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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第2章
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桜の判決

「あら、いらっしゃい千葉君!お帰り、もみじ。」

見張っていたかの様に桜が現れた。

「晩ご飯、一緒にいかが?」

千葉は、夢愛さんの情報を漏らしたことで後ろめたいらしく、動揺を隠せない。当然、断るという選択肢は存在しない。ダイニングでは、桐と芒が待っていて、紅茶を待っていた。

「ねえ千葉君、先輩達を差し置いて、もみじを独占した気分はどう?」

千葉は、固まってまともな会話になっていない。

「ねえ、もみじと、どんなお話したのかな?」

自白の催眠術でも掛かった様に、カタコトの日本語(?)で淡々を喋り始めた。

しばらくすると桜が、

「もみじの色仕掛けで色々喋っちゃったんだね?」

チラリと目を合わせた。

テーブルに座らされたると、桐と芒が脇を固めて、

「いつから、そんな技を覚えたの?」

「そんなつもりじゃ無かったんだけど、結果そんな感じになったんだよね。」

「『あーん』でヤられたって被害者が言ってるよ!」

桜は嬉しそうに顔を覗き込んだ。

「被害者って?」

桜の視線が向かった千葉は、とても小さくなっていた。

「じゃあ、有罪ってことで!」

なぜ被告?

どんな罪?

って言うか、今一番気になるのは、どんな罰か。

桜は、取り上げた千葉のスマホを弄ると、すぐにメールの着信音が鳴った。

「もみじ、明日は空いてるでしょ()

耳に届いた文章としては、『?』だろうが、実質的には『!』が適切だろう。

また着信音、きっと山岸さんだ。

騒いでも、なにしても、断る事は出来ないので、勝手にして貰う。千葉だけだと不公平と言っていたので、斉藤さん、山岸さんとデートなんだろう。前みたいに、バレる心配しなくていいので、ちょっとは気が楽だな。


くたくたになった千葉は、刑の執行が済んだようで、晩ご飯は楽しく食べていた。すっかり幸せモードになって、桐に魅とれている。出来れば目をハートにしたままで、俺を見て欲しく無いな。


千葉を見送って、食器を片付けていると、雨はカレンを誘って一緒にお風呂。雨はウインクしていた。きっとカレンが一緒に入ると言わない様に配慮してくれたんだろうね。朝食の下拵えを済ませると、

「お風呂だよ。」

決定事項の様にいろはに誘われた。


ドキドキのセンサーが狂ったのか、いろはが平然としているせいか、殆んど抵抗感なく入浴。一応凝視はしないように意識はしたが、いろはの振舞いから考えると、そんなちっぽけな遠慮はした方が失礼に思えてきた。何事も無いように洗いっこして、のんびりお湯に浸かった。


当たり前の様に一緒に眠った。明るい浴室で裸の付き合いでも、平常心を保っていられるなんて、自分の理性を褒めたらいいのか、となりで寝ていても、指一本も出せない自分のへたれ加減を反省すべきか解らなくなってきた。気になりながらも、しっかり熟睡したようだ。

朝、耳が擽ったくて目を覚ました。いろはの吐息が、耳を直撃するくらいに密着していた。いろはの柔らかな膨らみが二の腕に圧着。見たり当たったりは、姉達で免疫があるので、一般的な男子高校生よりは耐性はあると思うけど、こんな密着は経験する筈もない密着のせいか、朝の整理現象か、下半身が反応してしまっている。クリンチしたいろはの太腿がしっかり押さえつけている形になっている。いろはが目を覚ます前に何とかしたいが、強力にクリンチされているので、こっそり抜け出すのは難しい。密着したまま寝返りしてベッドの中央に移動。いろはの上に乗る形になったが、足のクリンチは解除腕もそっとほどいた。ゆっくり離れようとした時に、いろはが目を覚ました。仰向けで眠るいろはの上に覆い被さった体勢で顔と顔はお互いの呼吸を感じられる距離だった。

「おはよう、もみじ。」

いきなりのハグで顔と顔の距離はゼロになり、唇には柔らかな感触。いろはは、スッキリ目覚めサクサクと身支度を済ませた。俺も続いたら、

「さっきは、何しようと思ったの?」

「な、何って、ただいろはが抱き付いていたから、起こさない様に離れようとしただけだよ!」

いろはは、すんなり信じてくれて大事には至らなかった。これで姉達が絡んでいたら、『寝込みを、襲おうとした!』で有罪確定だろう。


顔を洗って、キッチンに行くと珍しく、桜がもう起きていた。

「はい、これ!」

『優待券』と書かれた封筒を渡され、中を見ると、『子供の森遊園地』の優待券、ペアチケットが2枚。創成市の市街地、中の森公園にある遊園地。街の中心部から直ぐの所にある、自然豊かな公園にそれほどハードな絶叫系はないので、子供か、デート向けの遊園地だ。ペアチケット2枚ってなんだろう?桜は、ニッコリと、

「ダブルデート楽しんで来てね!どんなペアかは、お任せするわ!但し、千葉くんが羨ましいって思わせなきゃダメだからね!」

山岸さん、斉藤さん、夢愛さんと俺の4人で行くらしい。本来の松太郎としては、この三択なら、夢愛さんの一択だけど、もみじとして行くらしいから、山岸さんか斉藤さんの二択だよね。まあ、4人の方が気が楽だし、1回で済むのが嬉しいな。


いろはは、知ってるのかな?急いで朝食を済まし、4人分のお弁当を作った。いろはと、雨が手伝ってくれたので何とか完成。猛者達の胃袋は、かなりの強敵だし、夢愛さんも小柄ながらアスリートの胃袋は、甘くないだろう。特大2つ、大2つで大丈夫かな?


「デートなら、ちゃんとおめかししようね!」

いろはに手を引かれ部屋に戻った。いろはセレクトに着替えると、桜がやって来て、

「デートなら、ミニでしょ?」

いろはイチオシを避けて膝丈を選んだが、桜の参戦で2対1になり、過去最高レベルのマイクロミニに決定した。普段穿いていたトランクスくらいしかカラダを覆っていないので、どうも落ち着かない。

「ちょっと、短過ぎないかな?スカートってよりテニスのスコート並みでしょ?」

桜に言っても無理なので、いろはに訴えたが、

「じゃあ、アンスコ穿く?」

スコートの中に穿くフリフリパンツを桜が持って来た。いろはは、黒いパンツを勧める。下着だけど、ブルマか短パンに見えるから見えても大丈夫と言うので、いろは案を採用した。

「大体それでいいかな?」

そう言うと、目元に少しメイクをして、納得の表情で頷いた。いつの間にか参加していた桐と芒もバッグや靴を選んだりして、かなり楽しんでいるようだ。


準備が整った頃、ドアのチャイムが鳴った。

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