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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第1章
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依頼のお支払

帰宅すると、雨がまだ帰っていなかった、心配していると、おばあちゃんが、

牡丹(ぼたん)が一緒で、買い物してから戻るから心配要らないよ」

牡丹とは、母の名前だ。


桜が話しかけてきた。

「今日の件だけど、ショタの依頼だったよね?」

なんだか、雲行きが怪しい。

「徹底的って、あとどれくらい攻めたらいいかしら?」

「えっ!もう充分だよ!」

「じゃあ、依頼分はきっちり払って貰うよ!カラダでね!」

三人とも、なぜか楽しそうだ。


「今度の金曜日、放課後開けておいてね、あなたとデートしたい人がいるの。」

桜が言うからには、決定事項だ。

「えっ、誰?どんな娘なの?」

当日のお楽しみと言うことだった。

桐は土曜日、芒は日曜日、同じ命令を下した。

三人にとっても、雨は可愛い妹だ。黙っていても助けたはずなのに、俺の依頼だと言って、その代償がデートなんて、きっとチキンハートの俺に断る余地を与えずにデートを経験させようとする姉達の優しさなのかも知れない。週末が楽しみになった。姉達にコキ使われるのはかなりキツイが、()()()()メリットもある。


幼稚園に入った頃、まだ男女の区別が有ることを知らなかった。クラスで1番小さくて、ツインテールにオレンジのリボン、制服はスカートの男の子は、イジメの格好の的だった。初日に泣いて帰ると、翌日は年中さんのお兄ちゃん達が、やって来て昨日のイジメッ子を連れていった。それからその子は幼稚園に来なくなったらしい。姉達がお外遊びの時この前のお兄ちゃん達が、代わる代わる、姉達のブランコを押していた。年中さんで、登園拒否にさせる力は、高校生になると市長を辞任させたり出来るようになるのか?


小学生になって初めて、男子の洋服、下着が当たった。立っておしっこをする事も教わった。で、姉達は、美少女で秀才でスポーツ万能な三つ子で有名だった。弱々しい弟はオマケで有名だった。

こんな俺とデートしたい娘ってどんな人なんだろう?妥当な予想だと、姉達のファンで義妹になりたいって所かな?姉達にいいようにコキ使われるのはかなりキツイが、こういうメリットも()()()()あるんだな。


雨と母が帰ってきた。

さすがに怖かっただろう。その話しには、触れないようにしようと思っていたが、帰宅早々、

「お兄ちゃん、今日は助けてくれてありがとう!」

「姉ちゃん達が、手を・・・」

と言おうとすると、脛に蹴りが入った。

「無事だったから気にしないでおこうね。」

桐がウインクし、紅茶を淹れるように言ってきた。


テレビを付けると、市長の汚職、辞任のニュースが流れている。本当に姉達がリークしたのだろうか?市長が実質経営している親族企業は脱税容疑で査察が入り株は大暴落。市長の息子は市議を辞め国政に打って出るところだったが、公職選挙法違反容疑でもう芽は出ないだろう。その嫁は県議で政務活動費のグレーゾーンを指摘されている。舅、夫の件と抱き合わせで四面楚歌状態になっている。その娘は父が市議から国政転換で空いた席を最年少で継いでいるが、ホストクラブ通いに市の公用車を使っていた件で炎上している。

一族郎党、途方にくれるだろう。


姉達はなにもなかったよう、無邪気な笑顔で母が買って来たアップルパイと紅茶を楽しんでいる。

「お兄ちゃんの淹れた紅茶って美味しいよね♪」

雨に言われると、特別うれしく感じる。調子に乗った瞬間、姉達はおかわりを要求してきた。


デートは明後日だな。制服で行けばいいかな?私服なら、何がいいのかな?姉ちゃんに聞けば大丈夫かな?

もしかして、彼女かな?希望的な観測で考えてみる。初恋の相手で今でもずっと好きなんだけど、幼な過ぎる幼なじみで、女の子みたいに過ごしていた頃を知っているので、多分恋愛対象としては見てくれないだろう。姉達は、雨と変わらない位に可愛いがっているし、彼女も姉のように慕っている。可能性は、ゼロではない。


考えても仕方がない。先ずは明日の弁当の準備だな。女子高生向けのお弁当レシピを確認し冷蔵庫を覗き込んだ。炊飯器をセットし、下ごしらえ。花の形にニンジンを型抜き、余ったフチは俺のおかずになる。そんなこんなで、準備万端。今日は宿題も出てないので、早めに寝よう。


早起きして、可愛いお弁当4つと不思議な弁当ひとつを完成させ朝食の準備を始める。雨が起きて来て手伝ってくれる。出来上がりのタイミングで姉達が降りてくる。毎朝のルーティーンを今日からまた繰り返すのだろう。


木曜日はオリエンテーション普通の授業はまだ無い、金曜日は実力テストで、待ちに待ったデートの放課後。桜は、まだ相手のことを話してくれない。ふたりで、駅前のデパートに向かう。多目的トイレに、なぜか一緒に入ると、桜はさっさと制服を脱ぎ始めた。渡された荷物を見ると、紺のハイソックスとブラが入っていた。

「早く脱ぎなさい!」下着姿の桜は、俺から脱がせた、ワイシャツとスラックスを身につけ、俺にブラを着け、靴下を代えさせた。ブラウス、スカート、ベスト、リボン。仕上げにウィッグで偽桜が完成した。


市長の孫の一件で、取り巻き達に電話をさせた工業高校のボスが桜のファンらしい。で、デート一回で仕事を依頼したとのこと。

あと2分後ひとつ下の階で待ち合わせ。俺が逃げないよう、直前まで黙っていたようだ。

「じゃあ、コクられたらOKすればいいんでしょ?」

「もちろん好きにしていいよ、ただショタがコクられて、ショタがOKするんでしょ?ショタが付き合ってあげてね♪」

もしかしてと言うか、当然と言うか、明日も明後日もこのパターンだろうか?


工業高校のボスは三浦さんといい、メチャ紳士だった。女子が好みそうな映画を観て、ケーキセットを食べた。中学までバスケをしていたそうで、姉達もそうだったし、俺もミニバスでは活躍していたので、バスケの話題でなんとか過ごす事が出来た。家まで送ってくれたので、丁寧にお礼を言って別れた。見かけも悪くないので、義兄になってくれてもいいと思った。


土曜日もやはり身代わりデートだった。IT系専門学校生の森田さんはゲーム好きで、同じゲームをしていたことがあって懐かしくてかなり盛り上がった、使っていたキャラは俺がマッチョ系で森田さんは美少女系を使っていた。『反対だね!』どう反対か突っ込みたい所だが、そうもいかないので、アイテムや、必殺技の話題でなんとかなった。やはり、義兄に欲しい人材だ。


日曜日も言うまでも無く。男とデート。隣の市の進学校・旭成高校に通うエリートの竹中さんだった。無口な人で、一番困ったが、3連チャンのデートで、経験を積んでいたので、なんとか乗り切った。苦労はしたが、基本的に優しく、芒にベタ惚れなので、この人も義兄候補だ。


姉達に、デートの報告とメアドのメモを渡した。アドレス交換して欲しいと言われたが、『間違えて弟のスマホもってきた』と言って誤魔化したが、メモは断れなかったことを告げた。かなり怒られるのを覚悟していたが、想定内だったとお咎めなしだった。

なかなか着替えに行かせてくれない。雨が帰って来た。女装の兄を見て幻滅するかと思ったら、桜バージョンと、桐バージョンもおねだりされてしまった。色々話すと市長の孫の件が原因と言うことになると、雨が気にしちゃ可哀想なので、言われるままに、ファッションショーのモデルを務めた。

いよいよ平成も今日でおしまいですね!

令和になっても、宜しくお願いいたします!


意外と沢山のアクセスを頂きましたので、予定を変更しまして、5/1から5/5まで、毎日更新の予定です。


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