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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第1章
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裏付け調査

いろはに手を引かれ自室に入ると、

クローゼットに女子の制服が掛かっていた。

「まさか、これで学校行くの?」

「ううん、私のだよ。」

いろはは、嬉しそうに答える。どうやら、今夜も泊まるつもりなんだろう。

明日の支度をして、ベッドに入った。

背中には、いろはが寝ている。眠っているのかな?

「もう寝た?」

「なあに、もみじ?」

「いろはは、『松太郎』に襲われる心配なんかしないの?」

「もみじ、『松太郎』知ってるの?」

「まあね。」

この話は、続けても進展しないな。

「じゃあ、おやすみ。」

「おやすみ、もみじ。」

今夜は、眠れるのだろうか?昨日と比べると落ち着いていられるが、身体は反応している。姉達と一緒に寝たのだってもう何年も前だし、初恋の相手が同じ毛布にくるまっていると、思うと普通でいられる訳はない。頭の中で明日予習をして気を紛らわす。昨晩殆ど眠っていなかったお陰で、何とか眠れたようだ。


朝、目覚めると、いろはは先に起きていた。

「おはよう、もみじ!」

「あっ、おはよ。」

パジャマを脱ぎ始めたので、

「顔洗って来る!」

慌てて部屋から逃げ出した。顔洗い、歯を磨いて、着替えが済む時間を稼いだ。


部屋に戻ると、いろはは身支度を済ませていた。

「お弁当作って来るね!」

昨夜、いろはと雨がお弁当の準備をしていたのは、こういうことだったんだね。作って貰うお弁当は久しぶりだ!

着替えて、キッチンに行くと雨が朝食の支度をしていた。お弁当を詰め終わったいろは、

「はいっ、()()()()()の分」

ん?『しょうくん』に戻った?

姉達が降りて来て、6人で朝食を食べた。


学校に着くと委員長が立ち番で、登校の監視をしていた。

「おはよう、()()()ちゃん?松太郎君?」

「おはようございます委員長、松太郎です!」

いろはは、他の立ち番の子と少し話をして、教室に向かった。委員長には放課後うちで報告会をしようと伝え、了解を貰った。


無難に授業をこなして下校。家で委員長を待った。それぞれ自室で(いろはは、俺の部屋で)私服に着替えて来た。いろは、何着置いて有るんだ?

交代で着替えに行くと、いろはが戻って来て、着替る服を指定する。あまり見たことのない服だったので、いろはが持ち込んだ物のようだ。

「もみじ、それ嫌い?」

おとなしく、着替えておこう。

いろはは、ブラシを掛けてくれて、元々男子としては長めの髪だっのでキレイに整えるとショートの女子に見えないこともない。ヘアピンを付けるとどう見ても可愛い女の子に見える。


委員長が到着。昨日『海野 美貴』にあった事、

風俗勧誘マニュアルに沿って嵌められそうだった事を報告。委員長からは、大森会長と留学中の畠山が小学校の同級生だった事、橋本、谷川も同じ小学校の卒業だった事を教えてくれた。水島は俺達と同じ小学校なので、三人とは違うな?

会長、橋本、畠山、谷川が同じ小学校なんか気になるな。色々可能性を考えているうちに、千葉からメールが来た。橋本は、畠山・谷川に水島を紹介しただけと解ったようで、お咎め無しになり、柔道部の活動が再開されたそうだ。

橋本は、たまたま会長にフラれたせいで余計な疑いを掛けてしまった、一応『学校祭カフェ』に関わって無いか、海野美貴に確認して見よう。

「柔道部が再開したのは良かったけど、協力してくれるのは終わりかな?」

()()()は、寂しいのかな?三人の中では、誰がタイプなの?」

委員長が、またまた弄ってくる。わいわい談笑していると、芒のスマホがなった。記者さんからのメールだ。明日発売のスクープなので極秘と言いながら、教えてくれた。畠山は、先日辞任した元市長の隠し子だそうだ。隠し子とはいえ、自分の息子がヤバい事に関わっていては不味いだろう。逃がすのに、海外留学なんて発想は、あのクズ元市長ならではだな!

「発売前のスクープ教えてくれるなんて、芒は信用されているんだね?」

感心していると、

「オカマ探偵の調査内容を、裏付け取材してたから、内容確認して欲しいって。」

オカマ探偵?それって俺の事?まあそこは、無視して、中身を読んだ。新しい情報は、隠し子の件と畠山・谷川が合成麻薬に関わっていることくらいかな?細かいことでは、大森会長が振ったのが、橋本ではなく畠山だった事くらい。元市長の隠し子ってことは、雨に振られて大騒ぎしたクズ孫の叔父っていう訳だよね?そう言うDNAって有るのかな?明日、記事が公になれば、状況は変わると思うので、それを確認して次の行動を考える事にしてお開きとなった。

「委員長送って来るから、着替えるね!」

「いやいや、そのままそのまま!」

委員長は、着替えを許さない。

「帰り、もみじ独りは危険だから、私も行くよ!」

抵抗したが、圧倒的な大差で敗北。いろはと一緒に委員長を駅まで送った。


家に帰ると、当たり前のようにいろはが一緒にいて、当たり前のように6人で食卓を囲んだ。

いろはと二人で夕食の片付けと、お弁当の仕込みをしているうちに、他の4人は入浴を済ませていた。

「ここ、もう終わるから、先にお風呂入って!」

いろはに勧めると、

「サクッと終わらせて、一緒に入ろうよ!」

ムリ、絶対ムリ。きっと真っ赤な顔になっているはずだ。身体も反応してしまったが、意外な事に、スカートを穿いていたので、圧迫感がなく見かけもそう変化していない。思わぬメリットというところか?

戸惑うおれを笑い、

「もみじって照れ屋さんなの?今日のところは、独りで入って来るね!気が変わったら来てね!」

どこ迄が本気?

キッチンを片付けながらいろはがあがるのを待った。1時間経ってもでて来ない。脱衣室の外からこえを掛けても返事がない。倒れた?1番近い芒の部屋へ走る。事情を話して風呂を見て貰う。桜、桐、雨も風呂場に走った。キッチンでおろおろしていると、茹で上がったいろはを支えて姉妹達が出て来た。

「スポーツドリンクがいいかな?」

桐は、奪うようにボトルを取ってキャップを捻った。飲んで少しはすっきりした様子だった。

独りで座っていられるようだったので、それぞれ椅子に座った。芒が紅茶を所望してみんなが同調した。想定内だったので、もうヤカンから湯気が出る寸前だ。紅茶を淹れて風呂に入った。脱衣室のカゴには、いろはが脱いだ服と、風呂上がりに着るパジャマのズボンと下着が入っていた。バスタオルを掛けて、ダイニングにいた雨に渡すと、

「いろは姉の部屋に置いて来るね!」

そう言うと、俺の部屋に走った。気を取り直して入浴を済ませると、みんな部屋に戻っていた。自室に入ると、ベッドにはいろはが寝ていて、さっきのカゴはベッドのそばに有り、バスタオルは掛かっていなかった。つい、中身を見てしまった。

さっきと変わっていない。今着ている状態を考えると、平常心でいられない。雨、まだ起きてるかな?部屋のドアを少しだけ開けて中の様子を伺う。もう眠ったようだ。姉達の部屋も同様だった。諦めて部屋に戻ると、寝返りしたようで、ベッドのほぼ中央に移動していた。ベッドにいろはがいるのは、3日目で、過去2回は理性を保ったまま朝を迎えられた。少しは慣れてきたけど、今、身に付けているのが、パジャマの上1枚だけ!既に身体は反応している。事件の推理をして、気を紛らわし、何とか平常心を取り戻し、ベッドに入った。いろはは更に押し込んで来て背中に貼り着いた。また、理性が消し飛びそうだ。そのまま耐え続けて朝を迎えた。いろはが目を覚ましたようだ。寝たフリで様子を見ていたら、もう元気になったようだ。着ている物のは、推測通りでパジャマの上を脱いであくびをしながらノビをする姿は、何も付けていなかった。筈なので、直ぐ目を閉じた。何も見ていない。いろははカゴから下着を取り出し、身支度を始めた。

「おはよ、いろは。」

「もみじ、おはよ!」

俺も起きて制服を着る。ワイシャツのボタンが掛かりにくい。良く見ると、変装用のブラウスだった、慌てて取り替えると、

「そっち着るの?」

残念そうに俺を見ていた。

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