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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第2章
32/139

平和が丘公園

カレンには、行き先を告げずに

「明日は、いろはのオススメで、ミステリーツアーに行こうか?」

誘ってみた。ん?和製英語かな?カレンはピンと来ていないようだったが内容を理解すると勿論、大喜びで参加表明。雨は、中学の友達と約束があり、委員長も用事があるそうだ。姉達は、面倒だと言って、あと乗ってくれたのは、夢愛だけ。最近大人数が普通になっていたので、ちょっと寂しい。明日の朝とお弁当の下拵えをしてると、

「やっぱり、私も行く!」

芒が寝返ると、桜と桐も続いた。どうやら昼食の心配するより、出かけた方がラクだと判断したようだ。出掛けなくても、姉達お弁当も作るつもりだったんだけどね。


夢愛は、カレンの部屋にお泊まりするそうだ。朝早く出るので、待ち合わせるより確実だろう。早寝早起きで出掛けようと、早めに床についた。


ラジオ体操に間に合う位に早起きして、バス停に向かった。今日も新創成まで行って、そこからバスを乗り継ぐ。

公園に近付いたが、カレンはまだ気付いていない。到着し、駐車場の時計や看板を見ると、カレンのヲタク知識が爆発した。次々に撮影して、どんどん奥に進んだ。


ベンチでお弁当を広げると、

「ゴールデンウィークの頃のが、梅の見頃なんだって!」

これ全部梅?咲いたら凄いだろうな。来年の事なので、かなり先だけど楽しみだな。デザートに、梅ソフトクリームを食べながら、カレンの解説を聞いて、改めて巡礼。

「いろはは、どうして知ってるの?」

カレンは、『市内の公園で実在する筈』位の情報しか持っていなかったのに、さほど興味の無さそうないろはが情報を持っていた事に、感謝と共に驚きを感じていた。

「うん、たまたま!」

自治委員にアニメ好きな人がいて、偶然見つけた話をしていた事を思い出して、連絡を取ってみたようだ。スマホに色々情報を送って貰ったそうだ。

公園の中は、結構アップダウンがあって、ただ歩くだけでも結構な運動なのに、カレンに合わせるとかなりハードだった。スマホでアニメを再生しながら、見つけた場所に走り、シーンに合わせたアングルを探してウロウロ。たまには、モデル役までこなした。

「もみじ!いろは!ここに立って!」

カレン監督の指示で、モデルになった。思い入れのあるシーンなのか、他の時より立ち位置やポーズのリクエストが特に厳しかった。やっと見られたカレンの満足顔で撮影会を打ち上げた。ハードな撮影と暑さでくたくただったので、近くのショッピングモールに涼みに行った。

流石にカレンもエネルギー切れのようで、ぐったりとしていたが、

「あれ?この景色?」

今までの重い足取りが嘘のように、カレンがダッシュ!

「違う!」

エスカレーターを駆け上がった。急いで追い付くと、カレンは既に、カメラを構えていた。吹き抜けの向こう側を見た様子を、アニメのシーンに重ねて見せてくれた。またまた興奮状態のカレンを冷たい飲み物でクールダウン。店の中をグルグル巡り、他のシーンを探したが、なんとなくソレっぽい?ってレベルしか見つけられなかった。ちょっと不発気味で疲労感がぶり返して来たが、ひと休みして帰路についた。


新創成に着いて、コスプレショップを覗いてみた。

ん?閉店?靴屋さんの奥に行くと、薄暗い店の筈が、真っ暗だった。近寄って見ると、移転したようだ。

貼り紙にあった新しい店舗に行って見ると、少し開放的な店構えで営業していた。店長さんは、

「イベントで在庫一掃出来たから、引っ越しラクだったよ!」

確かに、あの追加の搬入の勢いは凄かったな。普段の売り行きは解らないけど、お店にはお客さんはいつも絶えないけど、レジに並んでる人はあまり見かけないから、ちょっと心配していたが、程々売れているし、ネット販売もしているので、意外と稼いでいるそうだ。

奥まった前の店の方が、雰囲気があって良かった気がするが、ゲーセンの近くなので、ターゲットになる客層が、近寄って来るので、メリットは新しい店舗の方が色々見込めるらしい。

アニメの聖地巡礼をして来た事を話すと、店長は、タブレットを弄って、参考になるサイトをいくつか教えてくれた。


家に帰って、平和が丘公園のシーンをアニメを観て、カレンのデジカメ画像と合わせて確認した。一字一句違えない看板や、時計塔、雨宿りした東屋なんかは、驚きの一致だった。カレンが拘ったシーンは、女装の主人公と、後に彼女になるバイトの同僚とのデートシーンだった。いろはが公園を見つけてくれたので、そのお礼のつもりらしい。いろはは大喜びで、スマホの待ち受けに設定していた。


カレンは、店長に教えて貰ったサイトを調べて、幾つも行きたい所をピックアップしていた。雨は、実際の地図に照らし合わせ、交通機関で効率的に回る方法を考えていた。友達と遊んで来たのも楽しかったけど、平和が丘公園も行きたかったと残念がっていたので、梅の見頃にもう一度行く約束をした。

「ここは、遠い?」

検索に引っ掛かったのは、特急で2時間程の農業が盛んな町。農業高校を描いた作品だ。

「じゃあ、直ぐって訳にはいかないね。」

残念そうなカレンだが、スイーツでも有名なので、ガッツリ観光旅行って感じになりそうだ。夏休みも残り少ないので、秋の連休に計画することにして、創成駅と駅周辺を探検する予定にした。


カレンは、明日の綿密な計画を姉妹一斉メールで配信。体力回復する為だと言って、さっさと部屋に引き揚げた。姉達もダメージが大きいようで、明日はパスと早々に宣言していた。委員長からは、別の予定が有るとメールが届き、明日のメンバーは、主役(?)のカレン、体力充分の夢愛、今夜もカレンの部屋にお泊まり。今日行けなくて欲求不満の雨、そして、いろはと俺。松太郎(おとこ)なら、人が羨むハーレム状態なんだけど、もみじ(おんな)で参加なんだよね。


いろはと、朝食とお弁当の支度をしてから、もう当たり前のように一緒にお風呂。ほぼドキドキも無く淡々と入浴を済ませた。以前は、カラダの部分的変化に気付かれないように浴槽に逃げ込んだり、工夫をしていたが全く気にならなくなっていた。勿論、子供の頃と違う膨らみなんかを意識したり、視界の多くを肌色が占めたりすると、普通に反応してしまいそうので、その辺は注意している。いろはと髪を乾かしあって部屋に戻った。


いろはは、カレンに貰ったデートシーンの画像を転送してきて、俺のスマホの待ち受けも変えるように迫った。()()()でいるときはまだいいけど、()()()に戻った時、自分の女装画像を持ち歩くのは、どうかと思って何とか拒否。いろはだけをトリミングすることで何とか落とし所が見つかった。なんとなくスマホで遊びながら、お喋り。姉達が言う『オカマ探偵』で、不審者事件で囮で女装したり、姉達に化けて、デートしながら情報収集していた時の画像もしっかり保存していた。あの頃は、女装に否定的だった筈のいろはだが、いつの間に入手していたんだろう?まあ、出所は姉達なんだけどね。ずいぶん気に入っているようで、『もみじフォルダ』が作ってあった。この前のイベントでのコスプレ画像も勿論保存してあった。画像を加工したりして結構盛り上がっていたが、いつの間にか眠っていたようだ。


朝早く眼を覚ました、いろはは熟睡中なので、何とかクリンチをくぐり抜けて、こっそりベッドから這い出した。みんなの朝食とお弁当を3つ作った。カレンの計画を見ると、外食の方が良さそうなので、お弁当は留守番の姉達の分。なんとなく「暑いからお昼は、ソーメンとか冷たいものが良かった!」とか、言いそうだな。お出掛け組は、ぼちぼち起きて来て朝食を済ませた。3人分の朝食と、お昼のお弁当とお手紙を置いて、聖地巡礼に旅立った。

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