナンパされたりするそうだ。

「あら、あなた達!花屋さんの美人姉妹ね!娘がお世話になってます!」

見掛けはお姉さんだったが、中身はオバちゃんだったようで、うちに通うようになってから、オシャレに目覚めた事や、家事を手伝う様になった事、母の日のカーネーションを毎年楽しみにしている事、等など・・・。マシンガントークが続いた。半ば強引に、招き入れられ、夢愛は近所のケーキ屋さんにお使いに出掛けた。

夢愛ママのトークは更に続き、夢愛の女子力の低さを暴露し続けた。

「あの子、小学生の万引グループの一味だと思われて、補導されそうになった事があるのよ、その時助けてくれた中学生の男の子に一目惚れしたみたいなの。それっきりみたいなんだけど、何か聞いてない?」

目の前の私、イヤ僕がその時の中学生なんだけど、どうやら女子だと思い込んでいる。

「おふくろ!ハズい事ペラペラ喋らないでよ!」

真っ赤になった夢愛に叱られると、ペロリ舌を出して、

「ヤカン丁度かな?紅茶でいいかしら?」

キッチンに逃げて行った。

夢愛ママの話はそれ程驚く新事実は無かったけど、『おふくろ』って呼んでいる事の方がビックリ。見掛け小学生男子の、ボーイソプラノで発せられる『おふくろ』は驚愕のギャップだった。

「ヤマっちがそう呼んでたからマネしたんだ、最初はふざけてたんだけど、慣れたら他で呼ぶのが恥ずかしくなってさ。」


ちょっと変わったエクレアとおふくろさん(・・・・・・)の紅茶をご馳走になってお暇。

「ねえ、お兄ちゃん!」

サッと手を繋ぐ雨の指は、器用に交互に絡んでいた。いわゆる恋人繋ぎだった。

「夢愛ちゃんの女子力より、お兄ちゃんの男子力の低さの方がヤバくない?おふくろさん、最後まで女の子だと思ってたでしょ?」

確かに見送ってがくれた時、

「痴漢の心配なら、うちの子より、あなた達の方が心配だから、2人いるからって、油断するんじゃ無いよ!ちょっと腕組んでみて!」

雨が僕の腕前に掴まると、

「お姉さん、ボーイッシュだから、カップルに見えるかな、もう暗いから。」

今更、カミングアウト出来ずに帰って来た。

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