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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第3章
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37/139

練習試合

「明日お披露目の方がいいかな?」

せっかく、その気になったのに肩透かし。まあ、ナンバー付けたりしなきゃならないからそのほうがいいよね。学校でのゲームだから、松太郎として行くんだから、お揃い着ることも無いしね。

「じゃ、ショタこれお願いね!」

Tシャツとアイロンステッカーとメモを渡された。落ち着いて考えたら、姉達がアイロン掛ける訳無いよね。

字体が具体的には書いていないが、『可愛く』の指定がある。『可愛いフォント』で

検索、いくつかピックアップして皆んなの意見を聞いた。ポップなイメージのフォントに決まり、ナンバーの上に同じフォントで名前も入れるようになり、ミッションが追加された。余分に買ってあるので、なんとか足りるだろう。倉庫から響くドリブルの音を聞きながらステッカーを切り抜いた。


 ユニフォームが完成した頃、選手達が倉庫から戻った。お風呂は、雨が用意していたので、そのまま直行。夢愛も美月も荷物を見ると、泊まって行くつもりだろうから、二人分多く用意しよう。

 冷蔵庫整理を兼ねたメニューだけどサラダとパスタいい感じに出来上がった。運動、入浴で、スッキリ、サッパリ、ペコペコの、にわかアスリート達は少し多めに作っていた量をペロリと平らげた。

「私、片付けておくから、もみじお風呂入っちゃえば?」

カレンの提案を有り難く受け容れ、お風呂に向かうと、

「一緒に入る!」

夢愛が付いてきた。もう慣れたので、気にしなかったが、美月は驚いて顔を真っ赤にしていた。そんな反応をされると、釣られてしまいそうだ。のんびりお湯に浸かって、夢愛の背中を流し、交代して流して貰い!お風呂を洗ってリビングに戻ると、美月は、

「あたしも一緒に入ってあげてもいいわよ!」

真っ赤になってプイッと横を向いた。


美月がいると、やっぱり落ち着かない。

「明日に備えて早寝したらどう?」

さっさとベッドに逃げ込んだら、気がラクだと提案すると、皆んな賛成。夢愛と美月がどこに泊まるのかの会議が始まった。

「夢愛ちゃん、私の部屋ね!」

雨が宣言。カレンが美月を誘うと、

「いろはは、どこに泊まるの?」

「私?私は自分達の部屋よ!」

「今、『自分達』って言った?」

美月が噛み付く。いろはは涼しい顔で頷いて、

「3人でお泊まり?ちょっと狭いかもしれないけど。」

「し、仕方が無いわね!そそそそんなに誘うんなら、そうしましょうか。」

ちょっと会話が噛み合ってないって言うか、敢えて合わせてないような感じで、会議は終了。美月を避けようとした作戦がアダになり、一緒に寝る事になってしまった。

 3人で部屋に入ると、いろははサッサとベッドに入って、

「早い者勝ち、私こっち側が好きなの!」

慌てて隣に潜り込んで、

「やっぱり、3人じゃ狭いよね?カレンまだ起きてると思うから、カレンの部屋にする?」

美月は黙って隣で毛布を被った。いつもはヘンな気を起こさないように、いろはに背中を向けて寝る事が多いけど、美月の方を向く方が不味そうな気がして、いろはの方を向いて眠る。いろはと至近距離で向かい合った。吐息がくすぐったい位の距離には流石に免疫はなく、きっと、朝まで眠れないだろう。美月はどうなんだろう?慣れたシチュエーションではないと思うが、背中越しでの雰囲気では、呑気に寝息を立てていた。意識してなのか、しっかり背中なピッタリ貼り付いている。細身だが、柔らかな感触が、背中でも解った。背中に当たる膨らみが、見掛け通りそれ程の破壊力は無かったので、特に動揺って事も無かったが、クラスの女子に挟まれて眠る男子高校生ってどのくらい居るんだろう?かなりレアだよねきっと。落ち着いて考えたら凄い事だよね。

なんて思っていたら、しっかり熟睡していたみたいだ。朝なのかな?目を覚ますと、背中に貼り付いた美月はそのままで、更に脚でもクリンチしていた。いろはは、背中を向けていたので、可愛らしい寝息はくすぐったくなかった。段々脳が働き出すと、掌に、未だかつて感じたことの無い、滑らかで、柔らかな心地良さを感じた。中指の付け根辺りには、何か突起を感じる。掌に意識を集中させると、パジャマを通過して!直接膨らみを包んでいる事が判明した。直ぐに撤退すべきか、起こさないように、そっと引っ込めるべきか、はたまた至極の感触を堪能すべきか迷いに迷った。と言っても、きっと実際の経過時間は数秒のような気がする。固まっているうちに、手の甲にいろはの掌を感じた。現行犯逮捕だ。寝惚けての犯行なので情状酌量かも知れない。でも、片手でボタン外せたんだな、しかもいろはを起こさないで。そんなに器用だったかな?急いで手を引っ込めるといろはは寝返りを打って、こっちを向くとおでことおでこをくっつけて来た。

「ゴメン、寝惚けてたとは言え、酷い事しちゃって。」

「ううん、気にしてないよ、いつもパジャマの上から触って慌てて手を引っ込めるから、ボタン外してたらどうするか、試して見たの。」

えっ無罪?それならもう少し堪能しておけば良かった!

「私ももみじが眠ってる時、無断でキスしてるから、おあいこって事にしておこうよ。」

最近見た夢は、松太郎としていろはを抱いたり、キスしているシーンしか覚えていない。エロ妄想が脳を支配しているのかと自己嫌悪に陥っていたが、睡眠中の実体験が夢に反映していたようだ。

「せっか・・・」

せっかくなら、ちゃんと覚醒している時に触りたかったといい掛けそうになって、慌てて言葉を飲み込んだ。

「どうしたの?」

「らんれもらひ!」

舌が回っていない。

時計を確かめるとまだ5時過ぎだっだが、スッカリ目が覚めてしまったので、ベッドから抜け出した。クリンチを外す時、美月を起こしてしまったので、3人で朝ごはんとお弁当の支度を始めた。

美月を毛嫌いするいろはと3人でいる事や、さっきの猥褻行為を咎められないか、針の筵だったが、二人はいつの間にか打ち解けていた。心配事が減って少しは気が楽になったが、

「ちょっと実家にいってくるわ!」

キッチンに美月と二人されるのは結構キツかったが、高圧的な口調を脳内で変換すると、極々普通の女の子だと気付いた。

『手伝わせてあげてもいいわよ!』は『手伝って!』、『視界に入っていても差し支え無くってよ!』は『側にいて!』って事らしい。


 いろはが帰って来た。紙袋を持って来ていて、さっき起きていていた夢愛に渡していた。

「着替えてくるね!」

ニッコリして雨の部屋に戻って行った。

少しすると、雨とペアルック?いや、中等部の制服の二人が降りてきた。

「中1の春しか着なかった制服なの、夏の間に急に伸びて、秋に買い替えたから、そんなに傷んで無いでしょ?雨の洗替えになるかなってとっておいたんだけど、雨の方が大きくなっちゃって!」

それでも大きめになっている夢愛だが、成長を見越して大きめを選んだ程度には見える。どこから見ても、中学生に見えた。この姿なら、部活見学に来た中等部のコで疑われる事は無いだろう。

「夢愛ちゃん可愛い!」

起きて来る皆んなは、口々に絶賛した。

「この格好なら小学生には見えないでしょ?」

夢愛は、照れ隠しに自虐ネタで笑いを取っていた。


 午前中はのんびり過ごし、お弁当持参で学校へ。入念にストレッチをしてから、軽くランニング。カラダが暖まった所でお弁当にした。さっき迄は、試合に臨むアスリートの顔だったのに、すっかりピクニックモードになってしまった。緩み過ぎじゃ無いかと心配したが、バスケ部のコが集まって来ると徐々にテンションが上がってきたようだ。

「じゃあ2階の席を確保しておくね!」

雨と夢愛とで荷物を纏めていると、

「今、席を用意しますから待ってて下さいね!」

バスケ部の1年生達がパイプ椅子を運んでいた。コートサイド片側いっぱいに椅子を並べ、反対側は、ベンチになるようだ。椅子運びを手伝って、ベンチに座った。


学校ジャージの黒の短パンにオーバーサイズのピンクのTシャツ、左右ピンクと黒に色を替えたハイソックス、リストバンドも黒とピンク。靴も黒か、ピンクなら良かったけど、そこ迄の予算は無かったのか、普段の上靴の白い運動靴を、靴紐だけ黒とピンクに替えていた。

 雨は、最前列の椅子の背もたれに、ピンクのタオルを並べて掛けた黒い椅子なのでうちの?チームカラー?うん、カッコいい!クーラーボックスのスポーツドリンクも確認して準備万端。ドリブルのダムダムと靴底のキュキュッが響く頃には、運んだ椅子は全て埋まり、立ち見席迄ギッシリ。2回のギャラリーもいっぱいだった。何故か恵比寿顔の委員長が登場。

「有料観戦の許可は出なかったけど、学校祭資金の募金箱設置の許可は降りたんだよね!さっき、箱確かめたらズッシリだったからね、ちょっと予算キツイ所があってね!」

ちゃっかりベンチの1席をキープして、黄色いメガホンで声援?コートではなく、俺の耳元で、

「メガホン、なんでピンクにしなかったの!!」

たまたま押入れで発見したのを持って来ただけなんだよね。


 試合開始前になると、一旦選手達が廊下に出た。少しすると、アナウンスが始まる。

「只今より、啓愛学院バスケットボール部対花田シスターズの練習試合を開催いたします。選手の入場です。」

ホームの筈のバスケ部から入場が始まった。それぞれ暖かい拍手で迎えられた。

ハンデのつもりか、6人だけだった。

「続きまして、花田シスターズの入場です。」

照明が落ちて、スポットライトが入口を捉えた。

「ナンバーーーーナイン!ミヅキーワカバヤシ!!」

観客席から黄色い声援が飛び交い、ピンクのハンカチが揺れた。ん?いつの間に、ピンクをユニフォームにしたのが解ったんだろう?昨日選んだんだよね?

カレン、いろはと、どんどんヒートアップしていき、

「ナンバーーーーフォーーー!サクラ ハナダーー!!」

泣き出す生徒まで現れた。

 ゲームが始まると、バスケは気の毒なくらいの完全アウェー。ティップオフからの速攻で先制すると、一昨日のリプレイかと思うように、センターラインを越えないままにゲームが進んだ、スコアボードは、シスターズのポイントと残り時間だけが動き、前半を終えた。


「流石に後半もマンツー続けるのは無理ね!」

ハーフタイムには、チアリーディングが演技を披露。大会が近いので、練習だとの事だが、(採点基準が解らないので、個人の感想ですが)メチャ素晴らしかった。大会は土曜日らしいので、観に行く事にした。


 後半もジャンプボールからの速攻を決めた。前半と違うのは、すぐにバックコートに戻ってゾーンを組んだ。インサイドをガッチリ守り、外からのシュートを誘う。リバウンドはカレンが支配し、美月の手に渡ると、あっという間にカウンターを決めていた。外のシュートもたまには入るので、バスケのスコアもジワリと動くが、ほとんどがシスターズのポイントと残り時間だけが動いて、ゲームセット。82対7の圧勝だった。シスターズは、ハイタッチで観客を見送り、委員長はその向こうで、

『感動したらもう少し!』のプラカードを持って募金箱の所でピーアールしていた。


「私の背も伸びたし、いっぱい練習したから、ブランクのあるあなた達に、今度こそ勝てると思ったのにな!カレンちゃんは想定内だっけど、隠し玉2発は反則よ!」

バスケ部の部長が呆れた顔で話しかけて来た。

いろはのフリースローは知っていたし、姉達が、パスやドリブルで撹乱して、フリーで撃っていたので不思議に思わなかったが、美月の活躍は意外だった。中等部では新体操部でボールが得意種目だったそうだ。教えてくれていても良かったのにね。

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