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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第2章
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いろはの防御

あっ朝だ。トイレに行きたいが、昨日感じた、唇の感覚が、希望的推測のモノなのか確認したいので、何とかガマンしなきゃ。

何とか黄色信号のうちに、いろはが目を覚ました。俺が起きている事には気が付いていないようだ。カーテン越しの柔らかい光が遮られると、甘い香りが近付き、唇に柔らかい感触を覚えた。心地良い柔らかさの正体は、希望的推測の通りだった。今、抱きしめれば!しっかりと唇を味わえる。でも黙っていれば、毎朝こうかも知れない。

・・・考えているうちに、瞼越しにカーテンを開けた眩しい朝日が射し込んだ。

「おはよ、もみじ!ラジオ体操始まっちゃうよ!」

「ああ、おはよ!」

二人でキッチンに降りた。


自分達と姉達の分を用意して、芒を起こしに行った。最近は、起こしに行けば、1回で起きてくれる事が多くなっている。以前は、15分前に起こしににいって、少し反応があるまで頑張り、桐を起こしに行く。芒の部屋に戻り待つことにしようもう一度。まだまだなので、桜を起こしに行く。それから3回目。掛け布団を没収すると、

「姉のパジャマ姿見たいなんて、変態シスコン!」

等と悪態をついて、やっと起きるのが、毎朝のルーティーンだった。ちょうど、いろはがうちで暮らすように、なった頃からかな?まあ、少しは改善しているので嬉しいかな?


「じゃあ、行って来ます!」

四ツ子揃って美容室へ向かった。3人とも凄く機嫌がいいので、何かウラがあるのでは?と、不安になるが、美容室に着いてもそのまま、幼稚園の頃一緒に遊んでいた時を思い出すくらいだった。

サンプルとして、美容師さんに見てもらったが、昔からいるオバチャンじゃ無くて、キレイなお姉さんだった。あのオバチャンのお嬢さんで、東京の有名な美容室でカリスマ美容師として働いていて、結婚、妊娠を機にUターンして、実家の美容室を手伝っているそうだ。オバチャンは美容室の仕事より孫守りが嬉しいそうで、最近はほぼお姉さんの店になっているそうだ。お姉さんの宣伝をしちゃうと、今までのお客さんに迷惑が掛かると言って、知る人ぞ知るカリスマ美容師のいる店なんだそうだ。姉達はそれを知ってるのかどうか解らないが、全校生徒はおろか、他校の生徒達が見とれる髪が、カリスマ美容師の手によるモノだったとは、なかなか趣がある。

サンプルの用が済んだので、先に帰ろうとしたが、

「一緒に待っててね!」

ファッション雑誌を一緒に広げて眺めた。3人のカットが終わると、

「もみじちゃんも、座って!」

お姉さんに呼ばれ、席に座ると、ただ伸ばしていただけの毛先を手直ししてくれた。ほんの少しなのに、ショートカット女子らしくしてくれた。

「ちょっと待っててね!」

色違いのカチューシャを出してくれて、

「確か、この色だよね?」

桜が赤、桐が青、芒が緑、俺がオレンジ。

「私、一人っ子だから羨ましくて覚えてたんだ!」

ササッと装着、髪を整えてくれた。

相変わらずご機嫌の姉達と家に帰った。


家に帰るの残っていたみんなも朝食を済ませ、夢愛さんも到着していた。

「揃ってるから、早いので行こうか?」

桜の掛け声で、バス停に向かった。


芒がいろはに、何か耳打ちしている。電車に乗ると、ガラガラで二人掛けのシートにいろはに引き摺られて座った。雨は夢愛さんを捕まえていた。芒とカレン、桜と桐かな?


新創成からは地下鉄。これも空いていて、いろはが隅の席に押し込んで隣に座った。雨はまた夢愛さんとくっついていた。高3って知ってるよね?並んでいると、雨の方がお姉さんっぽいけどね。バスに乗り継いでも、いろはの密着は続いて、第一目的のホテルに到着。マンガと見比べて、カレンが興奮した様子をデジカメに収めた。

ホテルの周囲は特に見る所も遊ぶ所も無かったので、降りたバス停から、またバスに乗った。


温泉街に着くと、ファミレスアニメの巡礼を開始。カレンのチェックポイントをクリアして、ランチにした。チェックインまで、まだまだ時間があったので、観光案内所でオススメを聞いて見ると、近くのダムを教えてくれた。バスで入り口まで行って、歩くか、電気自動車で昇るそうだ。紅葉の季節が1番だが、夏の深緑とひんやり感がオススメとのこと。早速向かった。


バス、電気自動車とすっかりいろはとデート見たいに並んで過ごした。ダムは見晴らしも良くて、途中のトンネルなんかは、涼しいと言うより、寒いくらいだった。


温泉街に戻り、宿泊するホテルにチェックイン。おまかせだったので、どんな部屋か知らずに、案内された。ふと思ったけど、お風呂どうしよう?もちろん女湯には入れないし、今から()()()になるのもおかしいよね?俺だけ温泉お預けかな?まあ、ダムも楽しかったし、巡礼も良かったからガマンだね。なかいさんが二人いて、エレベーターが3階に着くと一人降りて、

「4名様こちらです!」

姉達と雨が降りた。次は5階に行くと、もう一人のなかいさんが、部屋に案内してくれた。

通された部屋には浴室が付いていた。

「流石にお風呂でも、()()()って訳にはいかないでしょ?」

そう言って、いろはが笑った。

しばらくすると芒から内線が入り、3人はお風呂に出掛けた。

「もみじは行かないの?」

いろはは、いたずらっ子に顔で出掛けて行った。


VIP部屋だね?高かったんじゃないかな?せっかくだから、贅沢させて貰おう!ちゃぷんと湯に浸かり、大きな窓から深緑の景色を楽しんだ。ガラリと扉が開くと、いろはが入って来た。

「独り占めはズルいぞ!」

2回目なので、何とか平常心を保って、一緒に浸かって今日の巡礼やダムの回想をのぼせる迄話し込んだ。

部屋で寛いでいると、カレンと夢愛さんが帰って来て、

「私も一緒に入りたかった!」

カレンは駄々を捏ねて、夢愛さんは、真っ赤になっていた。

「じゃあ、もうすぐご飯だから、食後に入ろうね!」

いろはの提案で、カレンは大人しくなってくれた。混浴の感覚を勘違いしているのかも知れないな。


夕食はバイキングで、カレンが喜びそうな和食も充実していた。おなかいっぱいで部屋に戻り、交代で部屋風呂を楽しんだ。

「カレン、一緒に入ろう!」

雨が誘って、二人ではいっていた。

「夢愛さんもいかが?」

いろはが進めると、すんなり入って行った。浴槽は3人でも余裕だろう。

芒は、明日の計画をスマホを弄りながら考えていた。桜と桐は、いろはと何か話し込んでいた。


茹で上がった3人が出てくると、

「私達もはいるね!」

姉達は3人で入って行った。

夢愛さんは、そんなつもり無いだろうが、カレンは俺と入る気マンマンだったので、雨のファインセーブだったな。

「夢愛ちゃんの腹筋凄いんだよ!」

雨は、浴衣の上からおなかをつついている。

「それからね、カレンのおっぱ・・・」

いろはが巧く遮ってくれた。

姉達が上がって来て、明日は『1世紀の塔』を見に行く事にして、3階の4人は部屋に戻った。


4組並んで敷いてある布団の場所取り会議が始まった。

俺は、端しっこがいいかな、1番手前を希望すると、

カレンが隣を希望。いろはと被ってしまい、なかなか決まらない。

「私も隣を希望してもいいですか?」

控えめに参戦。結局くじ引きにして、カレン、俺、夢愛、いろはに決まった。普通、隣の布団に、女の子が寝てると思うと緊張するんだろうが、いつも同じベッドにいろはが寝ているので、ほぼ平常心。灯りを消すと、布団が引っ張られ、いつもの甘い香りがした。

いつものベッドより幅が狭いので、ぴったりくっつくいろは。ここの所の過激な体験で少し慣れていたので何とか平常心を保てた。

ん?朝に感じた唇の感触がまた?暗さに目が慣れると、視界の全部がいろはの顔だった。今朝、確認していなかったら、ドキドキで大変な事になっていただろうね。朝早かったし、結構歩いたので直ぐに眠ったようだった。


「いろはズルいよ!」

カレンの抗議で目を覚ました。

「毎日一緒のベッドだから、いつも通りじゃないと眠れそうに無かったからね!ねえ、大浴場行かない?朝日がキレイだよきっと!」

いろはは、カレンと夢愛さんを誘って、大浴場に連れて行った。

内線が鳴ると、芒だった。3人が大浴場に行ったというと、4姉妹が上がって来た。芒は強引に部屋風呂に誘い、

「布団の配置どうだったの?」

隠しても仕方がないので、正直に話すと、

「いろは、頑張ったね!」

雨と3人で温泉に浸かり、芒の策略について教えて貰った。カレンの猛攻にいろはが耐えられるか試してみたそうだ。いろはの危機感を煽るため、夢愛さんも巻き込んだようだ。

姉達はバトルを楽しむつもりで、雨はいろは推し。事情が解ると、雨のファインセーブは納得だな。

「いろはは、何処まで知ってるの?」

「二人は松太郎狙いだって教えただけだよ。」

ほんとかな?そう思ったら、

「カレンは、本人の口から聞いたし、柔道少女は一目瞭然だよね?」

雨が、勢いよく頷いているので、本当の事みたいだな。


大浴場の3人が帰って来ると、カレンがまた猛抗議。

「もみじ、カレンとも入って上げれば?夢愛さんも?」

いろはは、飛んでもない事を言い出すと、カレンは大喜びで浴衣を脱ぎ捨てた。もじもじした夢愛に桐が耳打ちした。夢愛さんは、浴衣の襟を柔道着のようにピンと張ると、

「入ります!」

いろはが、どう見ても普通に勧めているので、そのままお風呂に逆戻り。雨が言っていた夢愛さんの腹筋と、雨が言おうとしたカレンの特徴をなるべく気にしないように外の景色に集中した。

今日行く予定の話しをしたりして、何とか会話を繋ぎ、入浴クリア。

「もみじ、ドライヤーするね!」

いろはが髪をセットしてくれた。


「ありゃりゃ、いろはの独り勝ちだね!カレン推ししようかな?」

「じゃあ、私は柔道少女?」

桜と桐が不穏な事を言い出した。

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