表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第1章
17/139

レシピ

中間試験の初日を難なくこなした。試験が終わって、スマホの電源を入れると、猛者達それぞれからメールが入っていた。3人とも数学をクリア出来たようだ。他の教科は得意と迄はいかないが、赤点の経験は無いそうなので、例事件で削られた練習時間を更に削る心配は無いようだ。


三日目で終了。これで落ち着いて『推理小説同好会』のメモリの分析が出来る。

その前にスマホを買い換えに行く。買い換えと言っても、バッテリーから発火の恐れがあり、新機種と交換して貰える事になっている。ついでに雨もスマホデビューする。


玄関を出ると雨が待っていた。姉達も同じ機種なので、姉弟妹揃った上、いろはもついて来る。こんなに大勢で迷惑じゃ無いだろうか?


意外とスムーズに交換が終わり、新機種になって搭載された機能等の説明を受けた。いろはは、高校生になってスマホデビューを果たしたので、今回同じ機種になった。わりと得意な方だった筈なので、解らなくなっても安心だから、ショップのお姉さんの話しは殆ど聞き流していた。

桜は早速、顔認証の設定をした。自分の顔で解除出来る事を確かめ、みんなの顔で解除出来るか実験した。桐、芒、俺は解除出来て、雨といろはは解除出来なかった。

「オカマ探偵、スマホ交換しても大丈夫だね!」

桐が楽しそうに笑う。


家に帰り、それぞれ顔認証の設定をして解除が可能か確かめた。ショップで試した桜の時と同様に、四ツ子の区別は出来ないようだ。お互いのスマホの顔認証は、全くのスルーで解除出来る。

雨のスマホに無料通信アプリをインストールして、それぞれ友達登録して、『姉妹』グループに追加した。いつの間にか、いろはも参加していた。


着信音とかをダウンロードしたり、スタンプを買ったりワイワイ楽しんだ。着信音の実験で芒に電話を掛けた。オルゴールの可愛らしい音がなり、画面を見ると、『着信・もみじ』画像ももみじ(おんなのこ)だった。抗議をしたが、全員が名前表記も画像も『もみじ(おんなのこ)』で統一。画像は、みんなでお揃いで買ったワンピで双子コーデした2ショットだった。

「そんなの誰かに見られたら、女装バレちゃうでしょ?」

更に抗議をしたが、

「もみじが、掛けて来れば問題ないでしょ?」

こうなったら、諦めて受け入れるしかないな。

スマホの入れ替えは、取り敢えず終了した。


古いノートパソコンに入った『推理小説同好会』のデータを検証しよう。谷川の所属した同好会のデータだが、パスワードから、畠山の物である可能性が高い。

中のファイルには、合成麻薬の製造法と、材料の

入荷の記録、使用の記録、完成品の記録がしっかり残っていた。どう探しても、金銭出納帳に見えるが、項目がなく金額と思われる数字だけ、携帯の番号らしい数字の羅列、これも数字だけで誰の番号か解らなくなっている。見かけない拡張子のファイルがいくつかあったが、何のアプリで開けるのか解らないので、開けた内容だけで推理を始めた。


材料の出入りについては、谷川が卒業した昨年の3月まで記載されている。まだいくらか在庫が有ることになっている。現物が見つかれば、流通経路が解るかも知れない。入荷のタイミングで横流し出来そうな工場で出荷の履歴が無いか調べられないだろうか?他、可能性はゼロじゃないって程度の推理繰り返し、開けないファイルが何か余計気になってきた。

「あっそうだ。いや?なんでも無いです!」

いろはは、何か思い付いたようだが、妙な態度で、無かった事にしようとしている。芒がそれを見逃さず、

「なんでもいいから、今思い付いたこと話して!」

なんでもないと誤魔化そうとするいろはは、明らかに挙動不審だった。真っ赤な顔で首を振っているいろはを見て、桐が気が付いた。

「開かないファイルが、畠山が残した物だとすれば、それを開くアプリを、同じ学校の森田さんが、知っているかも知れないよね?いろはは、もみじが森田さんとデートするのに焼きもち焼いたんでしょ?」

なるほど!それで行こう!早速、桐のスマホを顔認証でロック解除し、メールを送った。見慣れない拡張子は、森田さんでも見慣れないので、お馴染みの拡張子に書き換えて見れば、開くかも知れないと教えてくれた。桐にスマホを返すと、

「もみじ、デート出来なくて残念だったね!」

冷やかしながら、自分の顔で認証を確かめていた。

ノートパソコンに戻り、見慣れない拡張子のアイコンを右クリック、名前の変更をクリック、開けた表計算ソフトの拡張子に変えて見た。

アイコンも変わったので、ダブルクリック!

開けた!開けなかったファイルは、全て表計算だったが、更にパスワードを要求され、中身は解らなかった。一つだけパスワードが要らなかったファイルがあったが、元々開けていた、材料の出入りの物と同じだった。ん?と思ったら、入荷と出荷の相手が載っていた!このファイルの『相手』の列を削除した物を簡単に開ける状態で保存したのだろう。クズ(元市長)の親族会社の工場名がしっかり載っていた。すぐに記者さんに連絡した。


記者さん達も、同じデータを解析しようとしていたが、別の取材を回されて!全然手を着けていなかったようだ。開き方を伝え、ソフトの中でも更にパスワードが必要な旨を伝えた。

同じ所まで開いた所で、刑事さんに引き継ぐらしい。拡張子で、開けるようになって、パスワードが必要なファイルについては、わかり次第報告し合う約束をした。

「桐、森田さんにお礼のメール打ってね!」

「もみじが自分で送ってよ!」

スマホを押し付けて来る。『拡張子を表計算に変えて開きました!ありがとうございます!!

でも更にパスワードでガードされていて、見えませんでした。それはまた推理してみます。』

『凄いね、名探偵!危ない事はしないで下さいね!』

『はい、気を付けます。ありがとうございました。』

メールを打って、スマホを返した。


ファイルを、更新日準に並べて直して見た。

拡張子を変えた4つは今日の日付。次の4つが昨年の3月2日、あとは、もっと古いのがちょこちょこ。

上から3つと、5番目から3つのファイルサイズが似ている事に気付いた!

1番目が素材管理ファイルの取引先入りで、5番目が取引先無し。

2番7番のサイズが近く、7番目は金銭出納帳の項目無し。同じく3番6番で、6番目は、数字だけの電話帳。4番目は、8番目の倍以上有るので、法則と迄は言えないが2番を開けば、項目が載った出納帳、3番には名前が解る電話帳が見られるのではないだろうか?闇雲に打ち込んでも開かないだろう。確か、あの映画では、【apple】だっな・・・a、p、p、l、eダメだね。そりゃそうだ。いくつも失敗したが、ロックは掛からない様なので、思い付くままに試してみた。

7番目のファイル名は【money】、6番目は【phone】だ。

m、o、n、e、y、エンター!開いた!

p、h、o、n、e、エンター!また成功!

予想通り、【money】には、項目の列があり、金銭出納帳に、なった。【phone】にも人名が現れ、電話帳になった。

すぐに、記者さんに報告し、4番目のファイルに取り掛かった。

【drag】等、色々試したが、なかなか当たらない。と言うか、今まであたって方が奇跡って言う方が妥当だろう。

「なんか思いつかない?」

雨がキーボードに向かった、

「あっ、開いた!」

【recipe】レシピ?

「もみじ姉ちゃん自分で『麻薬のレシピ』って言ってたよ!」

8番目のファイルは、シート1枚に合成麻薬の製造法が記載されていたが、開いたファイルは、2枚目のシートに、別の薬品の製造法が書かれていた。何物かは解らないので、これもすぐに記者さんに報告した。あまりにも、サクサクとパスワードを撃破していくので、記者は驚いていた。早速刑事さんに連絡して、水島が飲んだ薬品がこれかも知れない。そうなったら、毒殺に関わっていた可能性が濃いと判断出来るだろう。


刑事さんに任せる段階だろう。データは全て渡してある。これだけのネタがあれば、圧力が掛かっていても、捜査出来るんじゃ無いだろうか?またしばらく、様子見となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ