表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第2章
34/139

夕方のお楽しみ

久しぶりに一睡もせずに朝を迎えた。いろはは、狸寝入りのまま本格的に眠ったようだ。いつものように、複雑にクリンチしている。いろはの状態が気になった。確かめるには、『見る』か『触る』で解るんだが、どっちも試す勇気は無い。取り敢えず、クリンチを外す。意識して触った訳じゃ無いが、上は直接肌だった。下は確認出来ずにベッドから這い出した。

着替えていると、いろはも目を覚まして、パジャマを着ていないないのを忘れて、普通に起きて来た。ん?着てるじゃん!どこをどうして裸だと思ったんだ?ただのエロ妄想だったようだ。一晩の睡眠を返して欲しい所だか、自業自得ってやつだよね。あきらめて、朝ごはんの支度に取り掛かった。


カレンのリクエストでごはんと味噌汁が続いていたが、朝から既に暑かったので、あまり火を使わない、トーストとサラダ。コーヒーも冷やしてあるので、トースターの熱なら、炊飯器よりかなり楽チンだ。焼かずにジャムもありかな?

トーストの場合大家族で困るのは、一度に焼けない事だが、バラバラに起きて来たので、丁度いいタイミングで順に済ませていった。


夏休み最終日なので、一応2学期の準備を確認した。宿題OK、休み明けの復習テストもまあ大丈夫。制服もクリーニングから帰って来ているので、大丈夫。ブラウスもみんなの分アイロン掛けて、勿論自分のワイシャツもアイロン完了。カレンの制服は、新しく買ったものなので心配無し。

あとは、俺の髪だな。今のままじゃ不味いよね。中学の校則なら完全にアウトだけど、うちの学校は髪型に関してはかなりユルい。『清潔感がある髪型』としか規定されていない。長髪、カラー、パーマ等を規制する文言は無い。中学の校則だと、寝癖だろうが、フケまみれだろうが、耳、眉毛、襟にかかっていなければOK。理不尽なルールだと思っいたので、高校の校則が、思っていた不具合が解消されているので驚いた。流石に気が引けるので、いろはに相談すると、

「お姉ちゃん達、わざわざ同じ髪型にしたのって理由聞いた?」

「短いほうがドライヤーがラクだって話したけどね、詳しくは離しして無いよ。」

「多分ね・・・」

いろはは、俺が身代わりっていうか、姉達にバケる時に便利だから同じ髪型にしたんじゃ無いかと推測。姉達に確かめると、

「えっ?わざわざ言う必要あった?当たり前じゃない!」

芒は、整髪料とブラシを持って来て、ササッと手直しして、男子風の髪型に直してくれた。後で委員長も遊びに来るので、確認しておこう。


お昼は、そうめんで済ませ、のんびりの午後を過ごしていると、委員長と夢愛ちゃんが、揃って登場。二人とも私服なので、どう見ても、小学生カップルだった。

早速、この髪型で登校して大丈夫か相談すると、即OK。安心してもみじバージョンの髪に直しにシャワーを浴びて来た。

二人は割と大きな荷物だったので聞いてみると、浴衣を持って来たそうだ。早速姉達が着付けをして、浴衣美少女を完成させていった。当然のように俺も着替えて、撮影会が始まった。浴衣を交換したり、髪を弄ったりしながら、遊んでいるうちに、柔道部の稽古が終わった猛者達が駆け付けた。

空っぽの胃袋でやって来るのは想定済みだったので、おにぎりを用意しておいた。大きめのを3つずつ、飲み物のように胃袋に収めると、浴衣美少女に視線が釘付けになっていた。花火大会の事は言っていなかったので、猛者達は、思わぬサプライズで、大喜び。サーモグラフィーで見たらきっと真っ赤なんだろうな。花火大会の会場へは、姉達は当たり前のように、猛者達とペアになっていた。カレンと夢愛は、俺と手を繋ごうと牽制しあっていたが、さっさと、いろはとペアになれば、騒ぎにならないと思ったが、委員長がいろはをゲット。雨が様子を把握して、俺の手をとったので、カレンと夢愛がペアになっていた。まあ、現地までのバスの席割りくらいなものなので、たいした事ではないが、カレンと夢愛は、結構な戦闘モードのオーラを放っていた。

芒は、足元が不安だと、山岸さんの腕に掴まっていたが、掴まられた山岸さんの方は、ガチガチで手足の動きがぎこち無い。他の二組も似たような感じだった。

到着した会場は、まだ明るさが残っているにも関わらず、既にたくさんの人手だった。毎年この辺りかな?って場所をキープして、交代で屋台を見て回った。カレンがたこ焼きの屋台に貼り付いていたので、そんなに食べたいなら、買っていこうと思ったら、

「焼き上がるまでのプロセスが素敵なの!」

カレンの感動の叫びが、上手い具合に宣伝になってどんどん行列が伸びていた。その分職人技を堪能出来たカレンは、花火が上がる前から、すっかりご機嫌だった。

キープした場所に戻ると、留守番していた委員長といろはが、ナンパのお兄さん達に絡まれていた。急いで助けに入ったが、絡まれる対象が俺に代わっただけで、撃退には至らなかった。いい加減、松太郎になろうかと思ったら、

「もみじ、知り合いか?」

千葉が、畳の上で放つようなオーラを纏って、話に割り込む。相手はまだ3対1だと思って、余裕の表情だったが、殺気を感じたのだろうか、ふと振り返ると山岸さんと、斉藤さんが腕組みして立っていた。筋肉が多過ぎて収まりが微妙な腕組みは、威嚇効果を充分に発揮していた。大事には至らずにナンパを回避。カレンが()()()()()たこ焼きを突いて花火を待った。

『ヒューッ!ドーン!パラパラパラパラ!』

花火に合わせて大騒ぎのカレン!と思ったら、花火を見上げて黙って涙を流していた。

「2次元の花火ってキレイ過ぎて、ホンモノを思い切り盛っているのかと思っていたら、ホンモノがこんなにキレイだなんて、思わなかったよ!」

意外なリアクションに、みんな驚いていた。

空が真っ黒に戻って、煙も火薬の臭いも無くなるまで余韻を味わって、道が空いてから会場を後にした。


みんなでうちに帰って、遅い晩ごはん。たこ焼きの他にも色々食べていたので、胃袋はそれほどピンチではなかった。冷やしラーメンの具を切って冷してあるので、麺だけで出来上がりなので、さっさと準備をした。


「浴衣で花火大会って憧れだったんだよね!」

芒が嬉しそうに笑うと、桜と桐も同調した。

「今日は、ナンパ1回で済んだね!毎年、滋味な服で行っても面倒だったものね!」

麺が茹で上がり、冷水出来上がりしめると、珍しく姉達がキッチンに来て、盛り付けを手伝ってくれた。ボディーガードの報酬だろうか?猛者達は揃って昇天しているので、適切な対応なんだろうね。カレンは初めての味だったようで、これも気に入って貰えたようだ。


委員長と夢愛を猛者達に送って貰い、のんびりお風呂。と思ったら、カレンも入って来て、落ち着かないまま急いで上がる事になってしまった。お風呂掃除は、最後に入った人だけど、いろはも一緒だから心配ないな。さっさと部屋に帰って、ベッドに潜り込んだ。


「ねえ、姉ちゃん達ってやっぱりあの3人の事を気に入っているのかな?」

ベッドにやって来たいろはに尋ねた。

「そうね、どうでもいい人とは無理に合わせて遊んだりはしない人達よね?()()()()は微妙だとしても()()()()は軽くクリアしてるよね!」

そう言えば、デートの誘いに応じた事は無かったし、ましてや自分達から誘ったなんてかつて無かったな。世に言う『高嶺の花』ってやつで、高嶺のレベルが山岳探検隊じゃなきゃ登れないような高山に思われているんだろうな、玉砕覚悟の告白も、殆ど聞かなくなっていた。あの3人が義兄なら悪くないね。でも、この状態が続くと、ずっと()()()かな?まあ、いつまでも女の子みたいな見掛けで居られるはずもないので、出来る間だけでも楽しんでおこうかな。


いつの間にか、いろはが眠ったようだ。時計を見ると、日付が変わって夏休みは終了してしまっていた。始業式に遅刻って訳にもいかないので、さっさと眠ろう。幸い、昨日殆ど眠れていないので、直ぐに寝付いたようだ。うなされて目覚めると、始業式の朝だった。正夢にならないか不安な目覚めだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ